「拍手」の向かう先は…?
先週の鹿島戦に続いて、観客動員数を5,000人に上限設定して開催された柏レイソルとの一戦。
今回はREX会員のステージを段階的に引き下げて販売した結果、鹿島戦から約1,000人を上回る4,127人の観客が集まりました。
前節のFC東京戦での敗戦を払拭させる戦いをすべく、4,127人の後押しを受けた浦和レッズ。
その結果が、0-4での完敗。
通常であれば盛大なブーイングや徹底した沈黙という反応を示してもおかしくない結果ですが、新型コロナに関するガイドラインに従ってブーイングはできず。
私自身も、こんな試合を見せられたら「怒り」か「呆れ」の二択での反応を示したと思いますが、
今回は自分でも驚くほど冷静な気分で浦和レッズの敗戦を受け入れてました。
1993年のJリーグ開幕から浦和レッズを応援してきた私ですが、敗戦でこんな気分になったのは記憶にありません。
リーグのお荷物と呼ばれた時代やJ2時代の大敗、その他にも考えられない内容の敗戦は数多くありましたけど、
今回の敗戦は試合途中(しかも割と早い段階)で「負けるべくして負ける」試合だと感じてしまい、重なる失点に眉ひとつ動かずに観ていた自分がいました。
何故、早い段階に必敗の試合になると察したか?
柏のGK・中村航輔選手の好守に阻まれる機会は多かったけど、主導権を握った試合運びでシュートで終われる数も多く、選手の動きに大きな不満はありませんでした。
そんな選手を後押しすべく、先制点に向けて効果的な拍手で応援を…!と思ってた矢先に、ガイドラインで禁じられている「明確な」手拍子が北ゴール裏から発生します。
先週の鹿島戦での一部サポーターによる行為がチェアマン等のお偉いさんたちから直々に批判され、
一部の現役選手やOB選手からも相次いで「選手の為にならないからやめてくれ」と咎められたのは記憶に新しいところです。
そんな「やめてくれ」とされた行為を、再び繰り返してしまったサポーター。
試合前には、ガイドラインで禁じられた旗類を「振っていない」けど釣竿の如く掲げ垂らす行為も見られた時点で嫌な予感はしてましたが、嫌な予感は見事に現実となりました。
今回の試合だけで確認された主な禁止行為は、
・チャントのリズムに合わせた手拍子
・指笛
・ブーイング(野次含む)
鹿島戦で大きな問題となった「椅子叩き」はさすがに見られませんでしたが、それ以外の禁止行為は数多く発生してました。
特に酷かったのが、チャントのリズムに合わせた手拍子の数。
アッパー席から見る限り、いわゆる「中心」部分から発生した意図的な手拍子に一部賛同する人もいましたが、多くの人は呆れてしまいスルー。
そんな得られない賛同を得ようとするのか、懲りずに繰り返される手拍子。
それに見かねたサポーターたちは「意図的な手拍子を掻き消すため」の拍手を実施します。
試合中だというのに、限られた応援方法である拍手を選手への後押しに使うのではなく、身内が犯した愚行を掻き消す為に使われてしまう異常事態。
試合に集中して、選手の一挙手一投足に注目して後押しをするタイミングを見極めなければならないのに、
多くのサポーターの意識は愚行を犯すサポーターにも注目せざるを得ない状況が発生してしまいました。
浦和のチャンス時だけでなく、柏の選手が負傷したりプレーが止まってる関係の無いタイミングで発生する盛大な拍手。
これではピッチ上の選手たちも調子が狂って、4失点の完封負けを喫するのも当然です。
(あまりのヒドさに、試合途中にはオーロラビジョンに禁止事項が表示されて注意喚起がされました。)
限られた観客動員数で最大限の後押しをしなければならない状況で、このような「足を引っ張る」一部の不届き者のせいで満足のいく後押しができず、試合にも敗れる。
こんなサポーターが、FoxSportsが選ぶ「世界の熱狂的なサポーター5選」に名を連ねるサポーターだって?
笑 わ せ る ん じ ゃ な い 。
自分たちの自己満足な事ばっかりして、選手の後押しも満足にできない人の何がサポーターなのか?
