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 皆さんこんにちは。ポジハメです。今回の記事は教材ルートでは無く、高1高2生を対象に、受験勉強を進めるにあたってどういう姿勢を持てばいいか、どのように考えていけば良いのかという根本的な部分を自分なりに書いてみました。

勉強をするということ-教材ルートにかえて-

自分の問題意識
 自分はこれまで2年近く、「参考書ルート」と言う物をあれこれと考えてきた。人間というのは愚かなもので、何か一つの事を考えているうちに、いつの間にか自分の中で垣根を作ってしまい、つい様々な事の原因を参考書ルートに帰して考えるようになってしまっていた。だが、改めて考えてみると、本来自分がやりたかったのは受験生を大学に受からせることであり、どの教材をやるかというのはその手段の中のあくまで一つの面に過ぎない。本当に話さなければならなかったのは、その勉強の根幹をなす方法論なのである。そうして一度視点を高いところに戻し、自分の道のりを見渡してみると、そもそも「勉強」という行為にはどのような教材を使おうが共通して行っている行為があって、それをきちんと抑えていけばその教材を使う中では最大限の効果が得られるのではないかという風に考えた。質問箱で安易に教材を決め打ちしようとするような質問も増えていることもあり、特に最近は、そのことを意識する事が多くなってきた。

「答え」を出すために「答え」無き道を行く
 中高、もっと言うなら大学受験における「勉強」と言う物は、思い切って言ってしまえば「与えられた問題に対し正確に答えを出す」という練習をするものである。ところが、その答えを出すに至るまでに出来るようにならなければいけないものはある程度共通しているものの、そこに至るまでのプロセスとなると実に人それぞれである。プロの予備校講師の先生方ですらスタイルは一つには定まらない。そこに唯一解などないのである。このnoteでは、そういう状況下でせめて受験生が自分なりの答えを見つけられるように、各々にわかっておいて欲しいこと、実行してほしいことを、さらに言えばそれがわかるようになる為のヒントを書いたつもりだ。教材ルートと言う物を安易に広めてしまった自分の贖罪の書でもあり、教材ルートをより良く利用するための指南書と思って読んで欲しい。

第一部 受験勉強とRPG

第1章 受験勉強=RPGの踏む間違い
 受験勉強をRPGゲームに例えるのをよく見る。敵を倒して経験値を稼ぎ、更に強い的に挑んでは経験値を稼ぐ。教材をやって成績を上げる一連の流れをこの流れになぞらえる、つまるところ教材を進める事を敵を倒して経験値を得る事に例え、実力が付いて試験でいい成績を残すことをボスを倒すことに例えるという手のものが恐らく多いと思うのだが、個人的にはこの認識は少し改めて欲しい(もし過去に自分がこの手の理解を生じさせるような記述をしていたら、誠に申し訳ない)。 

第2章 問題を解くとは
 まず念のため、これから受験勉強とRPGについて話すにあたって、そもそも自分が問題及び問題を解くという行為をどのように考えているかというを事を説明しておきたい。受験勉強に置いて試験や問題集に出てくる問題は、RPGにおけるモンスターだと思ってくれて構わない。ゲームの製作者は、モンスターごとに「物理攻撃にカウンターしてくる」「このモンスターからは逃げられない」「このアイテムを使うと逃げていく」「この属性の魔法に弱い」と言った特徴をつけ、モンスターに強みや弱みを持たせる。無論、我々プレイヤーはそれらの強みに対策を講じ、時に弱みを巧みに突き、モンスターを倒していかねばならない。入試問題に置き換えると、作問者は問題ごとにわかっておいて欲しいポイントを設定し、それがわかれば問題が解けるようになっている。ただ、その中で落とし穴を作ったり、時には読解問題系であれば普通の受験生であれば知らなさそうな単語を出したり、数学の問題であれば一般的なアプローチとは異なった視点を要求したりして、問題に強みを出すのである。そこで、受験生は所謂難単語を覚えたり、必要になりそうな解法パターンを叩き込んだりして、そういった強みへの対策を講じる。ただそれだけでなく、言い換えや対比、法則の適用により、違った視点から突き崩せるようになっている、いうなればきちんと弱みも設定されている物もある。受験生は時にそうした強みに対策を講じ、時に弱みを突くのである。自分の考える入試問題像とはまずこういう物である。そして、受験生がやらなければいけないのは、強みに耐えつつ、切り込んで行ける弱みを見つける目を養う事なのである。

