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DONA認定バースドゥーラへの道のり②出産サポート(バースドゥーラ)の役割と効果について

はじめに

この記事は、DONA(国際北米ドゥーラ協会)の認定の課題であるエッセイの日本語版下書きです。つまりDONA認定バースドゥーラへの道のり②ともいえるかもしれない。
あーあこれを英訳しないといけないんだなあ…誰かやってくれないかな。笑
あと多分内容が多すぎて削らないといけないんだよな。500 to 1000 wordsが指定なのでこれを英語に直したら全然書ききれないと思うんだけど、読んでくれる審査の人、日本の出産事情とか興味ないかしら。

日本での出産における文化・心理的背景

初めて妊娠して出産を迎えるときに、不安を抱える妊婦は珍しくない。テレビドラマや映画での出産の描写や、友人たち、あるいは昨今SNSでシェアされる体験談を通じて「痛い・怖い」というイメージを持っている人が男女問わず大勢いるものだ。
ここ日本でも出産についてポジティブな体験談を聞くことは非常にまれである。それぞれの国で妊娠・出産にまつわる文化というのは多様性があるものだが、日本においては欧米に比べ無痛分娩の実施率は低い(アメリカ41.3%、フランス65.4%、イギリス20.8%、日本5.3%)。それは無痛分娩を実施できる施設自体が少ないことや、入院日数が長く入院中にある程度体力の回復が見込めるといった理由もあるが、そのベースには出産に限らず忍耐を美学とする国民性により「痛みを伴ってこそ出産である」「おなかを痛めて産まないと愛情が湧かない」といった(実際には科学的根拠のない)価値観があることも大きいだろう。

出産に際する痛みを許容(黙認?)している割に、出産に向けて妊婦が体の準備を整えておくことには関心があまり高くなく、ぶっつけ本番で臨む傾向がある。男性に忍耐強く追従する女性像の残像なのか自分の身に起こることでも自己責任の意識がうすく、医者にかかると「(自分ではよくわからないので)先生におまかせします」と病院任せ、医療者まかせになりがちな点も文化的心理背景として指摘しておきたい。これは産婦とその家族にとっても、医療者が行う選択においても非常に影響のある背景だと考える。

心と身体の準備が不十分な中でお産がスタートすれば、お産が「自分のよくわからないところで進んでいく痛みを伴う体験」として記憶され語り継がれてしまうのはある意味必然の流れであろう。

出産をポジティブな体験に変換する

しかしお産は痛みに耐えて赤ちゃんを産み出す修行ではない。肉体的に極限状態にありながら、自らの身体を信じ、直感を信じ、赤ちゃんや周りの人々を信じその後何年も続く育児や自らの人生にエネルギーをもたらす強烈にパワフルな体験になりうるものだ。
人生に何度もない出産体験がポジティブなものになるようサポートをするのがドゥーラという存在だ。

バースドゥーラはママの伴走者として出産に立ち会い、心理的・身体的サポートを行うことを役割とする。しかし医者や助産師のように医療行為は行わない。非医療的な範囲でママの体が分娩中しんどくないように、また赤ちゃんが出て来やすいように体位の提案をしたり、レボゾという分娩に使われる伝統的な布を使ったテクニックを行ったりしながらママを励ます。
またある時にはただ近くにいるだけということもある。体に触れられたり会話をしなくても、お産という大変なときにただ誰かがいるというだけで安心感が得られるものだからだ。

ポジティブな体験とするためにはママの意思や存在が尊重されることも大切なことだ。病院で弱い立場になりやすい(また心理的に過度に依存しやすい)ママの心の支えとなるため、あらかじめママや家族がお産に対してどう考えているかヒアリングを行い、ママや家族の意思を知る人として存在することで医療者との円滑なコミュニケーションを促すこともドゥーラの大切な役割のひとつだ。心理的な支えとなるうえで、ドゥーラが医療行為に対する個人的な意見を述べたり、ママや家族の代わりに意見を代弁したり、ドゥーラ自身の考えを押し付けることは倫理的に認められないこととされる。また情報の提供を行うときにはエビデンスに基づく情報であることも求められる。

ドゥーラは家族も助ける

ママだけでなく、出産に立ち会うパパや他の家族にとってもドゥーラの存在は役立つものとなる。出産をするママが初めてなら立ち会うパパも初めてだからだ。どのように妻を支えるか、ドゥーラから指南を受けて落ち着いて立ち会いに臨むことができる。マッサージを共に行ったり、普段と違うママの様子に不安を感じたときにこれで大丈夫なのよと声をかけてもらえたり、医療者に適切な質問をするよう促してもらえる。パパが落ち着いているとママの安心にもつながりお産はさらにスムーズになる。夫婦にとっても絆が深まる経験になるだろうことは言わずもがなである。

ドゥーラサポートの効果

ドゥーラの存在によってお産によい効果があることが研究でも示されている。分娩時間の短縮、帝王切開率の減少、鎮痛剤使用率の減少、補助分娩(鉗子・吸引)率の低下、お産に対する満足度の上昇、パートナーとの関係が良好になる、産後うつになりにくい、母乳保育率の上昇、児に対する愛着の形成がうまくいきやすいなど。

ただ最も大切なのはその出産体験が支えられ、尊重されて安心できる環境と人に囲まれてされること、そしてそれによってママと家族がポジティブな体験として赤ちゃんを迎えることでその後の愛情あふれる育児につながることだろう。

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