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【シティリーグ予選7位抜けBest8】ガラルギャロップV入りパルキア備忘録【全文無料】

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初版公開日 2022/6/9 最終更新日 2022/6/9

1.緒言 ~構築選択の経緯~

昨今のポケモンカードにおいて環境はパルキアとミュウの2強というのが共通認識であり、それらの構築のみで上位入賞率が5割を超える事が常態化している。これらの構築は攻撃力、耐久力、対応力、速度、再現性の面において頭1つ抜けており、ポケモンカードにおいて勝利条件に近づくために必要な要素が高水準で揃っているのが特徴である。また、これらの構築に対して強く出られる要素を持った構築が明確にこれらの構築に続く形で勝率を伸ばしているため、存在する構築の数こそ多いものの非常に分かりやすく棲み分けのされた環境であると言える。
その環境の中自身でシティリーグに持ち込もうとした構築はパルキアかパッチラゴン単の2択であり実際に持ち込んだのはパルキアであったのだが、ここまでの入賞率を叩き出している以上パルキア対面における立ち回りの固定化や対策を怠る人は少ないと考えていた。加えてカプ・コケコVmaxやアルセウスジュラルドンを筆頭に一般的にパルキアに強いとされる構築は一定数存在しており、これらの構築を選択する人は会場において無視できない程の人数存在する事を想定しなければならないと感じ、これらに対して無策で挑む場合勝ち上がる確率に影響が少なからず出るであろうと予想を立てた。
更にダークファンタズマ環境が始まって以来新弾勢力としてヒスイウインディやヒスイゾロアークVSTARも台頭しており、この2つの構築に対して不利を取る事から元々不利相手が一定数存在し相性不利を覆す力の無いパッチラゴン単はこの時点で選択肢から除外された。
以上の流れから消去法でパルキアを使用する事となったが、デッキパワーの高いパルキアにも以下の欠点がある。

・弱点を突く構築に対処するのが難しい
・最大火力は高いがベンチを絞る系統のVmaxをワンパンするには至らない
・ミラーで下振れた時捲るのが難しい

特に2番目の要素に当てはまる勢力の数は上記でも述べた通り無視するのが難しく、試用していた段階で既存の構築からそれらの構築に対する明確な解答を見つける事はできなかった。
そこで上記の問題点を克服しつつ以下の条件を満たす対策枠のポケモンを探した。

・可能な限りパルキアの本来の構築を歪めず、そのパフォーマンスを下げない
・要求値が軽い
・スタートしても困りにくい、スタートしない

少なくとも水タイプでこの条件を満たせるポケモンを考えつくことは無く何かしらが大きく欠けるポケモンばかりであったが、無色エネルギーのみで動かせるポケモンに絞って探した時に全ての条件を高い水準で満たすポケモンとしてガラルギャロップVに白羽の矢が立った。
このポケモンの存在に気付いてからすぐに採用、試用へと至った。

2.材料と方法

 1)材料 ~ガラルギャロップVの単体解説と構築解説~

・ガラルギャロップVの単体解説
パルキアの構築においてこのポケモンで使用する技はリブラホーンのみだが、使い方としては以下の2点となる。

・パルキアとインテレオンのみでは処理の難しい相手のベンチのVmaxやVSTARを先に削り亜空のうねりやアクアバレットの圏内に入れる
・2回動ける前提で2匹を削り、クイックシューターやスターポータルと併用する事により月光手裏剣でサイドを複数同時に回収する事を狙う

そしてこのポケモンを使う上での長所と短所も存在し、それぞれ以下の通りである。

長所
・エネ加速としてメロンがパルキアと共有可能
・たね且つメロンから即起動できるため着地してからの動き出しが非常に早い
・逃げるのに必要なエネルギーが1個であるため不要なマッチでスタートしたり仕事を終えた後に放置されても困りにくい
テキストを把握している人が意外と少なく初見殺しが可能で意表を突ける

短所
・HPが210しかない
・動き出しにメロンが必要
・悪弱点

汎用性を落とさずに対策枠を採用するという考えの元採用しているため欠点には目を瞑るべきだと感じタフネスマントのようなほぼこのポケモンだけを補助するためのカードを入れる事はしなかったが、HPラインの低さを補完する必要はあったため2回動くための最低限の耐久ラインを確保するために他の全てのポケモンと共有可能で比較的汎用性のある大きなお守りを採用する事とした。また、即起動にメロンが必須である以上使いたい場面で山札もしくは手札に無くそもそも使用できる状態に無い状況を作るのは論外という仮説に至った結果、メロンは厚めの2枚採用となった。

