見出し画像

やんばるあとがき日記

5月7日
4泊5日やんばる1人旅初日。夜中3時に仕事を終え、その足で成田空港に向かう。電動自転車に乗り世田谷区経堂から日暮里駅へ。日暮里駅からは京成スカイライナーに乗り成田空港へ。LCCジェットスター8時10分発に乗り那覇空港に到着。ジェットスターの飛行機の内装がリニューアルされ、座席の前の折り畳み簡易テーブルが2段式になっていて驚いた。上下2つのテーブルがあり、上は目の高さに、小さく充電出来るようにUSBの差し込み口のあるスマホ用のテーブル、下は従来通りのジュースや食事用になっていて、使い勝手が良くなっていた。那覇空港に到着するとトイレで着替えて高速バスに乗り名護バスターミナルへ向かう。ターミナルで昼食を取り、琉球バスに乗り換え国頭村の辺土名に向かい、16時過ぎに道の駅近くのバス停、奥間ビーチ入り口に到着。
そして2泊3日でお世話になるペンション与那覇へ。
電話を入れると宿主が山のふもとの道の駅の隣りのファミリーマートまで迎えに来てくれる。
宿に到着し、部屋に荷物を下ろすと与那覇岳まで歩いてみる。途中脇道に入わやり、猪に遭遇したりしながら
与那覇岳の入り口まで登る。途中スコールにあったが木々の枝葉が雨から守ってくれる。時間を確認すると18時前。夕食は20時30分でお願いしていたので、行けるとこまで登ってみる。スコールは終わったが小雨は続いていて少しずつ霧も出、日も沈んで来て森の中が神秘的な様相に変わっていく。1/3ほど登ると19時が近づいてきたので下山し宿に戻る。20時前に宿に到着し、雨で冷えた身体をお風呂で温める。
明日は頂上を目指して登ったら比地大滝まで行ってみたいな。
夕食の時間になり、頂きながら宿主に話すと車出して上げるよーと。お言葉に甘え有難くお願いする。ワクワクしながら22時過ぎには眠りについていた。

5月8日
与那覇岳登山⛰️🥾
人っこ1人いない時折雨も降る中の山登り。
殆ど人の手の入っていない自然優先の山道獣道を
倒木の下を潜り抜け跨ぎ、道を間違ったのに気付きつつも少しだけ先に進んでから戻り正道なのを確認しながら
木々の中山鳥の囀りの中山頂を目指して辿り着いたさきには何の眺望も無い木々に囲まれた丸い小広場とその真ん中に置いた石の上に小さく書かれた「与那覇岳」の文字。一面の雑木林にくり抜かれた空と色鳥々の囀りだけが疲れた足腰と登り切った達成感を労ってくれ振り返るとそこにはキジムナーがいたような。正に世界遺産の中にある人が入るのを許され山。あゝ与那覇岳。
14時を過ぎていたので、与那覇岳を降りると休むことなく比地大滝へ。
さすがに与那覇岳から比地大滝までは歩くと夜になるので
ペンションのご主人が車で迎えに来てくれて比地大滝の入り口まで運んでくれた。
入り口に到着し入場料を500円払うと「大滝まで40分ほどです。」と案内される。
一息ついて自動販売機で600mlのペットボトルのさんぴん茶を購入しいざ大滝へ。
山道を登り降りした後の急な階段の登り降りは身体に鞭を打ち過ぎな感もあるが川のせせらぎ草花木々の香りで身体を労りながらひたすら歩く。田舎に行けば何処にでもあるような何の変哲も無い「大」を付けるべきなのか?という滝ではあるけど「やんばる」というフィルターが特別な景色に変える。

