私の変な不妊治療 6「茶碗蒸しでよかった」
ご覧くださりありがとうございます。
この変な文に早くもスキを下さった方がいらして感謝に耐えません。何の参考にもならない経験ですが、クスッとしてもらえたら幸いです。
その日私は尻の注射を終え、初めてのことに対峙していました。それは2本目の注射。ショート法という採卵法の中で、毎日行う注射があるときから2本に増えるのです。
場所はお腹です。排卵をふせぐためのものなので子宮上空に注入するそうです。
ああ…ブルーだなあ…。前日から頭の中はそれでもちきりでした。一本目の尻注射の間、考えている妄想もそんなにネタがないよう。着たい着物コーデのことだって最近は竹久夢二風の白黒赤だけで、ほかにはとくにないんだ…。スイーツも無理に想像して食べたくなっちゃうと困るしなあ。私は自分へのごほうびを毎日設定していましたが、最近すっかり慣れてきて少し困っていました。スイーツはたまに食べるからおいしいのであって連打するものではない、というのが私のケチな持論です。
「はい、終わりました。では仰向けになって下さい」
懊悩しているうちにお尻の注射は終わり、とうとうお腹の番です。
ああ…。こわい…。
「ちょっとチクっとしますね」
おへその横に、蚊に刺されたようなかすかな痛み。
「ハイ終わりました」ええっ!
まったく…薬を注入している感触がありませんでした。筋肉注射はさした時はほとんど痛みはなくて、その後の薬を注入するときに痛みを感じます。せんたくばさみでぎゅーっとはさまれる程度ですが、日によってはいててて…と声が出ます。
それが、まったくない。何かしました?レベル。これじゃあわたし北斗の拳のハート様みたいじゃないか。
痛みは個人差があり、人によってはお腹の方が痛いようです。
不思議に思ってお腹をなでると筋肉を感じさせない手ざわり。まるで茶碗蒸しです。そうか…茶碗蒸しに針を刺してもまったく抵抗ないもんな…お腹ゆるんでてよかった、ほんとうに得した。
帰りに、着物ショップで中古の帯を買って帰宅しました。