言語類型論に手を出して自滅する

私は生活に規則性がないと結構ダメダメになっちゃうタイプなんですが、24時間study with meを配信してくれてるYoutubeのおかげで多少うまく回せるようになってきた感があります。上手くいかないこともあるんだけど、最近はそれ以上にいい風吹いてる感があって、今はこれに乗ってとにかく頑張りたい。

とは言っても今日やるのはその上手くいかないことの部分な気がする。一般言語学やってたら、言語類型論という大きな壁にぶつかりまして、どーにも好きになれないんだけども、自分の言葉にしたら多少愛着も湧きそうなので(根拠なし)、記事にまとめてたくさん読み返そうと思いている。レッツゴー。

言語類型学linguistic typologyというのは、世界中の言語の特徴を集めて似てるところ、違うところを明らかにして、人間言語の普遍的な部分に着目する言語学の分野といったところだろーか。比較言語学comparative linguisticsとも共通点相違点を探ってるあたり近しい気もするけど、そっちはどうやら同じ語族系統で比べて祖語を辿るっていう学問のようで、また違うみたいですね。(でも人間言語なんて本当に本当の幹の部分はどうやっても解明できない、我々は枝の部分しか見えていないし、今後も見えない、なぜなら文字でさえなんとか万年だか前で、文字は発する言葉よりも後にできてるわけで、なんちゃらこうちゃらと、最近読んだ本か、言語学系のラジオか、ブログか、どこかで目か耳にしたよ。悲しい現実だよねぇ。)あと、対照言語学contrastive linguisticsはどうなのよ?そっちも比較してるんじゃん?となるんですが、こっちは特定の少数言語とか二種類だけとかしか扱ってないから、やっぱちょっと違うんですって。分野がたくさんあるねぇ。ウィキペディアの右側の言語学の分野が並んだリンクを見て思ったんだけど、私基礎分野と理論分野がとんでも無く苦手&興味ないかもしれない。いつも面白いと思うのは他の分野との絡みのある分野なんだよね。まあでも、私みたいなのがいたっていいのサ!

最初の方の類型論といえば、有名なシュライヒャー屈折語膠着語孤立語の3分類みたいな類型をするのが一般的だったみたいだけど、かのグリーンバーグの文法項目とか(語順)、もっと焦点絞ってやったよーみたいなのが出てきてそれが主流になる。お二人についてはすでにまとめてあるのでこっちをみるのがよいです。この時はお二方のお名前ははじめましてだったので、有名な方々なんだろうなあ、とか間抜け丸出しなんですが、ウィキペディアに日本語版あるっていうのはもう偉大な人認定って感じある。

類型論のおかげで人間言語の普遍性と考えられるものがいくつかあるので、それもメンションしておく。絶対的普遍性という、これまでの研究の限りではどの言語にも普遍的に見られたものもあれば、広く見られるとはいえ少数の例外のある非絶対的普遍性たるのもあるらしい。絶対的に普遍性が見られたのが、上唇と下の歯で調音する音を持つ言語は存在しない(これ、実際にやってみると、存在しなくてよかったぁ、と思うような顔と調音法になるって感じがする笑)とか、すべての言語は名詞と動詞の区別を持つ、とかなんだってー。一方で摩擦音がひとつしかない言語の場合その唯一の摩擦音は[s]だ!とかってのには、いやハワイ語は一つしかないですけどそれ[h]なんで、みたいな例外があるので、非絶対的な普遍性という立ち位置になっている。疑問をイントネーションで示さないタイ語などの例外を除いてほとんどの言語では平叙文の終わりを上昇調で発音するとイエスノークエスチョンとして機能するとかいう非絶対的普遍性というのもあるらしい。(。。。あれ?なんか面白いジャン言語類型学!)