明日からはいよいよやんばるの海。太腿と脹脛の筋肉痛を忘れて、持ってきたカーボン製の黒いロングフィンを眺めると自然と笑みがこぼれる。

3日間通して気さくで優しいご主人のおもてなしに感無量。夕食で出してくれた魚介類が臭みなく新鮮で
醤油や薬味を使わなくても頂けるほど美味しかったので、そう伝えると普段はセリ市場で働いているとのこと。
バスと徒歩での旅行で、気軽に車も出して頂いたりと
本当に感謝。おかげさまで4泊5日の沖縄やんばる一人旅の好いスタートが切れた。

5月9日
天気は快晴。ペンション与那覇岳をあとに向かうは奥ヤンバルの里。辺土名から出る村営バス(ワゴン車)の発車時間までは時間がたっぷりあるので
ペンションのご主人の車で辺土名海岸まで送って貰い感謝を伝え別れを惜しみつつも海水浴。北風が強く波も荒かったが目的の一つシュノーケリング。エントリーしたものの案の定海水が砂で濁っていて何も見えない状態で程なく諦めて浜辺で海を眺めながらゆるやかなときの流れに身を委ねる。やんばるの日差し、流れる雲、優雅に羽を拡げる海鳥、やや低めの唸り声を上げながら低空羽ばたく米軍機。
15時発の村民バスで辺土名から奥ヤンバルの里へ。
国頭村(くにがみそん)村営バス(ワゴン車)で向かう。タクシーだと約13000円、バスだと約700円。
朝の便と昼3時の便の2本しか定期便は出ていないが
予約バスの制度があり10時〜11時30分くらいの間で2便出して貰える。もちろん1人で予約出来る。
時間は村民のお年寄りの方たちと合わせるので
「10時30分と11時30分に予約出来ます。」等のように言って貰え、定期便より予約便の方が迎え場所も到着場所も融通して貰えて料金も変わらずかなりお得で便利な村ならではのサービスがあり帰りはこれを使った。
奥ヤンバルの里は川と森に挟まれたコテージで1人で泊まるのは贅沢な宿。小木に付けられたブランコに好い意味での緩さを感じる。森山に入っても良し、子供たちのように川で遊んでも良し、海岸に出てまったりと過ごすのも良し。夜は星空を眺めながら山鳥の囀りに耳を傾けると星の音のよう。施設内には飲食店と施設向かいに商店と沖縄そば屋さんがありゆんたくも出来る。沖縄そばは700円と高い設定かなと思いつつ注文すると地元山菜の天ぷらやぜんざい等がセットになっていてかなり安く良心的だなと反省。

