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哲学プラクティスに関わる人への9の質問 #12 高橋綾さん

1.肩書き・職業など

大阪大学COデザインセンター特任講師

2.現在の主な活動

他者との協働探求やケアリングを重視した対話活動を社会のさまざまな場所で実践しています。たとえば、緩和ケア看護師コミュニティでの対話型研修、ケアや協働を重視する組織(病院、地域の訪問看護事業所や生協など)での対話促進のための研修、がん患者や生きづらさを抱える女性たちとの対話など。
また大阪大学では、分野や専門、様々な属性の人と対話できる能力を大学院生に身につけてもらうことや、患者・クライアントや多職種と対等に対話することのできる対人支援の専門家を養成することを目的とした教育プログラムを提供しています。

3.はじめて哲学プラクティスに出会った日はいつですか?

大阪大学の臨床哲学研究室で学んでいた大学院生の頃です。私は、1998年に大阪大学の文学研究科に作られたこの研究室の初年度に修士課程1年生として入学しました。当時の研究室の先生や先輩、仲間たちと「社会のなかで哲学する」ことの可能性を議論し、模索している中で、フランスでされていた「哲学カフェ」や、欧米で始まった「哲学プラクティス」というムーブメントについて知りました。

4.はじめて哲学プラクティスを実施したのはいつですか? 

日本で最初期(2000年、應典院)に行われた「哲学カフェ」に、上記研究室のメンバーとともに同席したのが、私にとってのはじめての哲学プラクティスの実践だと思います。ただ、この時は、私は進行役ではなく、会場の受付やコーヒーを出す係(笑)でした。

5.哲学プラクティスを、はじめてやろうと思ったのはなぜですか?

単純に、今まで人がやっていないことで面白そうだと思ったからです。あとはそれを一緒にやろうという人たちがいたことも大きいです。また、私自身について言えば、一人で本を読み研究しているより、実際に人と接して、その人たちの言葉や表現を見聞きするほうが好きだという性格も関係していたかもしれません。

6.今まで哲学プラクティスを続けてきたのはなぜですか?

いろいろな人に出会い、対話をしていくなかで、その活動に(いい意味でも悪い意味でも)はまってしまったから、だと思います。対話と協働探求の可能性を追求したいと思ったし、いつのまにかそれ以外のことはできなくなってしまいました....

7.活動の中で、一番大事にしていることはなんですか?

先にも書いたように、他者との協働探求やケアリング、インクルージョンやダイバーシティ、エンパワメントという価値にコミットし、それを促進する対話を行うことです。

8.あなたにとって、哲学プラクティスとは?

自分のやっていることは対話のプラクティスだとは思いますが、「哲学」をつけると、私の作りたい場所とは違うものを想定した人が来たり、参加者に余計なこわばりが生まれるので、最近は哲学という言葉はなるべく使わないようにしています。あえて言えば、哲学という言葉を一切使わない、哲学プラクティスを目指しています。

※トップ画像は、2021年大阪の西成区釜ヶ崎で行ったイベント「カマボール」の風景(本人的にはこれも哲学プラクティスであるという認識)

9.影響を受けた活動、人物がいたら、教えてください。

いわゆる哲学プラクティスの実践者であれば、ハワイp4cのDr.J(トーマス・ジャクソンさん)とブラジルのウォルター・コーハンさん。
対話とケアリングの実践者としては、中井久夫さん、向谷地生良さんとべてるの家のみなさんの活動、田村恵子さん、荘保共子さん。
また、活動ではないですが、それぞれのかたちで対話活動が根づくことを可能にしているハワイや南米、イタリアなどの文化風土にも影響を受けました。

関連サイト

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※「哲学プラクティスに関わる人の9の質問」については以下をご覧ください。


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