🇮🇳印度古典舞踊③ウマ先生との出会い🇮🇳

毎日10:00〜12:00のウマ先生宅でのレッスンは、現地の人に紛れて、ぎゅーぎゅー詰めのバスで通いました。 オートリキシャは楽だし日本円だとさほど高くはないのですが、インドで暮らしていると、金銭感覚が現地の人と同じになってしまいました。

オートリキシャはタクシーと同じく料金メーターがありますが、ほとんど使わず、料金交渉するので、前持って、現地の人にどこからどこまで、だいたいいくらぐらいか聞いておくと交渉するときに助かりました。当時の感覚で、日本で100円がインドで10円くらいだったと思います…

バスは、山手線もびっくり！というくらい朝は混んでいて、毎朝、運転手からチケットが買えない状態。降りる停留所を叫ぶと、向こうから手渡しでチケットがやってくる〜誰の手かわからないその手にお金を渡すとそのお金が、前にどんどん手渡されていく〜誰も途中でくすねない〜ありがとう〜

帰りのバスは、始発から乗っていました。お昼を食べた後の時間は、結構すいていました。ここでも感動的なことがありました。帰りのバスは、ちょうど始発の場所だったので、よく物乞いの人が、出発までの間カンカラを持って、乗り込んできました。

近くに来ると、私は下を向いてしまいました…なのに、とても裕福には見えない人たちが、普通に小銭を入れています。「この人々のこの精神のおかげで、この国のかなりの数の物乞いの人たちは生きていけるんだ」と思いました…

自分たちがこうして生きていけてること、食べていけてることに、感謝しているということが、よくわかります。それにこの国には、自分の名前をかけない人たちがたくさんいます…何かが一つずれると、ひょっとすると、あちらだったかもしれない…そんなことが常に頭をよぎります…

それからは、いつも小銭を用意しておくことにしました。そのバスでは、ほぼ毎日、入れることになりました…インドにお賽銭です…

でもあの小銭を入れた時のカランカランという音は、この国で踊りを教わっていることに対する自分の感謝の気持ちを表しているようで、少し現地の人たちに溶け込めていくような心地よい音でした。

他にも感動したのは、先生のところでの稽古の２回目の時でした。朝、先生宅に行ったら、稽古場が使えなくなっていました。先生がオートリキシャを待たせていて、広い稽古場のある生徒さんのオタクに連れていってくださり、無事その日の稽古をしました。

帰りに、「お休みの電話をしてくれても良かったのですが？」と聞いたら、「インドでは、「２回目」がすごく大事で、その後、踊りを続けられるかどうかがかかってくる…（もっと色々話してくれていましたが…）」というような、ちょっと哲学的なことを言われました。

そういう思いで、わざわざ稽古場を探してくれてまで、私の２回目の稽古をしてくださったと思うと、なんだか胸が熱くなりました。

私は、その後の私の人生のいろんな場面で、「２回目」ということを、ものすごく大事にするようになりました。確かに１回目は、緊張してるし、いいところを見せようとするし、うまくいきます。なので「やっぱり本当の勝負は２回目だわ〜」となんども思うことがありました。

インド人の生徒たちは、稽古したら、サーと帰って行きます。でも私は終わった後、稽古の内容をノートに書いて、タミール語の歌の部分は、先生に書いてもらって、英語に直してもらってから帰りました。最初先生が不思議に見ていましたが…インド人は、その場で覚えて、ノートに書かないから…

私は動きは、なんとかなりますが、さすがに歌は覚えられない…でも先生は毎日、根気よく付き合ってくださいました。それを下宿先に帰ってから、午後の時間に、覚える〜！！！　そうしないと、次に進めない。教えてもらえない。私には3ヶ月という時間の制約があるので、1日も無駄にできませんでした。

いつも稽古の後は、バス停前の屋台のココナッツを売ってるおじさんのところに寄って、割りてのココナッツジュースをぐびぐび飲みました〜水より安いし、ある意味安全でした…

そして、大衆レストランでランチ。当時、その辺りのレストランは、右側と、左側が、ベジタリアンとノンベジタリアンに別れていました。入ると不思議なことに、顔を見るとどっちかわかりました。いい、悪いではないけれど、ベジタリアン席は安心して座っていられました。偏見ではなく、空気感が違いました。

時々、話しかけてくれたり、手でうまくご飯にサラサラのカレーを絡めて食べるコツを教えてくれたり、大事なガネーシャ神のプロマイドのお守りをもらったり、タミール語を教えてくれたり…みんな優しかった…