・構築解説
上記の前提を元に当日使用した構築を公式のレシピに起こしたものがこちら(ポケカ公式サイトに飛ぶため注意)。

ガラルギャロップVの存在を除くと比較的一般的な裏工作型のパルキアの形ではあるが、一般的な形には入っている事の多いカードが無い、また不採用にされやすいカードの採用もあるためこの構築の特徴となるカードの採用不採用については以下に記す。

・バトルVIPパスの有無
一般的なパルキアには2~3枚、もしくはカイ4投に付随する形で1~2枚入っている事が多いがこの構築においては1枚も採用しなかった。
捲りを重視する方向性で構築を組み始め、初動に重きを置く事より中盤以降で腐る札を減らして当たりになる札を引く確率を上げる事と対応幅を広くする事を重視し、本来バトルVIPパスが採用されている枠には他のトレーナーズ(主にサポート系統)を厚めに採用する形とした。

・クロススイッチャーの有無
この構築ではクロススイッチャーが不採用であり、代わりにボスの指令が2枚(+αで友達手帳)と厚めに採用されている。
先述の通り他のトレーナーズに回しているため枠を空けられなかった事とメロンの2枚目が採用される事が確定した時点で縦引きで手札を厚くする事で裏工作の要求値を軽くしながら常に多めの選択肢で戦う方針で構築を組みカイの採用枚数を絞った事が主な理由である。

・ヒスイのヘビーボールの有無
一般的なパルキアの構築に加えてガラルギャロップVが採用されており役割対象に対して確実に持ってこなければいけない場合に裏工作を経由して確実に手札に回収できる事に加えて初動から脳死で撃った場合においてもサイドの中身を判断できる事とスーパーボールに近い価値のサーチカードとして使用できる事からこのカードの価値自体が高く、必須の1枚と判断し採用されている。

 2)方法 ~大まかなプランニング~

この構築における大まかなプランは下記の3つに大別される。

1.パルキアVSTARとインテレオンを軸に1-2-2-2のサイドプランを押し付けつつ1~2回の攻につきサイドの2枚回収を狙い戦う
2.初動をガラルギャロップVから入って削りを入れたポケモンを他のアタッカーで削り切る形でサイドを回収し戦う
3.インテレオンと輝くゲッコウガを軸に2-1-1-1-2のサイドプランを押し付けて戦う

多くの構築に対するプランは1.が最適である事が大半であり、パルキアVSTAR自体のの高い数値を活かす場合は多くの構築に対してこの形で戦う事となる。
その他の2.3.のプランが有効になる相手はそれぞれ明確に決まっており、2.のプランは主にアルセウスVSTARを起点に1~2面のVmaxを作ってそれ以上ベンチを広げずに戦う系統の構築全般(主にジュラルドン、カプ・コケコ等)に対して、3.のプランは非ルール(主にヒスイウインディ)に対して採択される。

3.結果 ~当日のマッチアップと試合内容~

結論から述べると、結果は以下のツイートの通りのマッチを踏まえた上でベスト8であった。

これ以降ではその試合内容について詳しく述べていく。

・予選1戦目 不戦勝
表面上は無償で勝利を手にしてはいるが勝ったとしてもオポネントの面において不利になりやすい事から出端を挫かれた。

・予選2戦目 ヒスイウインディ 後攻 6-4
相手の盤面にマナフィが着地した段階でマナフィを狩って次のターン以降手裏剣を撃って強い展開が見えずお守りの付いたインテレオンとパルキアだけで正面をひたすら狩るプランに振り切った。
ラストターン手前にクイックシューターを絡める事で相手の場からアタッカーを一掃する事に成功し、返しで攻撃が来ずバトル場のインテレオンが生き残ったためそのまま順当に攻撃して勝利した。

・予選3戦目 ゲンガーVmax 後攻 0-6
後攻でパルキアスタートをした事自体が良い展開ではなく、初手の手札に雪道とトレーニングコートが被りサポートがボスしか無い状況となりかなり事故気味であった。
ペインバーストと闇の牙でひたすら一方的にサイドを取られ初動から持っていた雪道を抱えたままサイド3を迎えたためガラルギャロップを着地させ手貼りしてツツジを宣言、そして一撃エネは全て見えていたため次のターン以降入れ替え札や壺が拾えない事に賭けてボスで何も付いてないヘルガーを縛りリブラホーンで裏を手裏剣+シューターで取れる盤面の作成を検討。
ツツジの返しでマリィを拾われており、マリィを撃たれた次のターンで入れ替え札を引かれそのまま敗北。
事故気味の手札から勝ち筋を追う動き自体は良かったものの流石に無理があった。

