善悪と生死を問う名作
アメリカのカンザス大学から私立総合「天真楼病院」へやってきた医師・石川玄（石黒賢）は衝撃を隠せなかった。そこには苦しむ患者を無視するかのような振る舞いを平然ととる天才医師・司馬江太郎（織田裕二）がいた。しかし、外科部長の中川淳一（鹿賀丈史）は司馬の冷血な行動を知っていながらそれを受け入れていた。そして、二人の医師は天真楼病院を舞台に、同じ医療クルーとして深く関わり始める。
お互いの理念は分かり合える事もないまま、激しく衝突を繰り返していく・・・
数々の医療ドラマに手を出してきた私。
フジテレビの医療系テレビドラマを網羅してきました。
救命病棟にはじまり、コード・ブルー、Dr.コトー、チーム・バチスタシリーズ…
唯一、みようとしなかったのが
『振り返れば奴がいる』
でした。
理由はありますが
いちばんはＷ主人公のひとりがアンチヒーローだということ。
悪役の主人公！？しかも医者で！？
私の医者の理想は世間一般で言う英雄的な人物像だったから、なんとなく受け入れがたいというのがありました。
織田裕二さんと石黒賢さんが主演で
悪役である主人公の司馬江太郎を演じるのは
織田裕二さんです。
正義感あふれる主人公の石川玄を演じているのは
石黒賢さんです。
私は架空では医者は善良であるべきだ、というのが強かったのです。というか私自身が勝手にそうあってほしいという理想を押しつけているだけですが。
今までみてきたテレビドラマでは必ず医者というのはこの作品で石黒さんが演じたような正義感の強い善人（たまに善人通り越している）ばかりが描かれていました。
だから、織田さん演じる司馬をみたときは驚きでした。
利益や権力を行使したり、買収したり、好き勝手にふるまう。
およそ正義のヒーローとは言えない行動。
だから、私は『振り返れば奴がいる』では
石黒さん演じる石川玄に共感し、石川先生が好きなキャラクターになるのだと思いました。
それでは聴いてください。
「思ってたのとなんか違う」
そうです。
私が好きになったのは司馬先生でした。
しかも大好きになりました。
なぜ私が織田さん演じる司馬江太郎を大好きになったのか。
人間味あふれる悪人であること。
生まれた時から悪い人間なんてひとりもいません。
かつては司馬先生にも石川先生のような純粋さと正義感があった。
そしてなにより、司馬先生の佇まいと表情が魅力的であるところ。
複雑な心境が感じとれるような、そんな姿が魅力的でミステリアスで愛おしい。
じつは司馬先生は医師として間違っていることはあまり言ってないんですよね。
非道だけど、間違ったことをしているわけじゃない。
けれど、常識的に考えたり世の中一般的な正義の観点からみればそれは悪でしかない。
登場人物はこぞって、司馬先生を非難するけど
真っ向から向き合えば普通の人間です。
話が進むうちに、私には司馬先生がいちばん純粋にみえてならなかった。
純粋すぎるが故に悪に染まったのではないかと思いました。
これに関しては彼の過去が関係していますが。
私個人的に思うのが、純粋さや正義（善）を突き詰めれば突き詰めるほど結果はどうしようもなくなると思うんです。
なんだったら純粋さと正義感を持っている人はいちばん悪になりやすいと思います。
なぜなら、そういうものって表裏一体だから。
光と影が密接なように、正義（善）と悪も密接で切れない。
つまり、正義も悪になり得る。
そして、正義というのは何も正しいものではない。
一人一人の持つ義である。
つまり、何が正義かはこの世にいる人間の数だけあり、全て同じではなくそのなかには世間が勝手に思う悪も含まれているということ。
善悪なんて本来は人間に決めることなんてできないものだと私は思っています。
けれど、人間は勝手に善悪を決めたがる。
そうでないと人間という生物の死に直結するから。
なんというか、傲慢というか。
全ての人は罪人、とどこかで聞いたことありますが…その意味がわかるような気がします。
だから、純粋さや正義などはある程度に抑えたほうが生きやすいのかもしれません。
司馬先生にはそれが強くあった、だからこそ変わってしまったという感じがします。
まあ、簡単に言うと“グレた”みたいな。
おそらくあの性格と劇中での本人の発言から、友達と呼べる人はいないのだろうと思います。
生きるうえで大切な人間関係が希薄になってくると、人間はどこかおかしくなるものです。
人との関わりが下手な方が社会に溶け込みづらいのと同じで司馬先生には向き合える相手がいなかった。
だからこそ、
たとえそれが好意などの前向きなものでなくとも
真正面から意見を述べ、関心を寄せてくれる石川先生は司馬先生にとって特別な存在となり得るのではないかと思います。
それが敵対関係であろうと、お互いに関心を持っている。
いちばん悲しいのは関心を持たれないことだから。
