言語学入門書を深堀りするシリーズ#1

大学院で社会言語学をやりたいと思っていたけどそもそも言語学の知識がなってないんでないかってことでザ・言語学の部分を自分に徹底的に叩き込む。ほぼ自分用なので書き言葉は変でもオッケー。

参考の書籍は中島&外池(Eds.)「言語学への招待」(1994)。正直なところ本が古いかもしれないのが今のところ最大のconcern。

さっそく第一章「ことばの起源」。
最古の言語がなんなのかを探ろうとして今だったら倫理的にやばそうなのをやったのがむかーしの方々。古代エジプト王とか、スコットランド王とか、新生児を人の言葉を話さない動物とか使者の元で育てさせてフリギア語じゃねとかヘブライ語じゃねとか言った。哲学者なんかもああだこうだ、サンスクリットじゃないかとか中国語じゃないかとかなんたらこうたら。でもこれらの考え方って人類誕生にすでに言葉があったって言ってるようなものだよね、と。
それよりもっと現実的な、単純からの複雑というプロセス踏んでるんでねという見解に関してはプラトンの『クラテュロス』の中にあるソクラテス、クラテュロスの擬音説とヘルモゲネスの慣習説。これがわからんと思ったので詳しく見る。

擬音説というのはどうやらことばって自然にある音を模倣しようとしたものじゃないの、ということらしい。人物が事物を指し示すときは、その様子を模倣する以外にないという前提から(坂本, 2012)、単語ってそうやって模倣されたものなんじゃない、と。なんか、例に上がってた話に、rの字が実は運動性みたいなのを示してるんだぜ、叩く、揺れる、流れる、みたいな言葉にrが含まれてるのはそれを発音するときに舌が振動するジャン?みたいなの書いてアルヨ。すご。だから、模倣によって言葉は自然と繋がってるんだね、ってことらしい。

一方慣習説の方は、言葉がどんな意味を持つかは社会的な慣習に委ねられている、ということみたい。(ちょっと聞いてください、、検索したらwikiのクラテュロス(対話篇)というのが出てきたんですが、全部読むの結構よっこらせってなるね。私が怠け者なだけ?)もっとわかりやすいのあったので、引用する。⬇︎

ヘルモゲネスの主張する「慣習説」によれば、名前には合意、取り決めといった社会的慣習、しきたり以外にない。この説に従えば、実際のソクラテス本人と「ソクラテス」という名前との間には本質的な関係など全くなく、同じように馬という動物を「馬」と呼ぼうがhorseと呼ぼうが、さらにはchevalと呼ぼうが、どの名前が本質的に正しいということはないということになる。名前というのは、社会的慣習に基づく恣意的なものに過ぎないし、それ以上のものではないからである(斉藤, 2011)。

これは流石にわぁ、天才的〜と思ったね。正直私はこっち派だけどね。生成文法だったか、チョムスキーの文法のやつやったときもそうだったんだけどそれって後から名付けてるだけじゃね、みたいなやつはなぜかあまり受け入れたくない精神が働いてしまう。

話が逸れた。さらにこの二つに加えてゼスチャー説というのもあるみたいね。動物学者の見解で、ジェスチャーで使われるような手振りを発生機関でまねたのが音声言語、と。これだけきくと、模倣的な観点が最初の擬音説にも近いような感じを受けるね。

時代が進むと他の分野も人類の発見が進むので、そういった影響を受けながら、ことばの起源に対する考えも深まる。かのダーウィンの進化論に沿って、言葉を持たない人間の存在を仮定した動物学者もいる。(ちなみにダーウィンもことばなんてのは動物の叫び声に他ならないんだぜっ、なんて感じである。)これに対してのちの時代の言語学者ミュラーは思考とリンクしていないことばなんてのはないんだ、という立場。私もミュラー派かなぁ。伝達的要素を踏まえると、、でも動物の鳴き声とかも伝達的な要素含んでるならまぁもうわからん。我ながらテキトーか。

この後、考古学の発展(アウストラロピテクスとかネアンデルタール人とかのらへん)、解剖学(咽頭の下降、発音のこと)、言語年代学(基礎語彙を比較してことばの発生時期を推測しようと変化率を出したりする研究分野)、霊長類学(チンパンジーはどうなのよ)などなどから現代にわたって議論がされているよー、と。

ふぇー、ことばの起源について今まであんまり関心なかったなぁ。やっぱり発音できるようになって脳も大きくなってコミュニケーションできるようになって、という流れは耳にしたことあったけど、でも慣習説みたいに人間だからこうなった、とか、この社会だから、こういう文化になったからこうなった、みたいなところはそれなりに好き。一章はこれにて終わり!(ほぼ、自分の深堀りたいところしか深堀ってないという怠惰さよ。)

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・中島(1994). ことばの起源. In 中島&外池(Eds.). 言語学への招待. 大修館書店.
・坂本(2012). オノマトペと言語の起源. 長崎外大論叢. pp. 227-236.
・斉藤(2011). アリストテレスの「言語慣習説」について. アルテス リベラレス(岩手大学人文社会科学部紀要). 88. pp. 31-46. 

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