silver story#18
#18
「彼が街に行く前の日に撮った写真です。
彼は私のこの目が好きで、いつもキレイだと言ってくれた。日本に来たらその瞳をもっと輝かせてあげるよ。と言って私を日本に連れていく約束をしてくれたのです。
その時、見ていた星空です。」
なんてステキな、それでいてなんて切ない星空なんだろう。
でも、こんな美しい星の写真を撮るなんて、カメラの腕前もかなりのものだと、この作品を目の前にして、冷静なカメラマンとしての自分が出てきたのには笑ってしまった。
どんな人だろう。これを撮った人は。
どんな人だろう。彼女の愛した人は。
その人を探そう!
必ず探して二人に、いや三人に会わせよう。またしても私の中の使命感が大きく脹れ上がってきた。
もう、何かに操られているようで、そうしないと、そうするためにこの地に導かれたように思えてならなくなってきた。
「その人の名前は、何ですか?」
「コウイチです。ヒュウガコウイチ。」
「ええ! ヒュウガ コウイチ! 同じ名前の人、私、知ってます。私のサポートしてくれている人です。」
ええ! ええ! ええ!
まさかあの光一さんが!
年齢的に確かに合うし、確か光一さんも昔、いろんな国に行ってたらしいし、でも、まさかカメラをしていたなんて聞いたことないし、確かに私の作品に的確なアドバイスをしてくれるけど……ええ!
日向 光一さん
「ギャラリーSOLEIL 」のオナーで私の父親みたいな人だ。
確かめなきゃ。早く日本に帰らなきゃ。
まさかの展開に胸の鼓動が激しくなりこの湿気のためもあって、クラクラしてきた。
こんな偶然あるのか?
バリの神様。やはりあなたの仕業ですか?
もう、奇跡としか言いようがない。そして、次に起こる奇跡を期待してしまう。
神がかり的なこの物語を最後まで見届けれるんだと思うとなんだか、武者震いがしてきた。
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