前述の通り、私は1993年から浦和レッズを応援してきて、一時期ではありますがゴール裏の住人だった時もありました。
そんな一個人の意見ですが、最近のゴール裏(の一部の人たち)の振る舞いには「カッコ悪さ」を感じます。
一生懸命に頑張ってる当事者達からすれば「昔は良かった…」とする懐古主義者による戯言に聞こえるかもしれませんが、
かつてのゴール裏から発せられた「浦和」特有のヒリついた雰囲気を感じる機会は確実に減ってるし、ビジターのサポーターから同様の意見を聞く回数もここ数年で増えてきていました。
昔も今も、浦和サポーターには一定数の悪さをする人はいますが、今の悪さには幼稚さというか、オブラートに包まず言うと「ただの馬○者」と感じる部分が多い印象です。
(例えるなら、担任の先生に反抗したり「ルールを破る俺カッケーww」とイキがる男子中学生のような痛々しさと言えば良いでしょうか…?)
そんなやり方では、サッカー文化の玄人が多い浦和において賛同を得るのは難しいと思います。
実際に、2017年の新潟戦で発生したウィアダイ拒否騒動や、灰色決着濃厚と化してる「25周年の歌」への賛同者の少なさなど、
ゴール裏中心に対する求心力というか、ゴール裏中心とそれ以外のサポーターとの意識の解離が日に日に拡大してるなと感じる部分があります。
その証拠として、今回の柏戦で発生した「手拍子を掻き消す拍手」の数が「それ以外の浦和サポーター」の総意として物語っていたのかと思いますが、皆様の印象は如何でしょうか…?
(我々の拍手は、選手を走らせられたでしょうか…?)
話を戻すと、今回の柏戦で試合途中の早い段階で負けるべくして負けると感じたのは「サポーターが試合に集中できてない」という雰囲気に満ちていたからです。
私自身も味方の応援と呼べない応援に気が散ってしまい、試合内容が頭に入らない時間帯もありました。
そんな雰囲気にしてしまったのは、他ならぬ熱狂的な応援を自負する一部のサポーター。
そんな彼らが、試合以外での部分(ビジュアル準備や横断幕の設置、チャントの作成など)で多大な貢献をしてくれてるのは理解してますし、感謝もしています。
ですが、肝心の試合中において応援に集中できない雰囲気のスタジアムにしてしまい、チームを満足に後押しできないことが、果たして"ONE HEART TOGETHER!"と呼ぶのに相応しいでしょうか?
我らの埼スタに乗り込んできた相手に勝つための努力をしなければならないのに、味方の応援を掻き消す拍手をするなんて我々は一体何と戦ってるのか?
我々の拍手は、身内の愚行という尻を拭うためではなく、ピッチ上で浦和の為に走り戦う選手たちを後押しするために贈りたいのです。
新型コロナの影響で、通常よりも高い料金を払ってチケットを購入してるんだから、より一層の後押しと選手のプレーに注目して観戦したいのに、
鹿島・柏の2試合を現地観戦した者の感想としては身内の愚行によって台無しにされた感が強いです。
ある意味で訓練された身なので、これで埼スタに行かないなんて事は言わないし思いもしませんが、
普通なら観戦に集中できない居心地の悪さで、スタジアムから足が遠のいてもおかしくないレベルの雰囲気だったと思います。
クラブとしても禁止行為を行わせない対応はしてるけど、これ以上の改善が見られないようなら強権を発動するのも仕方ないと思います。
何故なら、明らかにクラブにとってマイナスな行為を繰り返しているから。
禁止行為を繰り返してスタジアムの雰囲気を台無しにして、(間接的に)選手たちにも良くない影響を及ぼして(間接的に)惨敗の要因のひとつになって、入場者数の減少にも繋がりかねない行為をする人たちを「サポーター」と呼ぶに相応しいのか。
社会情勢の影響で、引き続き8月いっぱいは5,000人上限試合が継続される事が濃厚ですので、この辺の対応についてリーグやクラブ関係者だけでなく皆さんで考える必要があるのかなと思います。
色々とデリケートな部分を含む問題なのは百も承知してますが、何年かおきにやって来る「考える機会」が、今年にやって来たのかなと思わせられたのが、vs柏レイソル戦を観戦した感想でした。