【短編小説】ふたりで楽しいランチ
風の強い日に、貧乏神と死神がランチをした。
「久しぶりだな。相変わらず貧乏か?」
死神は貧乏神を揶揄う挨拶をした。
「僕は貧乏じゃないんだよ、僕が取り憑いた人間が貧乏になるの」
「最近その仕事の方はどうなんだ?」
「あんまりいいとは言えない。昔みたいに稼げなくなったね。君はどう?」
「あぁ、こっちはてんでダメだ。人間は勝手に死んでいく。おれらの出る幕はないな」
——そんなに——と貧乏神が気の毒がっていると、店員が注文を取りに来た。貧乏神はランチセット、死神はパンケーキを頼ん