見出し画像

ARエンタメづくりは至難の連続!?雨ニモマケズ風ニモマケズ、AR謎解きゲーム『サラと謎のハッカークラブ』をつくったときの話

えええ

まずは簡単な会社紹介から。

プレティア株式会社は、「共に達成する喜びを届ける」をミッションに掲げる、ARエンタメスタートアップです。ARクラウドと呼ばれる基盤技術を開発しながら、それを応用し、現実空間での全く新しいゲーム体験を創り出す、ということに取り組んでおります。

実際に皆様にご体験いただけるサービスとしては、今年の夏にリリースした、渋谷が舞台のAR謎解きゲーム『サラと謎のハッカークラブ』(通称サラ謎)があります。
オリジナルのストーリーに従って、実際に街を歩きながら、スマホを使って謎解きをしていく、という内容になります。

現在、開催開始から約4ヶ月が経ちましたが、早期に参加してくださったお客様の口コミを中心に人気が広がっており(是非、各SNSで#サラ謎を検索してみてください!)、大変有難いことに、最近は有名人の方にもプライベートで遊びに来ていただいております。


さて、前置きが若干長くなってしまいましたが...。いよいよ本題!
今回の記事では、そんなサラ謎の開発裏話について、私達が得た教訓を中心に綴っていこうと思います。

「ARを使ったサービス、自分でもつくってみたいんだけど未知数すぎるんだよな〜」なんて方にお役立ちできれば幸いです!(そして実際にサービスをつくって、一緒にAR業界を盛り上げていきましょう!笑)

正直な話、開発めちゃめちゃ大変でした(笑)

画像2

(補足: デバッグ中の牛尾の片手の様子 )

上段では、サラ謎良い感じなんですよというお話をさせてもらいましたが、こんな一見順調そうに見える私達も、リリース前はたくさんの大災害に見舞われておりました...。(懐かしい目)

リリース前の状況
・オフィスでテストヨシ!→実地でバグでまくり
・PM(代表牛尾)とUnityエンジニアによる連日泊まり込み作業
・開催前に致命的な進行系のバグ→やむを得ず開催延期
・連日の台風でとにかくデバッグがつらい

街歩きとオリジナルのストーリーが連動しているサラ謎では、リリース前に実際に自分たちで街を歩き回って、全シナリオのデバッグをする必要があります。オフィスでできる限りのことを仕上げ、「よし!あとは実際に外でテストするだけ!」なんて意気揚々と街に繰り出してみると...。

「あとは〜だけ」なんていうのは、甘っちょろい考えでした。
何を隠そう、そこからが本番だったんです(迫真)

出てくる出てくる、エンジニアの環境では存在していなかった、大量のバグ。開催日(当初は8/4を予定)が迫る中、ひとつひとつ潰していくには圧倒的に足りない時間。もうそうなると、泊まり込み作業しか道は残されていません。全ては期待をしてくださっているお客様(私たちは開催前にマクアケでチケットの先行販売を行っていました)のためにと、日夜全力で開発を進めるものの...。

開催日当日、どうしようもない進行系のバグに遭遇してしまいました。既に集合場所に来てくださっていたお客様にはただただ平謝りをし、泣く泣く開催延期を決断。しかしくよくよしている暇なんてもちろんありません。1日でも早くリリースできるようにと、何度も「これが最後のデバッグでありますように」と願いながら、必死でデバッグを続ける...。

けれどみなさん、覚えていますか?今年の夏は、毎週末のように台風が本州に上陸していたことを。そう、タイトルにある「雨ニモマケズ風ニモマケズ」は、このときの経験から来ています。文字通り、私達は台風にも屈せず、サラ謎をつくっていたんです。

そして、牛尾とUnityエンジニアを中心としたチームの連日の血の滲むような努力により、サラ謎は無事、8/19に開催をスタートしました。(開催延期によって多大なるご迷惑をおかけしたお客様には、今でも申し上げる言葉がございません。本当に申し訳ございませんでした。)

おそらく、このような話は、ARを使ったサービスを作ったことのある方にとっては想像に難くないことなのかな、と思います。けれど、私達にとっては初めての試みでしたので、想定外のトラブルの連続に毎日てんやわんやしておりました。

「ARサービス開発の罠、事前にもっと知っておきたかったぜ、、」ということで!

AR×位置情報サービス開発の◯◯に気をつけろ!

