私の変な不妊治療 9「3の段のナベアツ」

ご覧くださりありがとうございます。

不妊治療を受ける中で、何だか面白いなあと感じたことをつづっております。クスっとしていただけたら幸いです。

その9です。

不妊治療もタイミング法から顕微授精までいろいろあり、全部を経験したわけではないのですが、女性ホルモン剤を投与されることは多いのじゃないかと思います。(私は人工授精、体外受精の経験をしております)

それでひとつ申し上げたい。

女性ホルモン剤は、ほんとうにアホになる。

これまで「足に4歳児が乗っている」だの「腹が茶碗蒸しでできている」だの言ってきましたが、それは私の常です。言動がおかしくなるわけではありません。

女性ホルモン剤も黄体ホルモンと卵胞ホルモンに分かれますが、どちらも強弱は違えど大体共通しているのは、だるい、むくむ、ボンヤリする。人によってはイライラする。夫を叩きたい、200回蹴りたい。半径3メートルのことにしか興味ない。私の場合はそんな感じでした。体内で一年近くかけて命をはぐくむということは、普段以上に危険を避けて生きてゆかねばならないということ。警戒心を持ち、かつ、好奇心で行動範囲を広げるようなことはできないようになっているのかもしれないな、と感じます。

それでなんですが、私本当にアホになります。昨日も本を買おうとして財布にお金が入っていなかった。目は半目だしいつもぽんやりしている。洗濯物は3日くらい干しっぱなし。

「郵便局に荷物を発送に行ったが50円足りなくて、カードもなくていったん帰宅した」という私に夫は「やったじゃん」と言ってくれます。ほめているのではなく慣れているのです。カレーの味も決まらなくて、どんどんケチャップを足しソースを足し、最終的にどっさり捨てました。具材がすくないのにおいしくなるわけがなかった。買う前に何度も確認したはずのホッカイロミニ30個入りも、家で見たら「貼れない」タイプで、大きい声が出ました。「ホッカイロは貼るタイプ一択」ー妊活中の女性の鉄の掟です。仕方ないのでマスキングテープで腹に貼ったらなんかオシャレなことになりました。

こういうことは普通の女性の身にも年に一度か数回発生し、飲みの席や人との会話で披露され、その場をなごませるのによい働きをするものです。

ただ私は毎日起きている。アホの連打がすごい。3の段に入ったナベアツのようだ。

アホであることは生きてゆくうえで危険じゃないのか?と疑問がわきましたが、そこは周囲の庇護と当人のあきらめで成り立つようになりました。時間に余裕を持ち、できないことはするとは言わず、アホであることを体現し、受け入れる。つねづね、得難い経験をしているなあ…と思います。

治療が終了し、ホルモン剤を飲み終わるとアホは去ってゆきます。ご心配なく!