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値上げ

うちの会社は営業部が大きく分けて四つあります。販売チャネル別なんですが、流通、百貨店、交通(空港、駅、サービスエリアなど)、法人、と。この前、法人セクションの営業課長が商品の値上げの話をしにお客さんのところに行ってました。先方へ出向き商品の価格を上げざるを得ない現状を説明してくる。普段はわりと呑気そうな顔をしている人なんですが、このときはおそらくしっかりやってきたはず。商品の取引き価格を上げるというのはかなり大事な仕事なので。

でも、値上げしなくちゃキビシイんですという根拠、エビデンスはちゃんとあります。商品を作る材料、原料の値上がり。商品パッケージなど包材関係の値上がり。物流がらみの輸送コストの上昇。光熱費。人件費等々。こういうもろもろがあるから最終的に商品を納める価格も当然上がってしまいます。でも、企業努力で頑張って吸収できるところは吸収して、それで「この価格がせいいっぱい」なんです。という理屈。

さて、私は菓子メーカーに転職してくる前は広告業界で働いていました。広告代理店にも広告制作会社にもいました。業界の中でいくつかの会社を転々と。うん10年前のことですが。業種も恥ずかしいくらいいろんなことを経験しているのですが、一番長かったのは制作会社のプロデューサー。簡単に言ってしまうと営業マンです。だから、見積りも作るし請求書を発行して売上げも立てる。制作にかかる費用管理も含めてお金関係全部をみます。お金の管理は、時間管理、スタッフ管理と並んで重要なお仕事です。

広告制作費ですが、広告を発注してくる会社(クライアント)によっても、また案件によっても、クリエイターによっても、いろんなケースによって広告制作の見積りはちょっとずつ異なります。企画費、デザイン費、コピー費、デジタル作業費、出力関係費、諸経費、プロデューサー費。金額の基準はちゃんとあるのですがケースバイケースな要素もかなり含まれる。さらに撮影関係の費用を入れると項目も多くなります。一個一個はちゃんと根拠があるので説明はできますけどね。

今、私はメーカーで宣伝と広報を見ているので広告代理店や制作会社やフリーランスの方からの見積りをもらう側です。営業マンがいないようなデザイン事務所のデザイナーさんやフリーランスのクリエイターさんからの見積りを見ているとちょっと感じてしまうことがありますす。(このデザイナーさんからもらう見積りってずーっと昔からデザイン費ほとんど変わっていないなあ)と。こちらから発注するわけだから安くやってもらえるのは当然ありがたいんですが‥。

でも、安すぎて「もうデザイナー業はやめることにします」なんて急に言われたらこっちだって困るし。「単価が安いからあんまり頑張らないようにしよう」なんて腹の中で思われるのもイヤだし。とにかくそんなことにならずに気持ちよくクリエイティブ全開でやってほしいなと思う。そのためには理屈を通しつつまっとうな費用観をこっちに見せて、然るべきギャラを手にしていただきたい。事業会社の側から言うのもちょっと妙ですけど。笑。

元広告マンだし、今もデザインの世界が好きだし、クリエイターの地位はもっと上がっていいと思うし、フリーの人もちゃんとモチベーションが上がるようなギャラを得るべきだと思うし。良い仕事をこっちも期待しているし。こんな風に思っています。そんなわけで、ツイッターの方でもこのテーマの話はたまに口にしていくと思います。たぶん。

いちけん|広報と広告










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