この世界の悲劇

スタンフォード大学の西鋭夫教授は、若かった頃(ワシントン大学で博士号を取得した時)、CIA(Central Intelligence Agency)からスカウトされたそうだ。その時、老エージェントはこのようなことを語った、「トシオ、この世の中、金とセックスとステータス、これを提示されてなびかない人間はいない」と(言葉通りではないかもしれません)。これこそは、CIAが諜報活動や非合法工作を行う上での基本原理なのであろう。そしてこれはアメリカがどのような国であるかをも語っている。そしてこの原理は、残念ながら、日本も含めたあらゆる国に浸透しているように見える。人間性の最も低劣で未熟な、煩悩むき出しの世界である。しかし、世界の歴史は、煩悩による、争いと搾取の歴史に他ならない。否定したくとも、これが現実である。

CIAが西教授に求めたのは恐らく、工作員となって同胞の日本人を裏切り、我々に協力せよ、そうしたら見返りに、あなたには金と女とステータスを保証しようではないか、ということなのであろう。教授は結局それを断った。
しかし、このような誘いを受けて、CIA(つまりはディープステート)に協力しながら、日本の各界の要職に上り詰め、国益を損ないながら、自分だけは甘い汁を吸ってきた裏切り者たちが、どれだけいたか、そして現にいるのかは計り知れないように思う。(西教授は今、それらの人々を弾劾している)
とくに政治家たちがなぜに自分の国を良くできないのか、外圧にいとも簡単に屈してしまうのはなぜか、かくも国民を顧みることがないのはどうした訳か、それは当然と言えば当然のことであったのだ。
人格の最も貧しく卑しい(そして頭脳だけは優秀な)人物が、各界のトップの座に就く、これが我々の世界の悲劇なのである。

とは言え、人間というのは、果たして、そんなつまらないだけの存在なのだろうか?この人生は生きるに値しないものなのであろうか?
そうではあるまい、自己自身の内側を自己の光で照らして看るがよい、何が見えるであろうか?
東洋の瞑想者たちは、ただ、そのことだけを伝えてきた。
これが、病んだ現代世界に対する、最も重要な、そして唯一の処方箋となるだろう。

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