弁別素性性が全く理解できないヨー

一般言語学、音声学音韻論の話。編集: 7/4-6, 2021. 

第一に、弁別素性の概要を引用するとこう。⬇︎

それ自身が表す分節音の自然類に対応して、弁別的素性は 主要音類素性 (major class feature)、 喉頭素性 (laryngeal feature)、 調音性素性 (manner feature)、調音位置素性 (place feature) に分類される。 それぞれの種類の素性は、さらに、対応する分節音が持つ音声学的性質に応じて特徴付けられる。弁別的素性の音韻論的分析が始まった1950年代以来、素性に陽性 [+] か陰性 [-] の値を与えることによって、その素性の示す音声学的性質が対象の分節音にあるかないかを表す方法が伝統的である。すなわち、陽性[+]は素性の存在を表し、陰性[-]は素性の不在を表す。 しかし、近年の弁別的素性の理論の進展を受け、音韻論では、一価性の素性を置くことが提案されている。一価性の素性は、その素性を持つとされる分節音のクラスだけに対して用いられ、持たないクラスに対しては用いられない (弁別素性性, n.d.)。

そして読み始めて10文字しない間に壁にぶち当たるのであった。分節音ってなんぞや。なのでこれは英語版に頼るしかない、と思い、どうやら分節音に対応してそうなのがこれ。⬇︎

In linguistics, a segment is "any discrete unit that can be identified, either physically or auditorily, in the stream of speech". The term is most used in phonetics and phonology to refer to the smallest elements in a language, and this usage can be synonymous with the term phone (Segment, n.d.).

結局、単音とほぼ同義ということがわかって、なんで違う表現にわざわざしてあるのかという疑問で混乱している。コトバンクさんにもお世話になっちゃう。⬇︎

…このように単音の区分は必ずしも明確でない。生成音韻論では言語音声の流れの中でこれを構成する主要部分を分節音segmentと呼び,発話の音の流れを分節音に分けることを分節segmentationと称している (分節音, n.d.)。

このようにの前パート絶対必要だったくないかと思ってるけど、世界大百科事典すぐには入手できないので。。今はなんとなくふわっと理解程度で。

(追記7/6:韻律上の最小の単位Prosodic elementsはモーラか音節であるとされているらしい。どちらをそれとするかは言語ごとに決まっているらしい。どちらにせよ、最小単位が決まったものとすると、母音弱化、母音の長音化などの適用される領域は母音や子音などの分節であり、その分節を構成する弁別素性が音韻上の最小の単位となる(原口, 1994, pp. 6-7)。…ですって。分節、、うん。主要部分、、ウーーーン。誰か、わかる?)

分節音から一旦重い腰を上げたと思ったらまたすぐ自然類natural classesにぶつかる。ナニソレ。全然わからなーいと思いながら15分くらい調べてなんとなく掴めた。最初wikiが ”a set of phonemes in a language that share certain distinctive features (natural classes, n.d.)” と言ってたので、それじゃ弁別素性がわからない私には余計わからない!と思ったヨネ。たぶん、特定の音韻要素?単音?音素?のもつ特性が共通するそれらのこと?なのかなぁと思ってる。

そして結局弁別素性についてはウィキをfully理解できず別のサイトにもお世話になる。⬇︎

言語音は、共通した性質を元に様々なグループに分けられます。
例えば、lip, rub, leaf, leave, rimの太字の部分の音は、唇が関与する唇音(labial)というグループを形成します。lit, lid, tooth, lathe, rice, rise, wren, rich, ridge, rush, rougeの太字の部分の音は、舌先が関与する冠音(coronal)というグループを形成します。back, bag, bangの太字の部分の音は、軟口蓋が関与する軟口蓋音(velar)というグループを形成します。
音素表記では、これらの音が共通に持っている性質を上手く捉えることが出来ません。
そこで、言語音は、音素のように、それ以上分解出来ない単位ではなく、いくつかの音に関する性質(素性)の束であるとする考え方が出て来ました。この音に関する性質を弁別素性(distinctive feature)と呼びます (音韻変化, n.d.)。

こっちはかなりわかりやすい。グルーピングかぁ。なるほど、なんとなく見えてきたかもしれない。あと、学部時代の教科書からも。⬇︎

One approach that has been given a lot of importance is distinctive feature analysis, which is based on the principle that phonemes should be regarded not as independent and indivisible units, but instead as combinations of different features (Roach, 2009, p. 102). 

