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地元の小さな駅で、おにぎりが3つ入ったビニール袋を渡された。湿っていた。 母は「東京に行っても、こちらのことを忘れないでね」と言う。 忘れるために行くのだ。切符は片道のみ。 しかし、そう思っていても縦長の窓ガラスの向こう側にいる彼女が左に消えていって田舎の景色に移り変わると涙が出るのはなぜだろう。 一駅で降りていく人について行きそうになる。私はまだ13駅も降りられない。シートに深く座って、おにぎりを食べよう。そして、ウォークマンに入ってる都会的な歌を探す。 東京にとり