第3章 教材の立ち位置
 話を第1章の流れに戻そう。繰り返しになるが、「モンスターを倒すこと=教材をやる事」という認識があるなら、まずそれを改めて欲しい。君たちがRPGゲームをしていれば、大体どこかで攻略本や攻略サイトを読んだりするだろう。完全にとは言えないが、この時読む攻略サイト、攻略本こそが大学受験で言う「参考書」である。攻略本や攻略サイトに載っているのは、言うまでもなくゲームを攻略するための情報、例えばボスの弱点やそこを突いてボスを倒す戦略、重要アイテムや強い武器を手に入れるための手順などであろう。大学受験の参考書も基本的には同じである。そこに載っているのは問題を解くための情報、技術ないしはその技術を習得する方法である。この意味では、「モンスターを倒す事=教材をやる事」ではないのである。
 では、モンスターを倒すことは何に値するのかと言えば、実にシンプルで問題を解くことである。攻略を読んで使うべき情報や技術がわかっても、それを使いこなせなければ意味が無い。例えば、ボスの弱点がマヒャドだからと言って、マヒャドばかり使ってMPが無くなり回復がおろそかになるようでは当然やられるのである。文章の論理関係も何種類かあるが、一つだけ、例えば対比だけを意識するだけではきちんと解けない。対比と共に、相同表現や因果にも気を配る必要がある。数学も式変形だけしていれば良いわけでは無く、時にはグラフにして図形的に解くという視点を導入する事も必要になる。こういったさじ加減を含め、技を使いこなすには実際にバトルを行い、その技を用いてモンスターを倒す経験を積むこと、つまり問題演習を積まなければならない(ここで言う経験と経験値とはまた別であることに注意してほしい)。幸い、大体の参考書には例題や練習問題が付いているから、その問題を解く練習を繰り返すことで実戦経験を積むことが出来る(これはゲームの攻略本にはない良さである)。それに、問題集形式の教材ならそういう心配もない(こういう意味では、確かにモンスターを倒す行為も教材をやるという行為に包含される)。この攻略情報と適応の一連の流れを提供してくれるのが教材なのである。

第4章 万能な攻略サイトなど無い
 重ね重ねになるが、モンスターを倒す事は確かに受験で言う教材をやる事に包含されるものの、それが教材をやる事の全てではないということをわかって欲しい。攻略法を学び、それを最低限適応できるようにするまでが教材をやるという事なのである。質問箱で質問してくる人には、攻略法とそれを適応する段階でのギャップを全く意識していないかのような人がまだ多いように感じる(あまりに安直な質問は最近は放置しているが)。そもそも攻略情報に「前提として」出てくる技やアイテムを習得していなかったり、持っていないなんてこともあるだろう。そのようでは攻略情報自体は入手できても、机上の空論で終わってしまう。ただ勿論、可能であればそういうアイテムを得ようと行動を追加する努力はすべきではある。それに、残念ながら人には適性と言う物がある。コンピュータープログラムのように、指示されれば確実に作業をこなせるというわけでは無い。相性の良い技術悪い技術というのはそもそもその人自体に対して存在するのだ。その意味でも、「~をやれば合格できる」というような思考回路は捨てて欲しい。
 繰り返しになるが、ここでこれまでの話を踏まえて忠告しておきたいのは、教材をやる事を目的化させない事である。教材は確かに問題も載っているが、その役割は攻略法の伝授と最低限の定着である。あくまで目的は入試を突破する事であり、攻略法は他の人が考えた戦略の一つに過ぎない。自分が持っていないアイテムやとても手に入りそうもない装備を使えと言われても無意味なのは自明である。所持アイテムやゴールド、キャラの使える技、魔法やステータスなどは完全に人次第なのである。今自分の中でとれる方法は何なのか、どの方法が一番適しているか常に考えつつ教材を自分の目で見て選ぶ癖は無くさないで欲しい。攻略は飲んでも飲まれるな。教材も攻略サイトも十人十色なのである。まずは色々読み漁ってみるのも仕方なし。その中から自分に役立つものを抽出すればよいのだ。