南インドの人たちは、シャイで日本人に似ています。ドラビタ族の彼らは、昔、北から攻められて南に追い詰められました。北インドの人たちはアーリア系が多くて、浅黒く美男美女が多く、王族っぽい感じの人が多い感じがします。（踊りにも現れています…王宮で王様のために踊っていました）

南インドの人たちは、真っ黒く、背が低く、鼻も丸くて低く、シャイ、のような気がします。40年前なのでもう、混ざり合ってるかもですが…そして、マドラスはタミール語を話します。昔、日本語に似ていると話題になったことがありました。

タミール語の一部です。いっとき習っていましたが…全て忘れました…

南インドはバナナの葉っぱをお皿代わりに使うことが多かったです。河川が多く水が豊富なので稲作が盛んで、主食はお米です。カレーは魚介や野菜・豆が中心で調理時間が短くあっさりしています。ココナッツを使います。

また酸味やスパイスの辛さを聞かせたカレーが主流で暑さをしのぎ、食欲を促します。なんせ気候が「ホット（暑い）ホッター（より暑い）ホッテスト（すごく暑い）」しか無い。雨季はあります。（インドは、日本の９倍の面積です）

それに比べて、北インドは、乾燥した気候で小麦が育ちやすいので、チャパティやナンが主流です。体を温める脂肪分の多い乳製品を使って、こってり煮込むカレーが多いです。日本でよく食べられるのは、こちらです。

北インドと南インドの違いはカレーだけではありません。音楽も違います。言語は公用語は英語とヒンディ語。インド人同士が自分の地元の言葉では通じなくて、英語で話すのはしょっちゅう。言語の数も多く、文字も文法も違います…

毎年12月から1月にかけて、「マドラス芸術祭」だあり、舞踊と音楽が連日各劇場で行われます。私がインドに行く時期は、ちょうどその時期でした。

マドラスに3つあった有名な劇場は、その間、フェスティバルだらけです。インド中から人気ダンサーや音楽家たちが大集合でした。

そしてその間、私は毎日、下宿先の新聞を借りて、ウマ先生に見たほうがいいプログラムをチェックしてもらって、夕飯を食べてから毎晩、いろんな種類の踊りや演奏にでかけていました。

何が困るかというと、帰りの乗り物です！　終わった後、一斉に、みんなが帰るので、ごった返しです。お金持ちたちは、専用車で優雅に帰りますが、もうバスは終わってる時間なので、オートリキシャかタクシーしかない…毎回交渉しないといけないし、騙されるの覚悟で、もうカンしかないという世界です〜　私は「目」で決めていましたが…

何回か試した後、行きに頼んだオートリキシャの運転手に、帰りも待っていてもらうことにしました。それも３倍くらいの値段で。その当時は本当に日本円の強さは、ありがたかったです。

＜印度４大古典舞踊＞

◇カタカリ

南インドのマラバール沿岸に伝わる伝統的な古典舞踊です。（カタ＝踊り、カリ＝音楽）　日本の歌舞伎のように赤や青などといった原色のメークアップをするのが特徴です。男性のみ。特に顎の横を紙でひろげ大きな顔につくり、美しく飾った冠をつけて踊ります。

◇バラタナティアム

南インドのマドラスを中心とした古典舞踊で、四大古典舞踊のうちでは、その起源は最も古く、寺院において神々に奉仕する女性のみにより受け継がれてきました。19世紀も末から人々の前でも踊られるようになりました。踊りの内容は、宗教的で、主として神話を題材に選び、女性の魅力を舞踊の型の中に表現するものとしています。目・眉・首・胸・腕・足など、身体各部を連続的に動かし、ヌリッタとヌリッティア、両方の組み合わせで構成されます

◇カタック

北インドのラクナウ及びジャイプールを中心として踊り継がれてきたものです。本来はイスラム王朝の王宮で踊られた西アジア系の踊りであったものに、インド古来の舞踊（ヒンズー神話）を加味して新たに作り出されました。ムガール朝以後はまったく宗教性を離れ庶民の間に広まって行きました。

◇マニプリ

東北インド、アッサム地方の民族舞踊から生まれた古典舞踊です。マニプリは元来女性の群舞です。その美しい二重のスカート、優美な手の動きなどによって広く親しまれています。技巧的には他の古典舞踊に比べ少し単純です。アッサム地方の住民は日本人同様、蒙古系の人種で、その踊りの動きの中には日本の舞踊と共通した要素も見受けられ、全体に激しい動きはありません。