マガジンのカバー画像

期間限定の記録

5
小さなこどもたちが教えてくれること。できれば忘れたくないから。 育メンのふりして過ごすささやかな時間の記録
運営しているクリエイター

#旅する日本語

ひとつのことばがせかいをかえた

三歳になった息子。覚えたての言葉はぎこちなくてどことなく暖かい。 窓の向こう。消えていったサイレン。 消防車のミニカーに夢中だった彼は本物のそれが近くにいたことに気づけなくて一生懸命教えてくれた。 「僕も聞こえたかった」 聞きたくても聞けない音があることを知っているみたいだ。 能動と受動。積極だけど受身。自発と他発。望むけど偶然待ち。 そんな言葉があってもいい。 国語のテストでどうかマルをつけてあげてください。 レジで駐車券を車内に忘れたことに気づいた。 疲労もそこそこあ

あなたのつむぎかた。ぼくとつながるもの。

それは日本語でなくていい。なんなら言葉でなくてもいい。 擬音でも手を叩く音でもうめき声でもいい。 落書きでも身振り手振りでも怒った顔でもいい。 僕の知らない誰かに恋をして、胸を右手でぎゅっと掴まれる感覚だったら、きっと言葉だけじゃ足りなくなるから音にのせて歌えばいいよ。 遠くに見える山は青くていい。みんなが言うように緑じゃなくていい。 夏を迎える日の夕暮れどきの不機嫌そうな曇り空は、あなたのいうようにエメラルドグリーンだ。 あなたと僕をつなぐもの。 あなたの想いや感