1 転校
自分の過去を文章で書き起すって、結構大変だったりします。
それなりに辛かった事がある分、記憶が飛んでる部分が多くてうまくまとめられるかわかりません。
私の小学4年生の頃の話です。
小学3年生まで、毎年夏休みに家族旅行があった。
場所の詳細は覚えてないが、海を見たり珍しいアイスを食べたりで毎年楽しかった記憶はある。
特別有名なディ⚫ニーランドとか、そういう所じゃなくて、海の見える小さな旅館に家族で泊まって、おいしいご飯を食べて夜と翌朝温泉に入ったのがとてつもなく楽しかった思い出。
当時の私は、宿泊先のお部屋のトイレに即篭もり、「今夜のスケジュール」なんてメモ紙取り出して旅館でやりたいこと(海眺めたり枕投げしたいとか)を一生懸命考えてた。
それが、小学4年生の夏には無くなった。
母は「父親の仕事が忙しくて今年は行けないんだ」と言い、まあそれなら仕方ない、代わりにお盆中は田舎の祖父母宅に泊まりに行けると聞いてうきうきしてた。
暗雲が漂い始めたのは11月頃。
元々父方の実家の持ち家だった平屋に住んでいた私達家族。
詳しくは知らないけど引っ越しをする計画が始まっていた。
比較的都会な市に住んでいて、最初は小学校近くのマンションを借りようとか、物件情報をコピーした紙を見せられたりした。
私は特に何も考えず、今の家から小学校が遠かったので学校も近くなるし友達いっぱいいるしこのマンションに住もーよー!家賃X0万!おとーさんのお給料なら払えるよ!なんて、自分の事しか考えてない発言してた。
だってまだ10歳だよ?
小学校は楽しかったし、勉強は嫌いだったけど友達はそれなりにいたし、私のクラスは幸せなことにいじめと言うものが無く、平和な毎日だった。
その後そのマンションには引っ越さず、田舎に住む母方の祖父母宅に引っ越すことになった。
父親からは
「おじいちゃんおばあちゃんが二人暮しで、これから大変だろうから一緒に住むんだよ」
って言われた。
あーたしかにじぃちゃんとばぁちゃん二人暮しでいずれ介護とか大変なんだろうなーと、すんなり納得。
そして2学期の最後、12月に転校も決まった。
2学期最終日まで転校の辛さに気付かなかった。
私はもともとボーイッシュで、外で遊ぶのも大好き、お絵描きも大好きでなんでも出来る子だった。
そのせいか、男女問わずいろんな子と話せた。
この頃は社交不安障害もうつ病も微塵も無かったな。
給食じゃなくてお弁当の日があって、好きな人と食べていいよー!と特別司令が先生から出た時、なぜか一度ぼっちになった(色んな子と話せたから特にグループとか気にしてなかった)時も、女の子より男の子数人が机くっつけてきてくれたりして、孤独な事はなかった。
近所に育児放棄されてた女の子が住んでいて、一緒に登校して仲良くなってから、カバン隠されたりキーホルダー盗られたりはあったけど、その子なりにかまって欲しくてやってるんだなーってのは気付いてて、特に毛嫌いもしなかった。
12月、2学期の最終日、
たまたま担任が病気で入院中で、4月から臨時担任として居た先生も今日で終わりだった。
だからクラスで私と臨時担任の若い女性の先生のお別れ会が開かれた。
私はその臨時の先生が好きだったし、クラスのみんなからも好かれてた先生。
椅子を輪にしてみんなで座り、1人ずつ、お別れの言葉を言う。
先生はもう泣いていて、私はまだ理解出来ていなかったけど先生の泣き顔に釣られて涙が出てきた。
終盤で、1年生の頃からずっと同じクラスだった女の子が、私に手紙を渡してくれた。
「帰りに読んでね」
その子も先生が大好きだった。
そして私とも長い付き合いだった。
その子は私に手紙を渡す時泣いていて、それを見て私はもうここに居られないんだと初めて感じた。
そこからずっと泣いてた。
3年生の頃に同級生の女の子が転校したことがあった。
特にグループとかもなくて、私にコミュ障の文字が無かったからもちろんその子とも仲良しだった。
でももう会えないという悲しさはあって、最後に校庭でめいいっぱい遊んで、握手してお別れをした。
私は笑顔だったがその子は握手が終わると泣いていた。
あの時の涙の意味はこれなんだ。
自分が転校する側になって初めて知った。
お別れ会のあと、数人から新しい住所を聞かれて教えた。
年賀状出すからね!と言ってくれて嬉しかった。
もちろん私からも出した。
お別れ会が終わって帰りの会も終わって、みんなガヤガヤと動き出す。
私はなぜか最後まで残っていたかった。
私と話したがる友達もいて、最後はずっと笑顔だった。
友達が教室のオルガンの下に私を連れていき、「ねえ、○○くんあなたのこと好きだったらしいよ!」
なーんて言われて、あーたしかにそんな空気あったわと笑い。
でも本人からの愛の言葉は聞けず、私は慣れ親しんだ小学校とお別れした。
そして転校先の小学校で、私の人生は180度変わった。
つづく
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