第5章 経験と経験値

 先ほど経験と経験値は別物だと書いたが、では経験値とは何なのか。ここではゲームにおける経験値を、受験における「問題を解いた量」と対応させる。経験値は稼げば稼ぐほどLv.が上がる(ゲームにおけるレベルであることを示すため、あえて以下ではLv.と書く)。Lv.が上がればステータスもアップするし新しい技や呪文も覚える。受験でも同じで、問題を解けば解くほど慣れで解く速度はある程度速くなるし、解法知識も増える。実際、これだけで乗り切れる程度のボスや入試も存在するだろう。しかし、ゲームのラスボスや君たちの狙う大学はきっとそうではない。そのレベルになってくると、一撃死攻撃や強力な全体攻撃を繰り出してきたり、入試問題では一目見ただけではどの解法をあてはめて良いのかわからない問題が出題されたりと、Lv.の高さや問題を解いた量だけでは対応できなくなってくる。簡単な話である。せっかくLv.を上げて技や呪文を覚えても、それを試して使いこなす訓練をしてこなければ、性能を活かせぬまま死んでゆくのがオチだ。せっかく解法を覚えても、頭の中で整理し、必要な時に引き出せなければ無用の長物である。だからこそ、普段のバトルから、普段の問題演習から常に頭を使い、「経験値」だけでなく「経験」を積んでおくことが重要なのである。その技、その解法はどのような特徴があり、どのようなモンスター、問題に適し、どう使っていけば良いのかを考えるという「経験」に紐づけされるからこそ「経験値」が意味を成すのである。相手モンスターの弱みを見つけて切り込む訓練を繰り返し、ボスに対しても同じように弱みを見つけられるようにしておくのである。

第二部 共通する勉強の基本姿勢

第1章 「出来ない」を克服する
 当然問題を解いていれば解けない問題が出てくる。それが一部の問題のみで、かつ解説を読めばすぐ理解、納得できるようなものであれば気にしないだろう。しかし、それらが増えて来たり、解説を読んでも理解できない部分が出てくると黄色信号が付き始める。まずそういう時にやって欲しいのは、一つ目に自分がどこまでわかったのかを明確にするという事である。数学であれば式変形がわかったところまでチェックをして置くでも良いし、国語であれば言っていることがわかる部分に線を引いて置くだけでも良い。無理に一度に全体を理解しようとせず、わかっている部分は一旦はじき出し、自分の追えていない部分に集中するのである。二つ目は他の教材やネットで調べるということである。自分も普段から「まずそれをしっかりやる」とは言っているが、これは「その教材を軸とする」という意味であって、他の物を読むなという事ではない。その教材の体系の下に理解を進められれば問題ないのである。最近はネットも発達しているし、PCは無くともスマホを持っている高校生も多いだろうから、検索ツールの点では困らないだろう。それで解決しない場合は、人に相談してみる事になる。この段階でやっておいて欲しいのは、それまでにやってきたことを整理する事である。やってきた教材や練習法など、可能な限りまとめておく。その情報があれば、相談された側もその人にどういう方向性で勉強させればいいのか決めやすいのだ。つまるところ、出来る事と出来ない事が明白であれば自分で解決するときも他人に頼るときも解決しやすいのである。

第2章 効果的な勉強を行う
 結論から言ってしまうと、自分に定着する方法でやるべきことを確実に実行していれば問題ないのである。ただ、その方法が人によって変わるから問題になる。とは言え、別に難しいことではない。自分で音読でも何でも試してみて、翌日や一週間後にテキストを開いて、頭の中でその内容を再現できるか、場合によっては紙に0から書き起こせるかどうか試してみれば良いのである。問題を解く場合であれば、それが「自分で0から問題を解けるか」という風になるというだけの話である。極論を言ってしまえば英作文の例文や解答だって手で書かなければいけない必要性は無いのである。音読で覚える事が出来、試験の場でそれがきちんと書き出せるなら全く問題は無い。ただ、何回かは書いた方が記憶に残りやすい人が多いというだけの話だ。ここでもう一つ重要なのが、どれくらい記憶が持つかという事である。これに応じて復習のタイミングが変わるのである。これも人によって変わるのだが、こればっかりは0から試していると実験時間があまりにかかりすぎるので、自分としては翌日、3日後、一週間後の3回、該当範囲を復習し、その教材が一通り3回目の復習まで終わったらもう一度確認として最初から通しでやってみるというのを提示しておく。まずこれに乗っ取り、復習までの期間が長くて忘れてしまうようであれば短くする。あまりに短いようであれば長くするなど、各自調整されたし。
 もう一つ、最初に言った「やるべきことを確実に実行する」という事について話をしておきたい。Twitter上ではあるが、受験生を見ているとどうもやらないことがデフォルトとして残り過ぎている受験生が多いように感じられる(これは自分が曲がりなりにも学校面での環境には恵まれていたからそう見えるのかもしれないが)。やる事が決まっていないからその勉強を全くやっていない、にもかかわらず他の事も進めていないというのは終わりである。変に余裕がある時は黄信号だと思って欲しい。それは何をやったらいいか分からずに放置しているだけである。そういう時は志望校の二次試験か冠模試の過去問を少しやってみて欲しい。少なくとも本当に実力がついてやる事が無いならそれで進められるし、新たな課題も見つけられる可能性もある。過去問解いてみて上手く解けないなら、そこについて他の人に聞いてみれば良い。つまるところ、「最終目標との照合」をすればいいのである。

