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お仏壇の”りん”と,"ドラ" どう鳴らす。

お仏壇の“りん”、打楽器奏者のハシクレの私としては、どうすれば豊かな音になるか研究したくなります。

 おそらく“りん”にバチを直角にあてて、淵を上から叩くのが普通と思います。お坊さんは本堂の巨大な“りん”をそんな風に叩いている記憶があるし、時には淵にバチを押し当ててミュートをしています。
 でも、我が家にあるごく普通の直径10㎝ほどの“りん”、上から淵を叩くとどうも豊かさに欠ける気がして、いろいろやってみました。

 撥を水平にして先端から2㎝ほどの部分を、“りん”の淵から1㎝ほど下に、手首のスナップを効かせて適度なスピードで当てる、低い成分も含む伸びの良い音がします。お作法としては間違った叩き方なのかもしれませんが、ご先祖様にはより届くのではないでしょうか。

ところで、“りん”の話はこのぐらいにして、数ある金属製の打楽器のひとつ“ドラ”について。

“ドラ”これも奥が深い楽器です。例えばチャイコフスキーの交響曲第6番『悲愴』の第4楽章にドラのソロがあります(ちなみに、この曲で“ドラ”は1発だけです)。音量はP。オーケストラ全体の音程がだんだん下がって行って、その先でドラがオケ全体を受ける感じです。望まれるのは深くて、豊かで、低い音です。その要求に応えてドラのどこをどのように叩くか、これもまた研究です。

 大きくて厚いので、金属楽器なのに反応が遅いというのが“ドラの特徴”です。音の立ち上がりのタイミングを合わせるために、また、低い成分を出すためにあらかじめ曲の邪魔にならない程度の音量で、ドラを叩いて鳴らしておき、反応を良くする技を使うことがあります。欲しい音質のために効果的な予打(こんな言葉はありません)もいろいろ試します。

 また、連続して叩く場合は、どんどん鳴りが増幅してしまうので、その対策には撥を持っていない手でドラの裏を触ったり、膝をミュートとして使って調整します。

 そして、強打の直後に音を消す必要がある場合、それは肉弾戦。時には手の空いている別の奏者に手伝ってもらって。必死です。

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