・予選4戦目 ミュウゲノ 先攻 6-4
ゲッコウガでスタートした上で手札に数枚ボールがあったためベンチは順調に並び、次のターン動き出しがほぼ保証された状態で初手を返した。
その返しの後1で相手が強気にメロディアスエコーを狙っており盤面にメロエッタが2匹出た状態になったが、ダブルターボ以外を手貼りする選択肢の無い手札であったのか何も付いていないメロエッタを壁として番を返してきたためスターポータルからの手裏剣でメロエッタを2面取る所から攻防が開始した。
パルキアを2匹使ってミュウを倒し、その間相手はVを1匹、VSTARを1匹と狩ってお互いのサイドが5-4の状態で最終局面となった。
相手のラストターン、それぞれの正面に満タンかつお守りの付いたパルキアVSTARとダブルターボとベルトが付いたミュウがおりパワータブレットがトラッシュに2枚見えている状態での私の負け筋は可能性が高い順に

・タブレット2枚+シマボシ1表+そこからフュージョンシステムないし何かしら山を引く手段
・やまびこホーン+ボス
・タブレット2枚+ツールスクラッパー

のいずれかであったが相手はお守りが見えておらず、タブレット2枚から280のテクノバスターが宣言されたため返しの番でボスの指令を宣言し後ろのゲノセクトを取ってサイドを回収した。
後で聞くとやまびこホーンが山札に残っていたとの事であり、1枠空いていたベンチは手札にあったボール系のグッズからメッソンやマナフィ辺りを持ってきて置いておくべきであった。
ちなみに対ミュウにおいて最も強い動きとされる雪道ツツジは序盤で相手の手札が弱い可能性が高いと判断して即貼りし、返しの番ですぐにスタジアムが貼り替えられたため早い段階でプランから切らざるを得なかった。
勝利したはいえ対ミュウにおける練度が低い事を痛感する1戦となった。

・決勝1戦目 パルキア 先攻 4-6
予選3戦目に同じく手札に雪道とトレーニングコートが被っており、その上スタートはメッソンでボールはレベルボール以外手札に無い状態だったため再び事故気味の状態で試合を開始した。
しかし相手もメッソンスタートだったため後攻初手から正面が取られて負けるリスクは高くない感じ、次の番裏工作から盤面を無理やり作る前提で単騎で番を返した。結果的にこの選択は正しく、パルキア着地+どんどん呼ぶ宣言で番が返ってきた。
2ターン目の初動で想定通り裏工作から博士の研究に繋げてトレーニングコートを置きつつ手札を更新したがポケモンはガラルギャロップVと輝くゲッコウガのみでボール系のグッズは引けなかった。更新した手札から回収ネットを使いつつ隠し札を2回使用し山札を更に4枚引いたがパルキアVを着地させるために必要な札を引くことはできず、代わりに大きなお守りを引いたため相手の盤面が序盤の不完全な状態である事を考慮しボスの指令やクロススイッチャーが宣言されない事を前提としてガラルギャロップVと隠し札から引いた新しいメッソンを着地させ、ガラルギャロップVに大きなお守りと水エネルギーを手貼りして番を返した。
3ターン目にようやくパルキアVを引いたがベンチが2枠しか埋まっていなかった事から盤面上唯一戦える大きなお守り付きのガラルギャロップVで可能な限り確実に2回技を宣言できるようにこだわりベルトorツールジャマー+クイックシューターまでを耐える盤面を作り、敢えて引いたパルキアの即着地はしなかった。次の番、予定通りガラルギャロップVが攻撃を耐えたのでパルキアVを2面配置し、ベンチを最大まで広げて更に次の番以降の展開に備えた。返しの番ではガラルギャロップVが突破され、削れたパルキアVSTAR2面とインテレオン1面がアタッカーとして成立しており、バトル場には残りHP100のパルキアVSTARが配置される状況となった。
しかしここでプレイミスが発生。パルキアVSTARをメロン+手貼りから成立させ攻撃準備を整えた部分までは良かったが自身が初動でスタジアムを2枚見せて片方貼って片方切っている状況でスターポータルを宣言せずに亜空のうねりを宣言してしまった。相手視点こちら側からスタジアムの貼り替えが不可能である可能性は非常に高く実際に返しの番で雪道が貼られ、メロンもしくは手貼り以外のエネ加速手段が絶たれた。一見結果論であるが、パルキアの構築自体の雪道の採用率と相手の盤面で裏工作が複数使用できる状況を考慮するとこの展開になる可能性は高かったと言える。
ガラルギャロップVの削りの影響で相手のパルキアVSTAR2面を自身のパルキアVSTAR1枚で取りながらこちらは満タンのパルキアVSTARを盤面に残す展開を作る事に成功したが、ラストターンを迎えた段階で満タンのパルキアVSTARはエネルギーが1枚しか付いておらず、殴るのにはもう1枚エネルギーが必要であった。相手の盤面にはパルキアVSTARはおろかパルキアVすらいない状況となり、アタッカーはパルキアVSTARを2回の攻撃で取れる可能性が低いインテレオンとジメレオンのみとなった。
この状況下で再びプレイミスが発生し、展開の過程でクロススイッチャーが抱えられていたのが見えていたにも関わらず山札に残る2枚のエネルギーを拾いつつ突破できない正面を攻撃させるツツジではなく、その盤面においては確実に攻撃を成立させるだけのメロンを宣言してしまった。この時点でジメレオン→ガラルギャロップV→パルキアVSTARとサイドを取られていたためこの宣言が間接的に決定打となり、返しの番でクロススイッチャーからベンチのジメレオンを落とされて敗北した。
結果としてスターポータルを宣言しなかった事が響いてはいるもののそれが無くとも勝てる可能性を残した展開を作れておりどちらか1つでも正解の分岐を踏んでいた場合勝利していた可能性が高かったため、構築そのものの捲り性能の高さを発揮はしたものの乗り手が構築のポテンシャルをフルに発揮できる域に達していないと感じる結果となった。