音素は独立した区分できない単位と捉えるよりもむしろ異なった要素を複合的に持ってるものと捉えた方がいい、みたいな感じかと思うけど(本来であれば、訳をするときは一語一句筆者の込めた意味を汲むようにしなければならないけど…)、ということは弁別素性はそういう音、ちゃんと言えば音素をbetter wayで捉えるための概念だったりするわけか。ここまでくると、なんとなく言わんとしてることがわからんでもない。

まあ結局のところ、弁別素性とはなんぞというのは、単音たちをその特性が一緒のもの同士で分類したよー、その特性を弁別素性というよー、というような感じでいいのかなぁ。これ、最終的にはそれぞれの単音にその特性があるかないかを[+][-]で示すんだよね?ということは、それぞれの単音の性質(弁別素性)一覧表みたいなのができたり、グループごとどんな音韻が含まれてるかを掴めるということ、なのかな?詳しく見ていこーー。以下、だいたいwiki。

弁別素性はどうやら四つのタイプで大別されていて、その下位にさらに細かい特性があるみたいね。それが主要音類素性major class feature咽頭素性laryngeal feature調音性素性manner feature調音位置素性place feature

(1) 主要音類素性major class feature=主要な音のクラス
子音性[±consonantal]([±cons])
声道が細く狭まって摩擦を生じているような音(摩擦音、破裂音、破擦音、流音、美音を含む)を子音的、それほどの狭窄のないものを非子音的(母音、わたり音(半母音)、声門音glottalなど)と括る。

共鳴性[±sonorant]
声道での狭窄前後、気圧が同程度のものを共鳴音([+cons])、気圧が高くなるものを阻害音([-son])。前者にはわたり音、流音、母音、鼻音が含まれる。

接近性[±approximant]
声道に摩擦を生じない空気の通り道がある音(母音、わたり音、流音)を[+approx]とし、それがない音を[-approx]とする。(子音性との違いがいまいちわからない。一応調べた感じだと無摩擦の子音が接近音として該当するが、日本語の「イ」「ウ」やworkのrは狭母音という母音としてこれに含まれる。ヤ行ワ行はすぐに音が母音にうつってしまうのにわかるように半母音という子音として含まれる(接近音, n.d.)。)

音節性[±syllabic]
音節の核nucleusとなるようなもの(基本的に母音)を[+syll]、そうでないもの(子音)を[-syll]とする。例外が多分ある(syllabic consonants: "a consonant that forms a syllable on its own, like the m, n and l in the English word rhythm, button and bottle (syllabic consonant, n.d.)" )。

(2) 咽頭素性laryngeal feature=声門の状態別クラス
有声性[±voice]
声帯が振動する程度に接近してる音の場合は[+voice]、そうでなければ[-voice]。母音やその他の共鳴音、有声阻害音(阻害音:調音器官で気流の妨げを伴うもの)は[+voice]、無声阻害音などそうでないものは[-voice]。

拡張声門性[±spread glottis]
声門で摩擦が生じる状態になっているものを[+spread](有気音など)、そうでないものを[-spread]とする。英語版では、声門の開き具合が、声帯が摩擦を生じるほど離れていれば[+sg]、摩擦を伴う声門の開きがないものを[-sg]といった風に書かれてる。

狭窄声門性[±constricted glottis]
声帯が緊張し、声門が閉じている音を[+constr]、そうではない音は[-constr]とする。声門破裂音glottal stop、放出音ejective(: 肺からの呼気を用いない非肺気流機構の子音)、入破音implosiveは[+sg]。(例を出してくれええと苦しんでいたら、英語版IPA: implosive consonantsに音声付きがあった。結局分からなかった。なんとなく、苦しそうな音だった。)

(3) 調音様式素性manner feature=調音方法によるクラス
継続性[±continuant]
声道に閉鎖がなく空気が継続して流れるのが[+cont]、閉鎖があるのが[-cont]。摩擦音や母音は[+cont]で破裂音、破擦音、鼻音などは[-cont]である。側面音に関しては中心部に閉鎖を持ちながら側面部は開いているため言語によってどちらの値を持つかは異なる。(側面音ってなんやねーんという同志へ、「側面音は子音の調音方法の一つで、 舌の中央部分(側面を除く一部分)を上顎に密着させて、空気が舌の両脇を流れることによって生じる音(英語の発音方法, n.d.)」だそうです。例:[l] in lead。)

鼻音性[±nasal]
口蓋帆が下がり、空気が鼻腔に触れる音を[+nas]、口蓋帆が上がっていて空気が鼻腔に触れない音は[-nas]。鼻音と鼻母音が[+nas]である。口蓋帆とは(軟口蓋後半の上下に動く部分で、口蓋帆の先端には口蓋垂がある)を除けば一番わかりやすい。

粗擦性[±strident]
阻害音の摩擦の区別を表す。比較的うるさい摩擦を伴う方([f, s]など)は[+strident]、そのような摩擦を伴わないもの([ɸ, ç, x]など)は[-strident]。破裂音[-strident]と摩擦音[+strident]の区別に使われることも。

