silver story#20

#20
私はカメラを取ってもらい
光一さんの画面を探した。
 ここに来る前の日にギャラリーに寄った時、なんだか不意に光一さんを撮りたくなって1枚だけ撮ったのだった。

ギャラリーの表で ギャラリーのシンボルである一面ヒマワリの咲いている絵の前で、優しくはにかむ光一さんの姿が写っていた。

「ユキさん、どうぞ。これが光一さんです。たぶんあなたのお父さんです。」

ユキさんはカメラを手に取り光一さんと向き合った。

かなり長い間、ただ見つめていた。
その瞳には涙が滲んでいた。

「パパデスカ?ワタシノ パパデスカ?

ママ、ミテクダサイ。ワタシハ ワカラナイカラ…。」

その声は涙混じりで、ユキさんは子どものように泣きじゃくっていた。

お母様はためらったが、ユキさんのためにカメラを手に取り画面を見つめた。

「コウイチ……。」

ユキさんはお母様に抱きついて声をあげて泣き出した。お母様も愛しい我が子を包むように彼女を抱きしめ涙を流していた。

窓から入ってくる風が今までと違い、少し柔らかくなったような気がした。肌にまとわりつく感じから、少しだけ心地よい風に変わった。
それはまるで二人を気遣っているようだった。

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