4.考察 ~この構築における今後~

今回のデッキ選択、及び60枚の選択は結果的に概ね想定通りの活躍を見せたため間違っていなかったが、プレイングの所々に弱い部分があり本番における詰めの甘さを実感する事となった。採用に至る以前は一般的なパルキアに入らないガラルギャロップVに枠を割く事により本来のパフォーマンスが落ちる事を懸念していたが採用枚数が最低枚数の1枚である事も含めて練習の段階を含めてもそれ自体の影響は少なく、この形の構築においての採用価値自体は高かったと言える。
反面ガラルギャロップVは自身の技で相手のポケモンを倒す事が不可能であるため遂行速度を重視してバトルVIPパスやクロススイッチャーを採用する先行制圧を前提とした形のパルキアとの相性は良いとは言えず、そういった形において採用する場合は本来の強い動きを諦める、もしくはガラルギャロップV自体を腐らせる展開になる可能性が出てくる事が想定されるため採用は難しくなると考えられる。
また、ガラルギャロップVを使う上で他のアタッカーとの兼ね合いは非常に重要であり、特にインテレオンラインの管理に関しては付けるエネルギーも含めて気にしなければならないため、通常のパルキアに比較しスターポータル宣言における選択は難しいケースが増えていると考えられる。
更に今後ガラルギャロップVの採用検討において、相手の盤面に依存せず高火力を出せてガラルギャロップVの行動回数が保証されにくいヒスイゾロアークVSTARのような系統や1面を1回の攻撃で倒した方がサイドプラン的に強くなる非ルールのような系統が増加する場合には強く使える試合が減るため採用価値が下がると考えられる。ただしこれらの構築は現状

5.謝辞 ※急に文体が変わります

謎に論文風(と言いつつ引用無し)に書いてみたい気分だったのでパッと見めちゃくちゃ真面目そうな文面になってしまいましたが、構築はレシピ自体が公式サイトの限界を探るとかいう名目でバラバラになりまくってる事も含めて自分でも未だにふざけていると思っています
実は構築を固定化した段階であんまり時間が無かったので練習する時間はそんなに多くなかったのですが、実戦における勝率は本来不利寄りの対面含め体感7割強くらいなのでパルキアってポケモンは本当に強いポケモンなんだなぁと感じました
リブラホーンを絡めた時の選択肢の多さが尋常じゃなく、全く同じ60枚でミラーをやったら普通のパルキア同士のミラーを超える駆け引きを楽しめると思うのでもし興味があれば現物以外でもプロキシや1人回しツールなんかを活用してやってみても良いかもしれません
完全に余談ですが、入賞した後で構築が公開されていたらしく自分で上げたベスト8の時のツイート以上に他の方が上げた変なレシピがあるぞという旨のツイートの方が伸びており、シンプルに驚きました(本当にただ驚いただけで他意は無いです)
何か質問等あれば冒頭に私のTwitterIDがあるのでリプなりDMなり送り付けてくれれば良いと思います(正直書ききれてない事が多いので指摘してもらった方が助かるかもしれません)
最後に、練習に付き合って下さった方々、応援してくれた方々、当日対戦して頂いた方々、運営に携わってくれたバトロコ苫小牧ミニバイパス店の店員の方々と当日のジャッジの方々にはこの場を借りて御礼申し上げます
ここまでご覧頂きありがとうございました
私はCSPも低く抽選にも落ちたので行けませんがPJCSに出る方は頑張ってください
それでは



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