第3章 学校を上手に利用する
 学校というのは全員が完全初学であることを前提に授業をしなければいけないし、志望校のレベルも志望学部も違う大勢の生徒に同じ授業をしなければいけない場も多いので、どうしても大学別対策となってくると役に立たなくなる場合も多い。それに、残念ながら「教える技術」以前に、教えるべき「技術」をそもそも教員が持ち合わせていないと思わざるを得ない場合もある。自分の経験になるが、特に国語と英語は酷いもので、国語はそもそも入試に沿った勉強となっている場合は少なく、教員の解釈を説明していくだけという形式が主であり、英語もひたすら訳を言っていくだけ、そこに和訳の作り方の細かな説明などがあればまだ良いが、最悪の場合生徒に訳を発表させてそれをそのまま確認するだけと言った授業になってしまっている場合も多い。残念ながら自分の学校もこういう教員はいた。トップダウンが大きく欠け、結果として特に文系科目はボトムアップに逃げてしまっている。そして国語や英語はそれで出来るようになる人も一部いる現実が、さらにそういった行為を加速させているのではないかと思う。正直入試対策の方法論という観点で見れば非常に効率が悪いのだが、学校で扱う数学の教材(恐らく4STEP等は配られるであろう)の問題や教科書の英文は、受験勉強をする上ではきちんと固めておきたい素材であるのもまた事実である。つまるところ、料理技術無しにせっかくの食材を無駄にしているのである。逆に言えば、自分で技法を先行して習得しておけばこれらの素材を活かす事が出来るのである。勉強を速く進めるメリットの一つは実はここにあると自分は考えている。学校を完全に無視する事も出来なくはないが、どうあがいても平日の半分ほどの時間は学校の授業で過ごすのであるから、この膨大な時間を無駄にしてしまうのはやっぱり避けたいものである。そもそも指定される教材が青チャート等の自分で勉強していようがやる教材であれば他に教材を足す必要はないが、やはり中高一貫校でもない限りは学校のペースに囚われずに先行して進めておくのが望ましい。その上で、学校の授業は確認の場、アウトプットの場として利用する。無駄だから解けなくていいのではない。技術を以て解けるようにするのである。自分の言い方を使えば、学校で与えられる「経験値」に自分なりの「経験」をつけられるようにするのである。よほどおかしな問題を課さない限り、学校で扱う問題は入試本番から見ればレベルは低いものであろうから、そうしたものが解けないというのは受験勉強のやり方に問題があるというある種のリトマス紙の機能もある。加えて、高2生には非常に厳しいかもしれないが、学校の試験は模試と思って挑んで欲しい。つまり、出る範囲や問題集を指定されたから点数が取れるのではなく、普段から網羅的に勉強しておき、どこを突かれてもきちんと点数が取れるという状況を作る意識を持っておいて欲しいということだ。試験勉強をするなという事ではない。その分野の勉強が不足しているなら勉強しなければいけないのである。「ピンポイントで出されたら点取れないのは仕方ない」などと思って開き直るのはご法度。入試問題にしても、一問一問で問う範囲はピンポイントである。どこから出題されるかわからないから全範囲網羅的に勉強しておく必要があるのであり、結局入試問題はピンポイントの集合体である。勿論程度はあるが、広く浅くでは無く、広く深くやらなければいけない。

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