配布資料は不要?何を渡す?
みなさん、こんにちは。
Sirius(シリウス)です。
ありがたいことに「スキ」を押して をいただいたり、2日連続投稿をしたら「えらい!」って表示が出たりして、調子に乗って3日連続投稿してみています。(最初に考えてた週1~2回が崩れてますが。)
いまの時期は残業もほとんどなく、早めに帰れる…というのもありますけどね。
さて、前回の 02 基本的な考え方:「配布資料」じゃなくて「プレゼン」を作る。 の回では…
1:プレゼンの画面を印刷したもの(ハンドアウト)を配ってリスナーに持って帰ってもらい、あとで読んでもわかるようにしておきたい
2:プレゼンの場に来られなかった方も、あとでハンドアウトを渡せば内容がわかるようなスライド構成にしておきたい
3:プレゼンをする際に自分がコトバに詰まったりして困らないように、原稿を兼ねたスライドにしておきたい
という3つの要素をプレゼンに盛り込むと、それはプレゼンではなく配布資料に近いものになって伝わりやすくなるパワーを大きく低減する…とお伝えしました。今回はその理由から。
3つの要素が盛り込まれると伝わりにくいプレゼンになる理由
まず 1:ハンドアウトをリスナーに渡すと伝わりにくくなり理由
プレゼンや講演を聞く会場に行き、席に着くとその日の資料が置いてあります。ほとんどの人は、その資料を開始前に読み始めます。
その資料がハンドアウト(=プレゼンのスライドを印刷したもの)だと、プレゼン中に進行に合わせてページをめくりながら、スクリーンと同じスライドを紙面でも追い、メモをしたりもします。さらに、スピーカーが「この部分が…」なんて言いながらスクリーンを指したりすると、そのたびに顔をあげて「どこだ?」と目線を動かしたりする。これが伝わりにくくなる元凶。良かれと思ってハンドアウトを渡していたら、内容が余計に伝わらなくなるわけです。
対応する練習/訓練をかなりしている人でなければ ①手元資料を読む ②スピーカーの話を聞く ③手元資料からスクリーンに目線を映し、示されている箇所を把握する ④重要と思われる内容をメモする という4つを同時並行して、プレゼンの主題を理解することは不可能です。最大で①②③④のうちの3つができるかどうかです。
つぎに 2:来られなかった人にもプレゼン内容を分かるハンドアウトにすると伝わりにくくなる理由
会場にいるリスナーは「資料+スピーカーの話(音声) 」という2つの情報源があり、会場に来られなかった人は「資料」という情報源しかありません。情報量は 資料(文字)< 音声 と、耳で聞くほうが圧倒的に多いので、来れなかった人に合わせてハンドアウトを作ると、その場にいるリスナーには資料の情報量が多すぎて、話を聞きながらアタマの中で処理できる情報量を大幅に超えてしまい、結局なにもアタマに残らない…という残念な結果になります。
そして 3:スピーカーの原稿を兼ねたハンドアウトにすると伝わりにくくなる理由
これも2と同様に情報過多が起こることに加えて、もう1つ問題があります。1で資料があるとつい目で追ってしまう…と書きましたが、リスナーが手元の資料に書いてあることと、スピーカーが話す言葉がほぼ同じだということに気づくと、無意識のうちに資料上で話している箇所を目で追い始めます。そうするといつの間にか、プレゼン内容よりもその箇所をしっかり追えていることのほうが大事になってきてしまい、うわの空になってプレゼンの内容(特にスピーカーが話した内容や重要な部分)はあまり残らないままになります。
それでは、何を配布したらいいのか?
今回はちょっと長い文章になっていますが、ここからが本題。
以上のことから考えた場合、いったい何を配ればいいのでしょうか。配るべき資料のタイプは
① プレゼンに”関連性のある“資料
②ハンドアウト
の2つです。
①プレゼンに”関連性のある“資料
たとえば航空会社の営業で、新規に取引をしたい法人(企業)のお客さまにプレゼンをする場合、自社の企業体制とサービスを知っていただき、多くの航空会社の中から選んでいただく必要があります。この場合は「会社概要」「運航便タイムテーブル」「就航地の案内」「自社で出張する場合のメリットを記載した資料」をお渡します。
一般のお客様に、自社便を使った旅行をアピールするイベントでのプレゼンテーションでは「就航地の案内」「運航便タイムテーブル」「機内サービス案内」をお渡しします。(一般のお客様にとっては会社概要を受け取って、社長の名前や資本金の額,グループ会社一覧を見ても、大きな意味がないですよね。)
こうしたプレゼンに関連性のある資料をお渡しして、プレゼン終了後に見ていただいたり、スライドに盛り切れなかった内容を「お手元にお配りしている、この資料をご覧ください」とコトバで言うことで、その資料をプレゼンスライドの「延長コード部分」として活用することもできます。
②ハンドアウト
これだと「あれ?ハンドアウトを配るとよくないことしか言ってなかった?」と言われますね。配ってもいいし、配ったほうがリスナーが「プレゼン内容の復習」するのにも役立ちます。もしプレゼンの印象がとてもよく、周囲の人に「このプレゼン、よかったんだよ!」と伝える場合に、ハンドアウトがあれば伝えてもらいやすくもなります。
では、どうすればいいのか? このシリーズが大多数のプレゼンと異なるポイントの1つ目です。
ハンドアウトは、プレゼンが終わってから配る。
あとの回で書くように、前後の時間や会場の都合ですべての場合でこの方法ができるわけではありませんが、基本的にハンドアウトはプレゼンが終わってから配ると、上に書いた問題点をクリアしつつハンドアウトの良さを生かすことができます。
ただ、繰り返し書いているように「ハンドアウトをあとで配る」というのは他にほとんど見ないプレゼンのスタイルで、多くのリスナーは「あれ?今日はスライドの資料はもらえないのかな?メモするのに困らないかな。」と不安な気持ちを抱えたままプレゼンを聞き始めることになります。
ですので、不安を取り除きプレゼンの内容に集中してもらえるように冒頭で「このプレゼンのハンドアウト、スライドを印刷したものは終了後にお渡ししますので、前方のスクリーンだけを見ながら聞いていただき、重要と思われるところだけメモをしながらお聞きください。あとで質問もお受けしまうので、聞き逃したところがあればそこでリクエストいただければ再度ご説明します。」と伝えると問題なくプレゼンをスタートできます。
ちなみに、これを伝えておかないと、話を聞きながらスマホでスクリーンの撮影をするリスナーの方がいて、これもまた話を聞いていただけない要因のひとつになるので、最初に伝えておいたほうが良いです。
余談ですが、さらに事情があってハンドアウトを配れない内容のプレゼンだったりした場合は「ここでしかお伝えできない内容も特別に盛り込んであるので、ハンドアウトはきょうお配りしません。スクリーンの撮影もご遠慮ください。」というのもアリです。この場合はより一層、リスナーの方はプレゼンに集中し、メモを取っていただけることも少なくありません。
次回 04 現場のことを知っておこう。 では、プレゼンを作り始める前にプレゼン本番でのことをあらかじめ知ってから作り始めるほうが、効果的に伝わる、という内容をお届けします。