3,094人の「1人」として…(前編)

note界の皆様はじめまして。

しがない浦和レッズサポーターをしている「ぷれすと」と申します。

普段はTwitterにて主に浦和レッズに関する他愛もない事を呟いてますが、
このたび、140文字では残せない出来事について後々のために記録しておきたいと決意したことから、noteを開設してみました。

(後々に残す事を目的としてるので、時代背景も含めて表記してるため2020年に読む際には少々面倒くさい文章構成となっております。予めご了承ください。)

それでは、さっそく本題に移ります。

2019年11月に中国・武漢での発生が初確認されて以来、全世界で感染拡大の猛威を奮う新型コロナウィルス(COVID-19)。

その影響を受けて、2020年2月に開幕した明治安田生命JリーグはJ1およびJ2の開幕戦を開催した直後にリーグ戦およびカップ戦の延期(のちに中断)を発表。

再開予定時期を決めては延期、再度決めては延期を繰り返し、さらには延期予定が白紙に至るなどの紆余曲折を経て、同年7月4日(土)に無観客を条件としてリーグ戦が再開。

そして、7月12日(日)に入場者数を最大5,000人に設定、発声による応援行為の禁止等という条件付きのもとで、観客を動員してのリーグ戦の開催が再開されました。

ここでツイてなかったのが、観客が5,000人に制限された最初の試合の相手が鹿島アントラーズであったこと。
通常であれば50,000人を超える観客が動員されて熱狂的な雰囲気を生み出すドル箱試合を、その1/10の規模で行わなければならないのが悔やまれます…。

ちなみに、浦和レッズ主催の試合における5,000人は、シーズンチケットを25年以上継続保有する"DIAMOND"ステージの会員が対象。

この時点で私は、その下のステージである"PLATINUM"会員であったため購入権は得られず、試合概要が発表された時点で納得し、大人しく自宅でテレビ観戦をする事を決めていました。

しかし、試合開催の2日前にクラブ公式から驚きの案内が届きました。

ま さ か の 購 入 権 ゲ ッ ト…!

この時点では先着順であったので厳密にはチケットを確保できてませんが、ノーチャンスだった身に突如舞い込んだ事態に喜びを隠せませんでした。

(※この背景には、購入権を有するDIAMOND会員が試合の数日前から感染者数が再び急増した「感染第二波」の可能性を考慮して、断腸の思いで観戦を自粛された英断などの理由があった事を併せて記しておきます。)


一方、私は自宅~埼スタ間は自転車でも行けるほどの距離であり、長時間&複数の地域間移動による感染リスクが低い(と思われる)と判断したので、この時点で購入を決意。

そして翌日、10時ちょうどにREXチケットに接続して無事に購入が完了。
試合前日に滑り込みで5,000人のうちの1人になれる権利を得る事ができました。

そして迎えた試合当日。

シーチケ皆勤賞の証であるピンバッジを毎年のように貰うほど通い慣れた埼スタに帰ってこれた事に安心すると共に、
試合日とは思えないほどの静寂に包まれた埼スタに、早くも違和感を覚えました。

開門時間の約30分前に到着したので、開門開始までの間は(推奨されないけど)埼スタの周囲を散策。

通常は浦和美園駅方面からの玄関口として飲食屋台やグッズ売店、各種日替りイベントなどが設けられて多くの人が集まる南広場は、まさに閑散の一言。

また、観客を動員して再開される試合の初戦として各種マスコミも多数駆けつけてましたが、広々とした南広場を活用してソーシャルディスタンスを維持した距離感でカメラをスタンバイ。

ここでは、浦和美園駅方面からやって来るサポーターに向かって、我先にインタビューしようと各TV局の記者やアナウンサーが待ち構えてる姿が印象的でした。

また、入場する際にはサーモカメラによる検温や手指の消毒を実施し、マスクの着用を徹底するなど感染拡大防止に向けて万全の態勢で観客を迎え入れてました。

この特殊状況下では入場時の手荷物検査が実施されず、チケットは係員に提示した後に観客自らが半券をもぎるシステムを採用。
ホームゲーム恒例のマッチデーカードなどの配布物も無く、ワンタッチパスの入場記録付与端末やハートフル、REXクラブのブースなども用意されておらず、人から人への接触による感染リスクを徹底的に省いてました。

また、北ゴール裏・バックスタンドのチケットを保有する方は北門、南ゴール裏・メインスタンドのチケットを保有する方は南門からの入場を指定。
互いのエリアへの往来を防ぐためのローピングも行われる徹底っぷりには運営側の本気度が窺えました。