どんなかたちであれ、石川先生は司馬先生を倒すことに執着し続けた。
良い言い方で言えば戦友。
そんなふたりの一言で表せられないアツい関係もこの作品のみどころです。
司馬先生の過去は不遇で悲しいものでした。
しかし過去がどうであれ、医者である以上
世間一般的な医者としてのルールに反した行為は許されません。
どんな背景があったとしても
それはルールを破ったことになる。
この世に法律…ルールがある以上。
司馬先生の行為は決して褒められたことではない。
けれど、命というものの存在の深さと人の死に対する認識を改めて残酷に突きつけてくる、そんな行為だと私は思った。
こんなに深い医療ドラマだなんて思っていなかった。
今まで見てきた作品は、聖人君子な医者ばかりでした。
けど、この作品は医者という人間を深く描いているように思えました。
ヒーローでも何者でもない医者。
私個人的に今まで見た医療ドラマの中でいちばんだと思います。
本当に深い。
おそらく放送当時にSNSなんてなかっただろうし、人々の言葉を簡単に発信できる時代ではなかったかもしれないけど。
この作品を当時にリアルタイムで見た人が羨ましい。
間違いなく名作です。
今、SNSなどでちらほら感想をみてみると
この作品の後半で、石川先生を演じる石黒さんの顔が白くなっているというビジュアル的な話をされていて、そこは私もめちゃくちゃ思ったけど（笑）
いくら、石川先生が病におかされるからといって、それはやりすぎじゃん、って感じで笑いどころじゃないのに笑ってしまいましたが。
不自然な白さでしたよね。
いくら弱っていてもそこまで白くはならんだろ…と（笑）
まあそこも面白いので、おすすめです。
この作品の脚本を書いているのが
三谷幸喜さんということで
三谷さんといえば喜劇の印象が強く、
こんなにシリアスな作品を書く印象がないので驚きとともに諸事情によりシリアスな医療ものの脚本に抜擢されて執筆に相当苦労したという裏話は割と好きです。
（本人からしたらたまったもんじゃない）
完成にかなり時間がかかったというのもテレビドラマ本編を見て感じ取れる気がする。
素晴らしい脚本、ドラマになっているのは、人々に娯楽という幸せを与えてくれようとする脚本家、スタッフの皆さま、出演者の皆さまの苦労があったんだなぁと感じます。
医療シーン的には細かいツッコミや非現実的なシーン、粗探しをすればたくさん出てくるのかもしれない。
けれど
この作品はそこに注目するというより、その世界観やストーリー。
登場人物の心境や環境が視聴者の想像をかき立てる。
なんというか、簡単に言うと
ワクワク！
テレビドラマを見るのに
知識なんているのでしょうか。
テレビドラマに現実を重ね合わせる必要があるのでしょうか。
ただただ
テレビドラマやエンタメは
人が生きていく喜びを少しでも感じるために、ただ楽しいと思うためにあるものだと私は思うのです。
この作品はシリアスな世界観でそれを実現してくれた作品だと思います。
楽しいというのは喜劇だけに用いる言葉だと思うかもしれません。
でも違う。
シリアスも命を扱う医療ドラマもフィクションであれば
それは立派なエンターテイメント作品です。
楽しい
それだけが作品を好きになる理由で良いと
私は思っています。
私は
振り返れば奴がいる
を見て、心からワクワクしました。
続きを見たくなり見れば見るほどワクワクしていました。
すでに結末は知っていたけど
それでもワクワクできる物語でした。
ほんの軽い気持ちで
見始めたテレビドラマを
こんなに大好きになると思わなかった。
そして医療ドラマの中でいちばん好きになった。
もっと若い方に知られてほしいし、後世に受け継いでいきたい名作だと私は思います。
あ！
あまりにも興奮して語りすぎて
主題歌のことなにも触れてなかった…（笑）
主題歌はおそらくテレビドラマを見ていない人でも知っているんじゃないかというほどの名曲。
「YAH YAH YAH」
CHAGE&ASKA
テンポとノリの良いサビ
ドラマのオープニングで爽快に走る織田さんと石黒さんの映像と曲のサビが合わさった時に高ぶる感じ
そして、あのシンプルなオープニング全体に合いすぎてて私個人的に超大好きです。
曲単体で聴いても応援歌みたいな感じで、カラオケで盛り上がりそう。
ちなみに主演のふたりが走るオープニングは差し替え版で実際の放送ではこの曲を歌っているCHAGE&ASKAのふたりがサビで歌っている映像だったとか（笑）
1993年に戻り…タイムスリップしてえーーーーーー！
1990年代のドラマ名作多すぎないか！！！
そういえば、主演の織田裕二さんは90年代のドラマにたくさん出ていますよね。
私個人的に織田さんのイメージって
東京ラブストーリー なんですけど…いや、踊る大捜査線じゃないんかい！