これとは別で、普遍性というのには含意的なものと非含意的なものがあるよーと書いてある。こういうややこしい言い回しは理解の弊害になるのであまり好きじゃない。「普遍性」で枝分かれして「絶対的普遍性」と「非絶対的普遍性」って感じになってるかと思ったら、隣にまた「普遍性」と書かされて今度は枝分かれの先が「含意的普遍性」「非含意的普遍性」になるみたいなやつ。一個にまとめてくれ!と思う。

文句を言ってもどうにもならないので、まずは含意的普遍性についてなんですが、これは「〇〇であれば、〜〜である」という条件的な普遍性らしい。(これもまた、なぜに含意、と思ってしまう。)語順がVSOなら形容詞は名詞に後続する、という例が出てる。確かに、英語も日本語(SVOとSOV)も名詞の前について名詞を修飾してくれるのが形容詞なのに、その位置が全然違うんだねぇ。フランス語は、たまに前だったりほとんど後ろだったりするよなぁと思ってるけど、(un pantalon blanc →(単)-パンツ-白い、とか)語順はSVOだから、この条件の逆(*形容詞が名詞に後続するならVSO)は真とは限らないんだねぇ。メモメモ。

ちなみに、さっきの例の条件を発展させて、含意階層というやつがあるらしい。これ、もう今度はなにぃ、という感じなんだけども、例えば英語は関係詞節を作るときにwho, what, whichとかで主語の部分、目的後の部分、所有者の部分の名詞句を関係節化できるんだけど、なんとそれができない言語もあって(VSOのマダガスカル語とか)、主語の部分だけしか関係代名詞とか使ってそういう形を取れないらしい。それで、これに対して名詞句の文法役割(さっきの、主語の部分〜とかのこと)には階層があって、どうやらそこには普遍性があった!なんと主語>直接目的語>非直接目的語>所有者、みたいな階層があって、例えば直接目的語の役割を担う関係節化ができるならその前の主語もできる、みたいな具合に、ある言語で文法機能を担う名詞句を関係節化できるなら、その言語ではより上位の文法役割の名詞も関係節化できる、というもの。名詞句の近接可能性階層と呼ばれるんだとか。よくこんなの見つけたよねぇ。

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最近やったアラインメントもこの辺りなので、復習を兼ねて記録しておく。そもそも、アラインメントというのは、自動詞や他動詞とその項(必要とする要素;主語とか)を文法的に分類したらどうやら言語も分類できちゃうねー的なやつ。(これはちょっと語弊があるか?)これ、何度読んでもわけわかめだったんだけど、何度も読んでたらなんかわかってきて(矛盾笑)面白くなったやつ、いや、面白くはないけど、わかるようになったやつ。

分類されたののうち、代表的なのが、対格言語accusative能格言語ergative活格言語active language。この他にもあるんだけど、今回はこの3つだけ中心にやろうと思ふ。
この分類の根本として、自動詞は主語S(ubject)を項にもち、他動詞は動作主A(gent)と非動作主P(atient)/O(bject)の二つを項に取る。この時それぞれがどのような関係かで言語を分類したよーというのがこのアライメント。一番わかりやすいのは対格言語かなぁ。自動詞の主語Sと他動詞の動作主Aが同じ形を取り、他動詞の非動作主P/Oは異なる形を取るとき、SとAは主格、P/Oは対格と呼ばれ、略して対格言語。日本語の、「太郎が(S)歌った」「太郎が(A)花子を(P/O)説得した」にみられるように、SとAは「が」という同じ標識を使っていて、P/Oは「を」という標識を使っている。

こんな感じで見ていくと、能格言語ではSとP/Oが同じ標識で、Aだけ異なる標識を使っている。初見だったらとおーんでもなくわかりにくいジルバル語の例があるけど、初見じゃなくてもわかりにくいので、気になるならwikiへ、そうでなければ、能格言語はSの形=P/Oの形と、異なる形のAという理解でオッケー、ちなみにSとP/Oが絶対格と呼ばれて、Aが能格と呼ばれる。

最後、なんともややこしい活格言語というのがある。これは、話者の主観をちょっと含ませることができちゃうよ〜っていうイメージが個人的にはわかりやすいんですが、自動詞の主語Sの部分に来る形が、他動詞の動作主Aに来る形と一緒の時と、他動詞の非動作主P/Oに来る形と一緒の時と、どっちもありますよ〜という言語。そしてどっちの標識を持つかによって、自動詞の意味がすこーし違うみたい。例えば「された」側のP/Oの標識と同じ標識を持つSが自動詞の文で表示されてたら、なんとなく、「意図してないこと」みたいなのを運んでくれるというか(こういうタイプの言語はfluid-S, 流動Sという)。もちろん、動詞によって固定的に決まりきっているケースもあって、そういうタイプの言語はsplit-S(分裂S)と呼ばれるらしい。あと、言語によって両方の要素を含んでいたりもするよ。

