2023皐月賞 反省

レース前に出した予想記事をもとに、反省会をします。

まずはレース全体の雑感ですが……。

今年は典型的な外差し展開となりました。
前を走った馬と直線で内を走った馬は1頭を除いて壊滅。元々馬場はぬかるんでいましたが、直前の雨が嫌がらせのように効きましたね。皐月賞の前のレースではインも走れていたんですが、あのピンポイントで降った雨は天が馬場を用意したかのような、19世紀ならそんな伝説にもなっていそうな雨でした。
こういう激しいバイアスのかかった競馬は騎手の判断と運に大きく左右されるもので、そこで突き抜けたのが社台と武史であるところに武史ファンとしては何か運命めいたものを感じてしまいました。

それでは私の予想の印と実際の着順です。

9人気7着◎トップナイフ
2人気1着○ソールオリエンス
3人気10着▲1ベラジオオペラ
8人気6着▲2シャザーン
1人気3着△1ファントムシーフ
4人気9着△2フリームファクシ
5人気2着△3タスティエーラ
11人気14着△4マイネルラウレア
6人気13着☆1タッチウッド
7人気17着☆2ホウオウビスケッツ

印を沢山つけた割に掲示板を2頭外しているのは悲惨ですね。対抗に1着馬を当てられたのは良かったですが、2番人気なので全く誇れることではないですし。
以下、印をつけた馬と外した掲示板2頭について、予想も振り返りながら書いていきます。

◎ トップナイフ 9人気7着

うーん、悔しい敗戦でした。
血統的にはシルステ同様に内を回らせても良かった気はしますが、まぁ前の馬がどう垂れてくるか分からないところを走らせるのは危険ですしね。かといって外に持ち出せばソールオリエンスの邪魔になってしまう。4角時点で良くて掲示板争いというポジションになってしまいました。

なんといっても出遅れが痛恨でしたね。キレのある馬ではないですし。
気性にやはり難があって、数を使ってガス抜きしてきた馬だけに弥生の一戦では足りなかったのかなとか、しかしまぁ結果論ですから。ローテ的にも弥生賞かスプリングSが限界で、スプリングSはタフな競馬になりましたからね。弥生賞を使った判断が間違っていたとも思えない。

書き忘れてましたが「展開が向かなかった」「かかってしまった」「出遅れてしまった」「包まれてしまった」というのは、繰り返します。
同じように「展開が向いた」から好走した馬は、その後のレースでも展開が向く可能性は大いにあります。
不利を受けるには受けるだけの、展開が向くには展開が向くだけの理由がありますからね。

2023皐月賞 予想


フラグでした……。
まさかスタート出ないとは、本当に何があるか分かりませんね。気性の難しさをどう修正するか。
今後は同じ昆厩舎のマテンロウレオみたいなローテになるかもですね。この馬はレオよりは距離短いと思いますし、オリオンの方が近いか。
ダービーには出るんだと思いますが、まぁそこでどこまでやれるかです。

鞍上のノリは流石というか、無理に押し上げずにゆっくりと上げていきながら、最終的には終い伸ばして7着。息子が突き抜けていくのを見届けられて良かったですね。
まだまだ諦めてないですから。これからもトップナイフと昆ノリタッグには期待します。
重賞は取れる馬です。

○ ソールオリエンス 2人気1着

強かった。めちゃくちゃ強かったですね。
予想ではスケール感があると書きましたが、期待以上でした。まさに「これほどまでに強いのか」というレベル。

前崩れの外差し展開だったのは確かですが、いくら外差しでも中山であの位置からは普通届きませんよ。実際レースを見返せば外を走ってた上位馬の中で1頭だけスピードが違います。あそこから1馬身つけて完勝してるんだから怪物です。まぐれでは出来ない勝ち方です。

手前をころころ変えてるのは、遊んでいるというよりはそういう馬なんだと思います。中山の仕掛け地点である3,4コーナーあたりで武史が押すともう手前変えてますからね、だから外に吹っ飛んでいく。
右回りだからというよりは仕掛けのタイミングだと思ってます。府中で大丈夫だったのは左回りだからではなくて直線に入ってから仕掛けるからではないかと。
走りを崩さないように競馬を教えられればいいですが、そこは厩舎次第ですね。有力厩舎だけに期待しています。

血統について、謝りたいところが一つ。
予想では「血統的にも馬体的にも現時点では府中2000がベスト」と書きましたが、馬体は成長するから別として血統的には全然違いますね。兄であるヴァンドギャルドのイメージから書いてしまいましたが、戦後に改めてちゃんと
血統表を見るとびっくりしました。