私が幼い頃に再放送のビデオを全話見た記憶があるんですよね…
それで私は織田さん＝カンチってなってるんですけど。
織田さんと言えば、
東京ラブストーリーと踊る大捜査線のイメージ…
私がリアルタイムで見た織田さんの作品ってなんだろう…
思えば全然見てないかもしれない。
おそらくテレビドラマ好きである私が特定の俳優の出演作を見ない理由は単に作風の好みが自分に合わなかっただけだろうけど
それにしても合わなすぎじゃない？！
たくさん主演しているのも、知ってたし
すごく認知はしているのにリアルタイムでは作品自体をほぼ見たことがないという。
だからリアルタイムではないけど、今回の
振り返れば奴がいる
を見て、あれこの人名優なんじゃね（今更すぎる）って気づきました。
振り返れば奴がいる のときは当時まだ26歳の若手俳優だったのに
それであんな魅力的な演技と表情と佇まい。
天才？え、天才！？カッコ良すぎないか！（喜怒哀楽）
↑混乱
司馬は本当に設定も人柄も難しい複雑な人物だと思うし、登場人物として演じるためにどう捉えるかとか本当に色々と難しすぎる。
考えれば考えるほど難しいけど考えなければできないキャラ。
大衆に嫌われる悪役なのに主人公としてたくさんの人に愛されるようなキャラにしたのはすごい。本当にすごい。感動。
そして、もうひとりの主演の石黒賢さん。
整った容姿でありながら
不遇や不幸な役を演じることが多い気がする。
（私個人の観点です）
私が今まで見た作品ではだいたいめちゃくちゃ王子様みたいなかっこよくて良い役なのに不幸な役。
特に私は救命病棟24時のときの小島先生の婚約者である加賀さんが強く印象に残ってて大号泣したな。
あと、織田さんと共演回数が多くてそのどれもが不遇で不幸な役が多い感じみたいで気になる。
あと、ショムニね！
ショムニでもかっこいい役柄だな。
ジェントルマン感強いんだよなぁ…素敵だわ。
ショムニもきちんと見てないし、なんとなくでしか再放送見てなかったからしっかり印象に残っているわけじゃないけど、男性陣では目立ってた気がする。
リアルタイムで見た作品、不幸な役か犯人役が多くて
個人的に石黒さんには優しそうな雰囲気とかイメージ持っているからギャップすごい。
あと不幸な役は悲しすぎる。
私は悪役って影の主役だとも思うんですよね。
一般的な正義は悪がいなきゃ生まれないし、行動もできない。
もしかすると悪役は演劇の華かもしれません。
石黒さんが最近インスタやっていることに驚いて、フォローしました（？）
振り返れば奴がいる
の石黒さん演じる石川は不幸で理不尽すぎる結末だけど、悪と対立する善を見事に演じている。
司馬と石川を見ているとわかるけど、善は暴走しやすく簡単に悪に染まるんだなぁと思った。
テレビドラマ後半での石川が司馬に執着しすぎて自分の信じる善を捨ててしまうところは迫力があるし、どんな人でも心に善悪両方をそなえていて、変わるかもしれないという人間の怖さを画面を通して感じることができた。
それでも石川は可哀想すぎる。
生きろよ、生きろよ…
石川が生きている世界線見せてくれよ！！！！！！
主演の俳優さんのお話をしました。
本当はもっとしたい！（笑）
私、司馬先生が大好きすぎるのでその補正がないとも言えませんが
司馬先生は単なる悪ではないと言いました。
まっすぐ向き合えば普通の人間だとも言ってます。
ただ人間性と倫理観とはちょっと違うと思います。
確かに悪い人ではない、しかしやったことに対してはその時のその場所での倫理的にはアウトなのではないかと思います。
だからと言って、司馬先生にあの結末がふさわしいとも思いません。
けど、司馬先生が何もなくそのまま終わるのもなんか違うなぁとは思います。
けれど、ドラマ的にはあれでよかったとも思います。
私は医療ドラマの特集（フジテレビ）みたいなものではじめて作品を知り、最後の展開を見たのですが、驚きました。
逆にそこが印象に残りすぎて気にはなっていました。
だからようやく見れて、しかも名作ドラマに出会えて嬉しいです。
ただひとつ、
語りたいのに、語れる人に出会えない寂しさ。
放送当時なら話題性は抜群ですが、
29年前の作品ということもあってか
わかる人に出会えない。
そこもタイムスリップしたいぐらいには寂しいというか…もやもやします。
なんなら同時視聴会とかやりたいわ。
それか今のフジテレビで再放送しろください。
私の名作医療ドラマは
振り返れば奴がいる
です。
気になった方はぜひ、見てください。
FODで見れます。
そして最後に、もし
振り返れば奴がいる
が好きな同士さんいらっしゃったら
ぜひ、語りましょう！
気軽にコメントください！！！（懇願）
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