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スキヤキ3.0 〜奈良から食文化を〜

2021年4月14日、奈良にオープンしたすき焼き屋「㐂つね(きつね)」。
すき焼きに新しい風を吹かせたいと思っています。これまでのすき焼きの歴史と共にご紹介したいと思います。

すき焼き1.0 〜すき焼きの誕生〜

日本には農器具の鋤で魚や野菜を食べる文化がありました。そこに、牛肉を食べる文化が、欧米からやってきて、ハイカラな食べ物として、日本で大流行しました。
明治天皇が食べたことがきっかけで、広まったと言われています。

関東では牛肉を甘じょっぱいタレで食べる牛鍋がすき焼きの元になったと言われています。
関西では昔から魚をすきで食べる料理があり、その名残からすき焼きとなりました。

すき焼きは文明開化の象徴となりました。

すき焼き2.0 〜すき焼きの大衆化〜

すき焼きは一気に大衆化されました。
すき焼き屋はハレの日の食べ物として、浸透していったはずです。

関東、関西風はあるにせよ、国民食として多くの日本人のご馳走のポジションを築き上げました。

シェフの家もご馳走といえばすき焼きでした。すき焼き自体はシンプルでわかりやすい料理です。だからこそ奥が深く、割り下、卵、野菜、肉、火入れなどこだわればすき焼きの世界が広がります。
すき焼きの豪速球を生かすには、前後の文脈が必要です。

すき焼きを美味しく食べる方法はもっとないか、シェフが考えた結果が㐂つねというすき焼きレストランにつながります。

スキヤキ3.0 〜すき焼きレストラン〜

すき焼きは何十年も型が決まっていると考えました。前菜、刺身、すき焼き、ご飯、デザートという流れがこれまでのすき焼きの一般的な流れです。すき焼きをもっと美味しく食べるために、その型を破ることができないか、とシェフは考えました。

レストランが得意とする味の構成、調理法、コースの文脈、そして細部までこだわったホスピタリティ。

大好きなすき焼きだから、sioのすべてを詰め込んだすき焼き屋を作りたいと思いオープンしたのがこの㐂つねです。

おしぼりはイケウチオーガニック、箸はヤマチク、水のグラスはTHE。お馴染みのメンバーを集結させました。

さらに、設計は内藤廣さんによるもので、洗練された空間に。ハイソファーの向かいにはマルニ木工のHIROSHIMAを採用しました。究極に気持ちいいすき焼き屋を目指しました。

ハード面の気持ちよさや驚きだけではなく、料理にも気持ちいいを詰め込みました。

前菜にはフレンチのテイストを感じさせる一味違った季節の3種盛りです。

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ブラータチーズを使用した白和えやsio同様、馬肉のタルタルを使用した一品で、一つ一つにレストランのイズムを詰め込んだ前菜から始まります。

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お椀は、コンソメとしんじょう。それを漆の椀に詰めて提供されます。和洋折衷の組み合わせに懐かしいけど新しい美味しさとの出会いがあります。

すき焼き屋さんですが、魚料理が出ます。

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金目鯛を鱗焼きすることで表面をパリパリに仕上げた塩焼きに、鮎魚醤とホワイトバルサミコ酢で作った大根おろしを添えます。塩焼きをレストランクオリティで提供することで感動体験を作ります。

ここまででも相当な満足感がありますが、いよいよメインのすき焼きです。お肉は、奈良の大和牛の肩ロースを使用しています。

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炊き立てのごはんに、しっかり存在感のある美味しい味噌汁。漬物にはバルセートで爽やかな酸を忍ばせました。

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常に万全のすき焼きを楽しんでいただくために、肉が変わるたびに新しい卵が用意されます。

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野菜も絶品ですが、えのきや舞茸などきのこ類が特におすすめです。

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辻田さんの極上七味、春菊、温玉スタイルでお肉を締めます。香りと辛味による鮮烈なキレを楽しむことができます。
最後は割下が入った卵で卵かけご飯をすれば、そこは天国です。

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ここでお口直しにドライトマトとハマグリ出汁のさっぱりとした葛そうめんでリセット。甘さが続いた中でサッパリとした酸でキレイにします。

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仕上げは風の森さんの酒粕を使用した最中アイス。

sioを彷彿させる口当たり滑らかなジェラートを最中に挟みました。お米つながりで相性も抜群です。日本酒のふくよかな香りと微かな酸味が心地良く、食事の最後を締め括ります。

レストランのこだわりを詰め込んだすき焼きで感動体験を作る、と決めて臨んだ奈良の㐂つね。
はっきり言って、手前味噌ですが、感動しました。いや、シズりました。

これが僕たちが考えるすき焼き。ぜひ次世代のすき焼きを楽しんでいただけたらと思います。

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