画像3

(補足: デバッグ中に牛尾が見た渋谷の朝焼け)

1. Unity開発のここに気をつけろ

・アプリっぽい既成のUIがない
・Google Maps使えない
・カメラの画質が悪い

AR/VRサービスの開発には、Unityが使われることが多いかと思います。しかし!残念ながら、Unityには、よくあるスマホアプリっぽいUIやジェスチャーをつくる、便利なフレームワークが存在しません。なので、普通のアプリっぽい見た目を作るのはかなり大変です。この対策として、ネイティブのフレームワークと組み合わせて使うか、社内できちんとテンプレートを作ってためておくことをおすすめします。

また、UnityではGoogle Mapsが使えません。なので、Mapboxを使うしかないのですが、こちらは悲しいことに、見た目があまり良くありません。この対策として、そもそも地図を長時間眺めるような体験設計にしないことが肝要になります。が、屋外に出ると(少なくともサラ謎では)そもそも皆さんあまり地図の見た目など気にされないので、荒いけれどもパフォーマンス優先で頑張るのがいいかなと思います。

そして、カメラの画質も、Unity越しだと悪くなってしまいます。なのでこれも、画質が重要となるような体験設計にしないというのが大事で、サラ謎でやっているような物体認識なんかを行うときも、画質を落として送る、といった工夫をしています。

2. 位置情報利用のここに気をつけろ!
・GPSはリソースを食う
・GPSはうまく動かないと思え
・デバッグが身体的に大変

まず、ポケモンGOを遊んだことのある方ならご存知かもしれませんが、GPSは大量の電池を消費します。これは特に格安スマホにとってはクラッシュの原因になりますので、GPSの取得頻度を最大限落とし、必要なときにしか使用しない設計するのが必須です。が、たまにしか使わないとはいえ、特にAndroidだと精度に個体差があり、GPSがきちんと動かないという事態が多発します。こういう観点からも、常にGPSが動いていないとダメ、といったような設計にするのは避けましょう。そして、上段で言及したとおり、位置情報を使ったサービスだとデバッグが身体的にキツイです。本当に。(真顔)こればかりは、ジムに行ってしっかり体を鍛えましょう、しか言えることがありませんね...。笑


3. お客様の「AR期待値」に気をつけろ!

・AR機能は使い所が限られる
・意外とみんなAR知らない
・「これはARじゃない!」って言われる

「AR」と言うと、「ポケモンGOみたいな?」といった反応が返ってくることが多いのですが、逆に言えば、大半の方は「AR」についてそれ以上の具体的な定義を共有していることはありません。皆さん思い思いの解釈をしており、なんなら「AR?なにそれ知らない」といった方が多いのも現実です。

ただ、一般の方のARに対する期待感としてひとつ間違いなく言えるのは、そもそも、フルARの体験は全然求められていません。ポケモンGOのARモードも、常にONにしているひとは珍しいのではないでしょうか?なので、あくまでもトータルの体験優先で、ARはここぞというときにだけ使ってもらう、という意識が大切です。

そして、上述の通り、ARという技術はまだまだ一般に知られているとは言えないので、コンセプト動画を使って視覚的にわかりやすくサービスの説明をすることが重要になります。サラ謎でも、公式トレーラームービーを作りました。ARのことを全く知らない友人でも、この動画を見せると「え、めっちゃ面白そう!」と俄然興味を示してくれるので、(多少お金がかかってしまうとはいえ)ここの努力は怠らないほうがいいです。


また、こちらも上述の通り、ひとによってARに対する考え方が異なるので、サラ謎のお客様(特に業界関係者の方)の中にも、「これARじゃないじゃん」といったコメントを残される方もいらっしゃいます。しかし、結局はトータルで楽しんでいただくことが何よりも大切なので、細かい定義にはあまり振り回されずに、開発チームは黙って顧客満足度の向上を追求すべきです。(正直ここは、AR業界のみなさん見落としがちなのではないかな、と思うところでもあります...!)

以上、ここまでで、私達がAR謎解きゲーム『サラと謎のハッカークラブ』をつくったときの話をまとめてみました。みなさんから逆に敬遠されてしまうのではないか、とちょっと心配になるぐらい、「想像以上に大変でした」という話を赤裸々に綴ったわけですが(笑)、至難を乗り越えた先にある、お客様からの「めちゃくちゃ楽しかったです!」や「次回作も絶対来ます!」の言葉は、本当に何ものにも代え難い喜びです。

---

Pretiaでは、AR謎解きゲーム以外にもいろいろな事業に取り組んでいます。


Pretia Technologiesでは、「共に達成する喜びを届ける」というビジョンを一緒に実現してくれる仲間を探しています!少しでも気になった方は、まずはカジュアルにお話しましょう!

▼募集しているポジションの一覧はこちらです!


▼すぐに応募はちょっと…!という方は、Meetyにてカジュアルに面談しましょう!事業の内容が気になるという方からの雑談も大歓迎です!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?