側音性[±lateral]
声道の中心線に舌ベろによる閉鎖があり、少なくとも一方の側面は解放されていて空気が流れるようになっている音を[+lat]、そうではないものを[-lat]。側面音は[+lat]。

遅延的開放性[±delayed release]
破裂音と破擦音の区別のために用いられることがある。閉鎖の解放が遅く、摩擦が生じる破擦音は[+dr]、そうでないものを[-dr]。破裂音は後者。

(4)調音位置素性place feature=調音位置を表す一価の素性。付属する二値的素性によってさらに細かく分類される。
唇音性[LABIAL]:調音に唇が関わるもの。
 __円唇性[±round]
 唇の丸めを伴う音は[+round]。円唇母音や唇音化した子音など。

舌頂性[CORONAL]:舌先を持ち上げて調音される音。 
 __前方性[±anterior] 歯茎の境目よりも前で調音されるのが[+ant]、後ろは
    [-ant]。歯音、歯茎音は前者で、後部歯茎音palato-alveolar(shとかdgeとかに
    見られる音か!はぁ)、そり舌音retroflexは後者。
 __広域性[±distributed]
 声道の狭窄が比較的広範囲に渡って存在するのが[+distr]でそうではないのが[-
    distr]。前者には舌端音、歯音dental、後者には舌尖音、そり舌音が含まれる。

舌背性[DORSAL]:舌背が調音に関わるもの。軟口蓋音、口蓋垂音、母音など。
 __高段性[±high]
 舌背が口蓋に近い位置にあると[+high]、そうではないものは[-high]。狭母音、
 軟口蓋音は前者、広母音や口蓋垂音uvularなどは後者。
 __低段性[±low]
 舌背が低い位置にある音は[+low]、そうでないものは[-low]。広母音は前者。
 __後舌性[±back]
 舌が中舌あるいは後舌の位置にあるものは[+back]、前舌の位置にあるものは[-
    back]。軟口蓋音や後舌母音は前者、前舌母音は後者。
 __緊張性[±tense]
 母音[i, y, u]は[+tense]に含まれ、対応する[-tense]の母音[[ɪ, ʏ, ʊ]に比べて口蓋
 に近い位置で調音される。
 __前方舌根性[±advanced tongue root; ATR]
 [+ATR]である母音[e. o, u]などは対応する[-ATR]の母音[ɛ, ɔ, ʊ]などに比べて舌
 根が前寄りの位置にあり、咽頭を広げて調音される。
 __後方舌根性[±retracted tongue root; RTR]
 [+RTR]の母音[ɪ, ɔ, ʊ]などは、対応する[−RTR]の母音[i, o, u]などにくらべて舌
 根が後寄りの位置にあり、咽頭を狭めて調音される。

舌根性[RADICAL]:舌根を用いて調音される。咽頭性[PHARYNGEAL]ともいう。咽頭音はこれに含まれる。(ナニコレ、上の前方後方のやつはコレではないのね?なんなのこれ???)

一応素性一覧を書き出して、わからなければ他も当たって、というようにしてみたけど、それにしてもわからん。私これ全部覚えてる人とか頭に入ってる人のこと尊敬しちゃうわ。なにこれ。なんかさ、これそれぞれの名称覚えるだけじゃないじゃん、なにが口蓋垂音で、どんな音が含まれて、その例にどんなものがあってとかまでわかってなきゃ理解とは言えないやん、それ、めちゃめちゃハードル高くない?

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・弁別素性. (n.d.). In Wikipedia. Retrieved July 4, 2021, from https://ja.wikipedia.org/wiki/弁別的素性
・segment. (n.d.). In Wikipedia. Retrieved July 4, 2021, from https://en.wikipedia.org/wiki/Segment_(linguistics)
・分節音. (n.d.). In コトバンク. Retrieved July 4, 2021, from https://kotobank.jp/word/分節音-1410160
・S, Haragushi. (1994). 音韻論. 東京:開拓社. 
・natural classes. (n.d.) In Wikipedia. Retrieved July 4, 2021, from 
・音韻変化. (n.d.). In . Retrieved July 4, from 
・Roach. (2009). Phonetics and Phonology. 
・接近音. (n.d.). In Wikipedia. Retrieved July 6, 2021, from https://ja.wikipedia.org/wiki/接近音
・syllabic consonant. (n.d.). In Wikipedia. Retrieved July 6, 2021, from https://en.wikipedia.org/wiki/Syllabic_consonant
・英語の発音方法. (n.d.). In 英語発音(アメリカ). retrieved July 6, 2021, from http://pronounce.webcrow.jp/lateral.html

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