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「前髪、切りますか?」 「はい」 眉毛に鋏を当てられジャキンと切る。 顎まで伸びてたカーテンが無くなり視界が広がると、これまでの自分とはまるっきり違って見えた。今日から、また違う生活を迎える。 2年前。私は今夜も渋谷松濤にあるマンションでお客が来るのを待っていた。深夜2時、部屋にある大きな鏡に映る自分は若いと思った。近づいて肌をよく見てみる。 こんなに毛穴もなくて、いい子に見えるはずなのに何故今日もお客が来ないんだろうか。OLを辞めて、こういう水っぽい商売に飛び込んだ自