そして、ペデストリアンデッキからコンコースを経てスタンドへ入場。

ここで皆さんに想像して頂きたい。

約5ヶ月ぶりとなるスタジアム観戦。
頻度は人によって様々だけど、私みたいな毎試合訪れる程の観戦頻度であれば、5ヶ月もスタジアムに行かないとなると禁断症状が出てもおかしくない状況。

その状況下で、心の底から渇望していたスタジアム観戦の機会。

そんなスタジアム観戦に飢えたサッカー馬鹿が最初に目にする光景が↓↓であったら、果たしてどんな心境になるだろうか…。

答えは簡単です。冗談抜きに泣きました

周囲に人がいなくて助かりましたが、様々な感情が込み上げた結果、自然と涙が溢れてきました…。

先立って開催された無観客での横浜M戦にてクラブ関係者が総出で準備したビジュアルは圧巻でしたが、
今回のビジュアルはシンプルながらも負けず劣らず、実に「浦和」らしさが表現された素晴らしいものでした。

※画像:浦和レッズ公式Twitterの横浜M戦のビジュアルサポートの模様より引用


まだまだ「日常」には程遠い状況下でのスタジアム観戦でしたが、良い意味での「非日常」がここにはありました。

そんな感慨に浸りつつ、指定された席についてしばらくスタンドを眺めていると、前席の背もたれに1枚の紙が貼られてました。

【選手を走らせるのは ここにいる5000人】

そうです。優勝が懸かる試合など「ここぞ」という場面で貼られる煽り文句のビラが各席に貼られていました。

ビジュアルの装飾だけでも大変なのに、座席確保のためにビニールを外したり、さらにビラまで各席に貼るんだから相当に大変だった事が容易に想像できます。

これらに携われた方々に、この場を借りて御礼を申し上げます。

※所々でドット柄の歯抜け模様になってる部分が、実際に発売された座席。
ビニールシートが設置されてる=座れない席として、ソーシャルディスタンスが確保されてました。

落ち着いた頃合いに、しばしコンコース内部を散策。

事前に浦和公式からスタジアム内でグッズやMDPの販売がないのは告知済みであり、当然の如く売場は全て閉鎖。

さらに、試合観戦の醍醐味のひとつでもある「スタグル」を提供する飲食売店も軒並み閉鎖し、各エリア1店舗限定で営業されてました。

提供される飲食物についても、簡単なホットスナックやソフトドリンク(未開栓のペットボトルで提供)のみで、アルコール飲料や弁当・麺類など主食となるメニューの取り扱いはありませんでした。

コンコースについても区域制限がされていたので、10分程度で散策完了。

コンコースから再度スタンドへ戻ると、後から入場してきたサポーター達がビジュアルの写真を撮影したり、マスク越しに伝わる笑顔を浮かべながら場内を散策したり、仲間との久々の再会を交わしあうなど、一様に試合観戦ができる喜びを感じている模様が窺えました。

しばらくすると、朝井さん&岩沢さんによる"GO REDS GO"が開始。
あたり前に聴いてた場内放送をこんなに恋しく思いながら耳を傾けたのは、Jリーグ開幕以来はじめてかもしれません…(^_^;)

そしてウォーミングアップが始まると、おセンチな気分に浸ってた気持ちは否が応にも急上昇。


鹿島相手に勝利をおさめる後押しをすべく、各々が静かにテンションを上げてキックオフを待ちます。

いつもの場内BGM、いつもの選手紹介、いつものパートナー企業CMというルーティンを経て、
いつもの"FIRST IMPRESSIONS"が大音量で流れて選手入場の瞬間が訪れます。
(補足:鹿島の某ベテラン選手に対する「いつもの」選手紹介時の拍手も実施されました)

ここでサポーター達は、有志により配布されたビジュアルと同色の着衣型ビニールを身に纏い、盛大な拍手と共にタオマフやゲーフラ等を掲げながらオールスタンディングで選手を迎えます。

こんな少人数でも、ここまでの雰囲気を創れるものなのかと、自分達の応援を自画自賛してしまいそうな(?)気分になりました。

選手入場後はソーシャルディスタンスを保った整列、集合写真、握手を交わさないコイントス、肩を組まない円陣という「いつもの」とは異なる流れでキックオフを迎えます。

そして、注目の試合展開はCMのあと!!…ではなく、キックオフを迎えた時点でこの観戦記はいったんハーフタイムといたします。

後編は試合中~試合後について纏めますので、どうか前編・後編と併せてお読み頂ければ幸いです。

では、ここでいったん失礼いたします。