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たかがやきとん、されどやきとん。

土日でシェフの友人たちと共に埼玉県を堪能しました。一つとっておきの場所ができたので、ここは教えちゃいけない気がするけど教えます。

『絶対に食べて欲しいやきとんがある』

とおすすめされて深谷に向かうことになりました。聞くと、と畜場が近いから新鮮なお肉が手に入るとのこと。

早速、(シズルの上司であるノボるさんが)電話で営業しているかどうか伺うと、
「串がなくなり次第終了だからね〜。その時はごめんなさい」
とのこと。うーん。日曜日は営業してないし、今日逃したら当分行けそうな気がしない。

…賭けに出て向かうことにしました。そんなに悩んでもないですが。

そこには、電車ではなく車で向かう必要があります。

車に乗り込むと、高速に乗り深谷を目指しました。1時間ほどで花園インターで降り、下道を少し走ると、ポツンと灯りの点いたお店が立っていました。

雰囲気がすごい。

カウンターのみの店内。なくなり次第終了と聞いていましたが、セーフ。ありました。換気のために開けっ放しのドアから店内を見渡すと8席ほどのカウンターのみ。他のお客様はおらず、貸切となりました。

『電話でなくなり次第終了とか言ったけど、あの後誰も来なくてさ。大口を叩いちゃったよ。』
と話す優しそうな店主。

メニューはシンプルでやきとんとつまみ、ドリンクが数種類。残っていたのがかしら、ハラミ、たけのこ(大動脈)、レバー、ハツ、なんこつの6種類でしたから、すべて一本ずつ頼むことにしました。
ジョッキに氷を入れて、烏龍茶を注ぐ。動きの機敏さで、この店の繁盛っぷりがわかります。

冷蔵庫から手際よく焼き場に串を並べていくと、次はレバーを次々とカットし串に刺していきます。まさか、その場で刺していくとは…恐るべしはね満。

大ぶりの肉が刺さった串を炭火で焼き上げて、自家製のタレをくぐらせて完成です。

レバーは火を入れすぎずトロッと。
なんこつやたけのこはしっかり火を入れてコリコリに。
かしらやハラミはサクッとした歯触り。
一つ一つが大ぶりなため肉汁がしっかりと残りジューシーな仕上がり。

タレはくどくない甘さで、一味をしっかりと利かせてキレのある味わいに。辛いのが苦手な方は汗出てくるくらいしっかり辛いです。

焼き上げた店主は、面白いのないな、と言いながらテレビのチャンネルを野球中継から、バラエティに変えました。
久しぶりにテレビと夕飯、どこか懐かしい気分になります。

さて、一本あたり50〜60gほどでしょうか?
かなり大ぶりなのでしっかりとお腹にも満足感があります。2周目は塩で。これまた絶妙の塩加減…。こんな秘境に絶品串焼きがあったなんて、やはり鮮度なのか、雰囲気なのか。はたまた、焼き手の腕なのか。いずれにしても、わざわざ車で行きたくなるお店であることは間違いないです。

やきとんですから調理はかなりシンプルです。しかし、シンプルこそ難しい。素材、カット、火入れ、味付け、提供スピードなど突き詰めればさまざまなポイントがあります。

たかがやきとん、されどやきとん。

これこそミシュランの定義である、そのために旅行する価値のある卓越した料理、でした。

にしても、久しぶりにバラエティを見ながら食べるやきとん美味しかった…。

一通り焼き上げた店主は、おもむろに缶コーヒーを開けて一息ついていました。開ける時の音が一回り高くて、独特のシズル感があるように思います。

さて帰ろうとしたら最後にまたサプライズが。

『じゃあ今日は1人1,000円でいいよ!』

🙄😳😂

!?!?!?!?!?

串8〜9本とドリンク1〜2杯飲んで1人1,000円、遠くから来たからドリンクはまけてあげる、とのことでした。
なんかまぁ、これ以上受け取ってくれなさそうだったからとはね満を後にしました。
(僕はさらにしっかりご馳走になって🥺)

やきとんはね満、教えたくないけど教えずにはいられないお店でした。抜群に美味しいやきとんから、この会計のくだりまで込みではね満だな。また必ず足を運びたいものです。
その時は缶コーヒーでも買っていこうと思います。

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