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ステージの床板は横張が普通?

  ホールの建築音響は奥が深いものです。 ホールの大きさ、 基本的な形状(ウィーン学友協会大ホールに代表される直方体のシューボックス型、 ベルリンフィルハーモニーに代表されるステージを客席が取り囲む形状のワインヤード型。)。 壁、 床、 天井さらには椅子の素材やその形、伝統的なホールであれば、施された装飾がそのホールの響きを作り出しているということもあるのでしょう。 音響学の専門家が種々研究を重ねており、 素人の私が語れるようなものではありません。

  アマチュアのオーケストラ奏者として。 演奏会本番、あるいは練習時にいろいろなホールを使って気づくのは、ほとんどのステージの床板が横向き(客席に平行)に張られているということです。 世界のホールを紹介した書籍(「コンサートホールとオペラハウス レオ・Lベラネク/日高孝之/永田穂著)や、設計資料集をぱらぱらと眺めても、床板の向きへの言及をみつけることはできません。写真に目をこらしてもなかなか判別することもできません。
ステージの床3

  ある日、何気なく見ていたテレビ番組で、能舞台の構造が紹介されていました。 能舞台の床板は縦に張るのが決まりごとなのだそうです。縦方向に張ることにより観客に届く音の響きが豊かになると、その番組では、実験を交えて説明していました(能の客席は舞台の前と横の二つの位置にあるけれど横の席は・・・そこまで気にしないのかな?)。

 クラシックの音楽ホールについては、決まりはないのだろうか。10月に行われたショパンコンクールをユーチューブで見ているとへリボーン織のような美しい床が目に入りました。素材も堅いように感じられます。私が使うホールは大抵公共の多目的ホールなので、施工の都合、あるいはなんとなく長手方向に張っているというのが現状なのでしょうか。それとも、ダイレクトでなくホール全体を響かせようという意図があるのでしょうか。舞台袖で聞いていると結構な音圧で聴こえると感じるのは気のせい、あるいは単に距離が近いからでしょうか。
 ところで、多目的ホールの場合、ステージは平らなので、オーケストラが演奏する場合、仮設の台(山台)を組みます。下の写真は某ホールの山台の近景です。音楽とそして楽器自体が美しいし、奏者もおしゃれをして臨むのに、このような現状は危険も感じるし、残念でなりません。

ステージの床山台




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