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鳥羽周作と元・料理人のお父さん(前編)

シェフがやっているYouTubeチャンネルが5万人を突破しました。
そこで、誰かゲストを呼ぼうという企画が立ち上がりました。
まさかのゲストにシェフは戸惑っていました。

YouTube『鳥羽周作のシズるチャンネル』の5万人記念に特別ゲストとしてお呼びしたのは、シェフの実のお父さんでした。このYouTubeを見た方からの温かいコメントの数々。レシピ動画ではなく、ちょっとしたドキュメンタリーになっていました。

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画面からも滲み出る優しい雰囲気に大人気のお父さん。

「いつでも遠慮せず連絡しておいで」と、いつも言ってくれます。

僕は、シェフの家の二件隣のアパートに住んでいます。そして、近くにはシェフのお父さん、お母さんも住んでいます。僕の家からも歩いて10分ほどです。よく一緒に家族団らんの場でご飯を食べさせてもらって、昔の話を聞かせてもらいます。

僕の知っている、シェフが料理人を始めたきっかけの話をします。

シェフは大学を卒業してサッカー選手を目指しながら、学校の先生をしていました。とあるサッカー選手のプレーを見て、「この人は超えられない」と感じてサッカーを引退することにしたといいます。その後、何年かは人のプレーを見ながら、「自分のだったらこうするのに」とどうしても消化しきれない思いがあり、悶々とする日々を過ごしていました。

しかしある日、そんな自分をどうしようもなくかっこ悪いと感じたのです。

批評ではなく、やる側にいかなければ。

自分の人生でこれからやっていきたいこと・やりたくないことはなんだろう?

そう考えた時に、厨房でコックコートを着た自分の姿が明確に描けたというのです。
それには、元料理人のお父さんの影響も間違いなくありました。シェフが子どもの頃から、自宅はみんなの食卓になっていました。1本目の動画で紹介されたドライ(キーマ)カレーはその頃からのお父さんのスペシャリテです。なんと50年前から作っているメニューだそう!少しずつアップデートしながら、誰かが自宅に遊びに来る時は決まって、そのカレーをずーっと作り続けてきました。前の家は、おじいちゃんの代から受け継いだ土地で、敷地内に駐車場がありました。そこで火を起こして、バーベキューも良くやったそう。

「バーベキューする時はかならず、鉄板で焼きそばを作って、その後につくるガーリックライスがほんっと旨いんだよ。息子のガーリックライスはご飯から作るだろ?(万能米という醤油と鶏ガラでほんのり味をつけたピラフを炊いてそれでガーリックライスをつくります)俺のはもっとシンプルだけど、旨かったなぁ。」と嬉しそうに語るお父さん。YouTubeでも人気のガーリックライスですが、この時の思い出の味なのかと腹落ちしました。

みんなの憩いの場をつくるご両親のホスピタリティが、今のお店づくりの根幹にイズムとして脈々と流れています。

実は、石橋を叩いて渡る慎重派のお父さんは、そのまま学校の先生をして欲しかったのが本音でした(先ほどのYouTubeでも語られています)。始めは反対していたそうです。しかし、シェフが子どもの頃から自分で決めた道を突き進むパワーを知っていました。そして、何よりお父さん自身も料理の楽しさも、美味しいものを食べる喜びも知っていました。

「ほんとに努力したと思う。」と語るお父さん。修行時代は毎日オムレツやカルボナーラを実家に作りに行ってはひたすら食べさせられた、と言います。オムレツは毎日大量に卵を買ってきて、その時にもう食べ尽くして今ではあまり好んで食べないみたいです。どれだけ作り込んでいたんだ。笑

でも、その「のめりこむ力」が今のポジションを作り上げたんだと思います。

「でも最近はパスタも作ってもらえないんで。」と寂しそうに語るお父さん。昔のことも思い出していたのでしょう。

「ミシュランの星がもらえた時は、本当に嬉しかった。最高の親孝行だよ。みんなでわざわざ新宿の紀伊国屋までガイドブックを買いに行ったんだよ。近くの本屋さんには売ってないから。」

1年でミシュランを獲得するまでに至ったのは、相当の覚悟と努力があったから。実は、その源には、幼少期のお母さんの教育に秘密があったのです。

明日に続きます。

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