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十分に抽象的に発想したうえでその後に初めて具体的に発想する

東京大学未来ビジョンセンターの西山圭太教授の指摘。

1960年代に、創業間もないインテルが、小型計算機でカシオなどと覇権を争っていたビジコン社から12種類のチップの設計図面を示され、製造依頼をされたときに、9種を実現できる汎用チップの開発で対応した。そして、汎用チップの権利を確保し、ビジコン以外の企業にもマイクロチップの開発を提案していったという。まさにインテルを象徴するエピソードだ。このような一連の出来事を引き合いにとり、抽象的にものごとを考えることの重要を解いている。

その通りだと思うと同時に、日本人が両利きの経営が苦手なことがよくわかるエピソードだ。新しい製品や事業を開始するに当たって、具体化されたものを抽象化してあれこれ考えることなく、深化する方法を反射的に行っている。これでは何らかのシナジーのある探索はできない。

最終的には具体化しないと製品にはならない。その意味で具体が重要なのは言うまでもないが、だから最初から具体だけを考えていたのでは画期的なアイデアは出て来ない。日山先生の言われるように、抽象的にあれこれ考えた上で、具体的に発想することが重要なのだ。インテルがそうであったように。

こういう話題として興味深いのは、スティーブ・ジョブズ。iPhoneを開発したときに、ジョブズはどんどん新しい具体的なアイデアを発想していったと言われている。これは、抽象的な発想と具体的な発想をほぼ同時に一人でやってのけているのではいかと思える。同時に、特に抽象的な発想を開発チームで共有していたのではないかと思える。

コンセプチュアルリーダーとはそういうものだろう。

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