尊敬しているある人が言っていた。 「人間は記憶でできている」と。 自分の記憶と、誰かの記憶、 入れ替わったらもう自分ではない。 私の記憶が私を作っている。 かれこれ50年近く生きていると沢山の記憶がある。 忘れたくない記憶。 何でこんなこと覚えているんだろう? と思うようなどうでもいい記憶。 私の記憶なのに!昔読んだ本や観た映画、あんなに感動したのに、結末どうなったっけ? 記憶にない…‥ 古い日記帳で見つけた子供の可愛らしいセリフ。 一生忘れないって書いてあるけど、 記
「今飛び降りたら、誰も気がつかないのかな」 マンションの部屋の窓から、夜の街を観てつぶやいた。 夜中の2時頃だったと思う。 シーンと静まり返っていて、明かりが灯っている家もなく、マンションの前の街灯だけが白く冷たく光っていた。 一つの命が消えても、誰も気づかないんだなぁ。世界は何も変わらないんだなぁ。とか、 この世にはもう誰もいないのかもしれない。 私だけ残してみんなどこかへ行ってしまったんだ。とか、 暗いことばかり考えてしまう、静かで寂しい夜だった。 何かあって落ち
高校2年生の時だった。 体育で創作ダンスの授業があった。 5、6人でグループを作り、テーマを決めてダンスで表現するのだ。 何かに真剣に取り組むことが恥ずかしい年頃だったし、ダンスなんて踊ったことがない。 いつもの5人組でテキトーに考え、テキトーに踊った。 グループごとにダンスを披露するテストがあった。 あれ?みんな上手だな…レベル高くない? 私達のグダグダなダンスはベテラン女教師の逆鱗に触れた。 みんなの前で立たされ、こっぴどく叱られた。かなりキツイことを言われたように