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類型論一般に戻りますが、他にも分類してこういうタイプパターンの言語があるよねーってやってできたのが、主要部標示言語head-marking language。生成文法毛嫌い組としては、主要部とかheadというタームだけで涙。

これは、従属的な文法関係(動詞と項、被修飾語と修飾語みたいになってるやつ)の標示法にしたがって分類したよーというやつ。なので、異なる語とか句の一致を示す文法標示がどこにあるか、ここでは主要部か、従属部か、という分類で、主要部に置かれるものを主要部標示言語、従属部(修飾語含む)に置かれるものを従属部標示dependent-marking、両方使っちゃうという二重標示double-markingとどちらも使わない無標示no-markingに分けられる、という感じになっている。これ、解読するのに15分はかかったよー。読解力がないのかし。

画像1

これ、そのままwikipediaから持ってきたんだけど、途中まではわかったよ、なんとなく。でも納得できないところがあるのでぜひ聞いてほしい。※このツリー構造は依存文法のもので、句構造文法ではない。

なるほど、一番左の節はcheatが主要部で、Johnという名詞が主要部に対してお前は三単現の-sを伴えー!と要求するのでcheatsとなって、主要部標示になっているねー、という例。これはまだ、わかる。一番右の前置詞句も、前置詞withが従属部の代名詞に主格heではなく目的格himを要求していることから、従属部標示であるというのも、まあわかる。そして問題は真ん中なのだ。この名詞句、housesが従属部のthisに複数形になりやがれー!と要求してるって言ってるんだけど、一番左みたいに、主要部である名詞に対してtheseが複数形housesにするよう要求してるって見方にならないのはなぜなの?????(そうはならなくて、housesがtheseの形を要求する従属部標示らしいのよ)もーーーこういうの好きじゃないよーー!!!苦

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はい、次行くでやんす。主題優勢言語topic-prominent language。これは、統語的に主語が存在するタイプの主語優勢言語subject-prominent languageの対的な存在だねぇ。日本語とか、そうなんだよね、先に提示した主題は、ある程度文を跨いで適用されるみたいな。これは確か、ゆる言語学ラジオさんのどれかの回でも言ってましたね(象は鼻が長いの回かな?チャンネル再生回数が一番多いやつ)。

日本語もそうだけど、格助詞「は」とか使っちゃって主語なんだか主題なんだかわかりにくいというのはあるね。こういう時は、理解の面でこっち側の母語話者でよかったと思っちゃうね。

それはさておき、英語みたいな主語優勢言語と比較して主題優勢言語にはどんな特徴があるのかをまとめるよ。

・動詞の人称変化みたいな主語の統語上の特権がない
・統語的に、主語は必ずしも必要ではない(as opposed to 英語はIt rainsまでも主語を取る)
・「象は鼻が長い」のような総主文(〜は〜が型)が存在する。
・うなぎ文のように、主語と主題を考慮せず主語優勢言語に訳すと基本的にNG

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最後っっ!!動詞枠付け言語verb-framed language衛生枠付け言語satellite-framed language(急にどうした言語学、とツッコんでおく)。これは、移動を表す動詞を分類して見えてきた類型というところかなー。例えば日本語が「入る」「下る」「通る」とバラバラに持っている異動表現の動詞は、英語ではgo in, go down, go throughという共通の動詞を使いながら付随する副詞や前置詞で区別していたりする。こういう、前者みたいに手段や様式による区別を動詞そのものを別のものにして表現する傾向にある言語を動詞枠付け言語、後者みたいに動詞に付随する不変化詞(副詞や前置詞)や接辞で区別する傾向にある言語を衛生枠付け言語というそう。一体全体なんだって衛生というワードチョイスなのか私には気になるけどもね。

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