父キタサンは菊花賞馬。ほか春秋天皇賞や有馬記念などを勝利しています。
母父Motivator(モチベーター)は英ダービー馬。凱旋門賞馬Montjeu(モンジュー)の仔であり凱旋門賞を連覇したTreve(トレヴ)の父です。タイトルホルダーの母父でもあります。
母母父Quest for Fame(クエストフォーフェイム)は英ダービー馬。その父レインボークエストは凱旋門賞馬。アスクビクターモアの母父、サクラローレルの父、フランケルの母母父です。
母母母父こそデインヒルではありますが、母スキアは重厚な欧州血統と言えるでしょう。それもタフな2400の血統です。

本当は長い距離を走れる血統なのに兄達が2000以下ばかり走ってたのは気性の問題でしょう。ただ身体はタフだから、デインヒルの持続力を活かしてマイルで粘りこむ競馬をしていたのではないでしょうか。
ソールオリエンスは今のところ未熟さは見せながらも煩さはそこまで感じさせておらず、菊花賞も距離延長は嫌う要素にならないと思われます。

▲1 べラジオオペラ 3人気10着

トップナイフとは違い、こちらは予想される負け方のまんまでした。
まぁあそこまでハイペースを前に行くのは少しびっくりしましたが、鞍上は田辺ですしアスクビクターモアのイメージだったんでしょうか。展開は結果論なので、あの判断にどうこう言うつもりはありません。

単純に疲れが取れてなかったんだと思います。元々出来てない緩い身体ですし、そこに加えて疲れが抜けきれてなくて仕上げられなかったのなら、どんな位置から狙っても馬券は難しかったでしょう。
府中向きだと思うので皐月の走り次第ではダービーを狙おうかと思っていましたが、あの様子だと流石に酷かもしれませんね。まぁあまりにも人気落としていれば追い切り次第で紐って感じです。
素質はかなり高いと感じていますし、スプリングSもレベルが高かったのはメタルスピードが証明してくれました。時計も優秀でしたしね。

ダービー後にどこを目指すか、鞍上は戻すのか。武史ファンなので武史に返ってくると嬉しいですね。厩舎的には武史ありそうです。
繰り返しになりますが期待できる素質馬だと思うので、皐月賞はノーカンでいいと思います。

▲2 シャザーン 8人気6着

僅差で掲示板を逃しましたが、ダービーを考えればあまりにも大きな差となってしまいましたね。
望来の騎乗が悪かったとは思わないですし、皐月賞は一般に前有利と言われる中で超ハイペースになったわけですから、位置取りが難しかったと思います。そこは関西所属の若手ですし津村やルメールと経験の差があることは考慮するべきでしょう。

ダービー直行できたならソールオリエンスの相手で皐月以上に狙いたかったんですが、ちょっと厳しいですね……。まぁ、仕方ないです。
かなり後ろからでしたが伸びていましたし、今後に期待しましょう。距離は現状は2000までが良いと思います。スローなら2400もいけるかなという感じで。
秋天ということになるのか、いけるなら菊花賞もいくのか。いくら京都でも3000は流石にどうでしょう。毎日王冠とか面白いと思いますけどね。中日新聞杯とか。

△1 ファントムシーフ 1人気3着

ルメールは流石でした。
道が少し荒れてる方がこの馬には有利だと思いますが、それにしてもポジションや仕掛けは完璧でしたね。津村もミルコも完璧に乗ってましたがしっかり差してますからね。
タスティエーラとは適性差、ソールオリエンスには地力差です。
スローの上がり勝負ならタスティエーラには勝ってたでしょうね。もちろん鞍上がルメールならの話ですよ。共同通信杯がまさにそうでした。ソールオリエンスには誰が乗っても勝てません。

今回の皐月賞で私が自信を持っていたのは
・期待できるのはソールオリエンスとベラジオオペラとシャザーン
・前哨戦で1番レベル高かったのはスプリングS
・共同通信杯での着順は鞍上の要素が大きく馬の能力としてはそのまま評価できない
この3点でした。

ベラジオオペラとシャザーンは残念でしたが、スプリングSのレベルはメタルスピードが証明してくれましたし、何よりタスティエーラがファントムシーフに先着してくれましたね。
じゃあダービーではどうなんだというところですが、そこはまたダービーの時に予想で書くつもりです。