5月10日
やんばる最後の1泊は
空ノ間INDIGO
奥ヤンバルの里から徒歩10分ほどのところ。本当はここに2泊する予定だったが予約が取れず1泊になったが
今度来る時は2〜3泊はしたいと思った。自然との共存共生、そして県外からの移住。それら全てがバランス良く、それが宿主の奥さん「のんちゃん」の快活な笑顔と「私村長になろうかな」という冗談に良く現れていた。
ホントウアカヒゲが巣を作ってしまえるカウンターだけのレストラン、放し飼いの烏骨鶏、24時間開放しているライブラリースペース、持ち出し自由な本たち、奥ヤンバルの里から然程離れてもいないのに夜空の星々の近さと明るさ。シャワースペースもトイレも綺麗で使い安い。ビーチも近く湾の端で浅く安心して遊べ、ゆっくり過ごせる。たまにヤンバルクイナもお邪魔するとのこと。料理上手な宿主は神奈川県出身の元建築家さんと聞きコテージ等の造りに納得。奥ヤンバルの里を10時にチェックアウトしてこの旅最後の宿泊先、
空ノ間INDIGOに向かう。奥ヤンバルの里からGoogleマップで徒歩10分程度の場所の海沿いにあり、チェックインまで5時間程あったが雰囲気確認とあわよくば荷物だけ預かって貰おうと思いつつ、未だ見ぬヤンバルクイナを探しつつ歩く。
今回の一人旅の目的の一つであるヤンバルクイナを見るというここまでの3日間の道中でヤンバルクイナらしき鳴き声は聞こえてきたところもあったが木々が密集した場所で中に入り込むわけにもいかず覗き込んでも草むら雑木林に阻まれる。村営バスの運転手さんに伺ったら時期的に子育て時期とのことで運が良ければカルガモ親子のような姿を見ることが出来るとのこと。期待の膨らみとは反比例して残された1泊2日の中で見ることが出来ないかもという焦り、今回は無理かなという諦めが頭を過ぎる。それはそれでまた来る理由の一つになるのでまあ良いかと思いながら見逃すまいと眼を光らせながらゆっくりと歩を進める。
宿泊先に到着すると宿主はいないようで、荷物を預けて身軽にするのは諦めてその足で徒歩30分程にあるビーチ奥海岸へ。
奥漁港を抜けて山を登り海沿いを下り到着。未だヤンバルクイナには会えず。
東シナ海と太平洋の境目海の先には与論島が見える。
一息ついてシュノーケリング。魚が多い。様々な種類の魚たちが色とりどりの珊瑚礁のあちらこちらで回遊している。ここ3日間の筋肉痛も心と共に和らいでいく。
浜辺に寝転がると太陽と砂が暖かく身体を包んでくれる。荒目の波の音が肌に心地良く響く。
そこに米軍ヘリが波音を更に荒くしながら飛び過ぎていく。
少し早めの14時過ぎに宿にチェックインさせて貰うと
太平洋側の海を見に行く為に
アダンビーチを目指して約3.6kmの道のりを歩く。
ヤンバルクイナ発見!!4日目にしてほぼ諦めていた歩き出して数分後、道路を渡ろうとしているヤンバルクイナを見つける。お互い立ち止まって目が合い、写真!と急いでスマホに収めようとするとサッと草むらに入ってしまう。覗き込んでもそこにはもういない。少し残念だけれど、出会えた喜びの方が大きくありがとうと呟いてまた歩き出すと10分後くらいに今度は子供のヤンバルクイナ!!またもや写真に収められなかったが、雑木林の中で4〜5匹くらいのヤンバルクイナのファミリー?の大合唱が聞こえてきた。子供が兄妹が無事に帰ってきたことへの歓びの大合唱か。来て良かったな。
そこから30〜40分程でアダンビーチに到着。太平洋側の海の深い青に溶け込むように眺めながら小一時間ほどゆっくり浜辺で過ごす。明日で終わるこの短い旅を振り返る。
宿に戻ると程なくしてお夕食。東京からもう1人、宿の常連のお客様がいらっしゃり、一つ一つ地元の山菜などを天ぷらにして出して貰いながら、一緒に食事と宿主夫婦とのゆんたくを心ゆくまで堪能。そのあとは山鳥の歌声をBGMに星空を眺めながらゆるやかな夜を過ごす。

5月11日
やんばる最後の朝食は放し飼いの烏骨鶏の卵を使ったトーストサンドウィッチをコーヒーを頂きながら。
朝の空気と合わさって本当に美味しい。
宿主夫妻に感謝とまた必ず来ますと伝え、延泊したい気持ちを抑えながら宿をあとに奥海岸に向かいラストシュノーケリングを楽しむ。帰りの村民バスで地元のお婆と会話を楽しみながら辺土名、そして琉球バスに乗り換え名護、そして名護で高速バスに乗り換え那覇へと向かう。ふとバスの停留所に第一津波、第二津波、津波小学校というのを見て、福島に思いを馳せる。サンダルで歩き通して足の皮が捲れてヒリヒリとした痛みが旅の終わりの喪失感を埋めつつ現実へと少しずつ戻してくれる。東京はまだ肌寒いんだろうな。お土産は空港ではなく、空港で買えないものを買いたいな。
また必ずやんばるに来ようと心に決めた4泊5日の一人旅でした。

奥海岸

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?