△2 フリームファクシ 4人気9着

予想で「レーンだからこの印。能力的には飛ぶと思う」と書きました。やっぱり飛びましたね。

ただちょっと判断に困る負け方になってしまいました。
それはルメールに完全に蓋をされてしまったこと。レーンが悪いというより枠の問題ですし仕方ない面はありますが、潰されてしまいましたね。
レーンとしては馬場が外差しなのは当然分かってたでしょうし外に出したがってましたが、すぐ隣をがっつりルメールにつけられて、あれでは身動きできません。まさか下げれば競馬は終わりですし前に出せば掛かって沈むだけ。

今回の着順がそのまま実力だとは思いません。分かったのは道悪はダメということ。それだけ。
予想でも1800ベストなんじゃないかと書きましたが、その考えはまだ変わっていません。能力はまだ保留ですね。素質はあるんでしょうが世代上位ほどには私は感じていません。

△3 タスティエーラ 5人気2着

上述したように共同通信杯から逆転してファントムシーフに先着してくれたことは嬉しかったです。
血統派としてサトノクラウンのような種牡馬の産駒が勝ってくれるのも嬉しいです。サラブレッドといえど遺伝子の多様性は大切です。

松山は外回す競馬だと信頼出来るんですよね。普通に外回してくれます。仕掛けのタイミングもいいです。
馬群を捌くとか内で我慢するとか溜めて逃げるとか、そういうのはあんまり信用してません。でも外回す中団の差し馬なら信頼してます。
今回も素晴らしい競馬だったと思います。桜花賞のサメカツ然り、あれは仕方ないです。騎手は馬の能力を引き出すことは出来ても引き上げることは出来ないですから。

ここまで評価しておいて何故この印かと言うと、ローテ自体はそこまで心配してなかったんですが、なんといっても追い切りですね。
なんでブリンカーつけたんだろう……。暴走ささて慌てて抑えさせて、よく分かりませんでした。
ちょっと嫌いすぎたのは反省ですね。この馬を▲に評価してれば格好はついたんですが。

弥生賞勝ち馬が2年連続で菊花賞(阪神ですが)を勝ったこともあり、また血統的にも早くも菊花賞を望む声もあるようです。
ダービーからセントライトを経て菊花賞でしょうか。タイトルホルダーとアスクビクターモアに続けるか、その前にまずはダービーです。

△4 マイネルラウレア 11人気14着

惨敗でした。
まぁペース早くて追走できてなかったですし、何故か大外から馬場の悪い内を走らせてましたし(ゴルシ産駒だから?)、そもそも順調じゃなくて仕上がってなかったですし、度外視でいいです。
これ以上のコメントは出来ないですね。

☆1 タッチウッド 6人気13着

気性です。

☆2 ホウオウビスケッツ 7人気17着

展開と距離です。

無印 メタルスピード 13人気4着
無印 ショウナンバシット 12人気5着

シルステの荒れ馬場適性に騎手の神騎乗がハマりましたね。
特にミルコの4角で内を回らせて外に抜け出すワープは素晴らしいです。6着シャザーンとの大きすぎるアタマ差は完全に騎手の能力ですね。
津村はスプリングS同様に素晴らしい騎乗でしたし、ミルコは完璧な騎乗でした。
シルステでダービーチケット2枚は快挙だと思います。陣営はこの2人に頭が上がらないでしょうね。

血統派としてはシルステの荒れ馬場適性は考慮していて、スプリングSではメタルスピード抑えていたんですよ。ただ流石に2000は長いだろうし実力も足りないかなと、ちょっと安易な切り方をしてしまいました。
穴馬で抑えるなら早熟で荒れ馬場得意なシルステですね。血統派を名乗るなら買ってないといけない。強く反省したいです。
荒れ馬場の強さは母父シルバーホークから来てるんでしょうか。ロベルト系でグラスワンダーの父です。流石に単純すぎますかね。まだ分からないです。


最後に。
ソールオリエンス、三冠あると思います。
というか私は確信してます。
よっぽど武史が下手うつか怪物が突然現れるか怪我するかしないと、土砂降りの雨が降っても止められないと思ってます。

この世代は期待された馬の回避が多かったり晩成傾向の馬が多いこともあり、世代レベルが低いと言われ続けてきました。実際にレースでは京成杯とスプリングS以外はあまり語る内容のない淡白なものだったと思います。
ただそれで世代レベルを語るのは早いです。
私はこの23世代が弱いとは思ってないです。むしろ粒揃いだと思ってます。
ヒシタイカンは残念なことになりましたが、まだまだここからです。フレーヴァードにアースクロニクルにペリファーニアと、モーリス産駒が古馬戦で火を吹きますよ。

それではまたダービーで。
次は当てます。

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