「POWERS#8」振り返り記事

こんにちは。ポケモンカード自主大会「POWERS」運営です。

本記事では6月4日に開催された「POWERS#8」について、ベスト8以上の構築を掲載しつつ環境考察も交えた振り返りを行っていきます。

また、本題に入る前にまずは「POWERS シーズン2」のポイントレースについて更新します。


1位:クサエネさん:39pt
2位:せとさん:37.5pt
3位:ねりあめさん:31pt
4位:イガ汰つなさん:25pt
5位:すもぐりさん:23.75pt
6位:楓さん:19.5pt
7位:あやとさん:19.5pt
8位:マグロさん:18.75pt
9位:はやしさん:13pt
9位:りんたろーさん:13pt
9位:ふりーじあさん:13pt
9位:オイカワさん:13pt
13位:レーシャンさん:12.5pt
13位:マリオさん:12.5pt
13位:かりめろさん:12.5pt
13位:ミラクルローグさん:12.5pt

(予選の成績や当日の参加人数に応じてポイントに傾斜を掛けているので、大会別で比べたときに同じ順位でも異なるポイントになる場合があります)


今回優勝のクサエネさんがポイントレース1位に浮上。楓さんと猛特訓している成果が上手く発揮されたようです。

また、前回Hi-POWERSの招待選手となっているねりあめさんが準優勝となり今回もポイントレース上位に食い込んできました。

「努力に勝る才能なし」という言葉がありますが、本当にそれを体現するかのように最近は「ちゃんとやっている人」が勝ち上がっているイメージです。
(『勝てない人はちゃんとやっていないということか?』と言われたら否ですが)

勿論「ちゃんとやっている」にも人それぞれあり、例えば練習の時間はあまり取れない代わりに練習そのものの効率化を目指したり、使用デッキを絞ってそこの練習量を増やすことで「その道に関してはプロレベル」となったり、人脈を駆使して他人と情報共有を密に行うことで時間の足りなさをカバーしたり、色々方法はあると思います。

各々が「個人に合ったやり方」を見つけて全体としてレベルアップできると望ましいですね。

では、以下にて環境考察を記していきたいと思います。


・激変する環境、回帰する環境

前回のPOWERSが4/10開催の「HI-POWERS」ということで、その時期の環境と比べて今回は大きな変化がありました。

そう、スノーハザード/クレイバーストの登場です。

元々は〈ナンジャモ〉で騒がれたパックでしたが、〈すごいつりざお〉のような汎用カードに加えて〈勇気のお守り〉や〈リバーサルエネルギー〉など「構築の方向性に影響を与えるレベルのカード」が多数収録されていました。

環境としての最大の変化は【サーナイトex】が覇権を取ったことでしょうか。

元々環境に存在していたデッキではありましたが、やはり〈すごいつりざお〉によるリソース回復と〈リバーサルエネルギー〉による爆発力を同時に手に入れたことは【サーナイトex】を環境トップまで押し上げるレベルの強い追い風だったということでしょう。

また、当然〈ナンジャモ〉の加入も大きく、今まで〈博士の研究〉ではすぐ使わない〈ふしぎなあめ〉、〈サーナイト〉および〈リバーサルエネルギー〉など必要なパーツを切り落としながら進まなければならなかった場面でもそれらをデッキに残しながら手を進めることができるようになり、加えて終盤の手札干渉としても使えるということで〈ナンジャモ〉と【サーナイトex】との噛み合いの良さを窺わせます。

細部については最初こそ〈チャンピオンズフェスティバル〉+〈フワンテ〉+〈勇気のお守り〉のような構築もありましたが最終的には〈ザシアンV〉を入れたシンプルな軸に〈リバーサルエネルギー〉を1~2枚差した構築がメジャーとなったように思います。

〈フワンテ〉についてはミラーマッチが〈キルリア〉の取り合いかつ〈ナンジャモ〉の撃ち合いになる以上お互いの手札があまり潤沢にならないことからベンチをフル展開させた上で〈チャンピオンズフェスティバル〉+〈ボスの指令〉+〈勇気のお守り〉を揃えて相手の〈サーナイトex〉を突破するのがほぼ不可能で、加えて〈フワンテ〉自身がダメカンを乗せる都合上【ロスト軸】にもそこまで強くないことから使用率が伸び悩んだものと推測されます。

その他に新弾で登場したカードで言うと【ディンルーex】は最初こそ【ロスト軸】への圧倒的メタ性能から数を増やしましたが結局【サーナイトex】相手にはどうしても厳しいゲームを強いられることから環境の上位として定着はしなかった印象です。
(後述する【ギラティナVSTAR】について、役割対象である【ロスト軸】に〈頂への雪道〉が採用され始めたのも向かい風だったように見えます)

【ディンルーex】の対となる【パオジアンex】については現在も数をある程度は維持しており、中堅上位くらいの立ち位置はあるのではないでしょうか。

やはり〈かがやくゲッコウガ〉が存在する水タイプで〈たっぷりバケツ〉内蔵のアタッカーとなれば、その時点で一定の強さが担保されているのも頷けます。

さて、ここからはそれらを受けた環境全体の変化ですが、まず【サーナイトex】が増えて【ルギアVSTAR】が減ったことにより環境全体が低速化しました。
(なお、【ルギアVSTAR】の減少については『環境トップを握る勢力』が【ルギアVSTAR】から【サーナイトex】に移行した点と、単純に【サーナイトex】vs【ルギアVSTAR】が【サーナイトex】側に傾く点のどちらも要素として挙げられると思います)

或いは「先攻2ターン目」に出るダメージが減ったと表現した方が正確かもしれません。

【サーナイトex】も、元々多かった【ロスト軸】も、よほどのことがない限り先攻2ターン目に出せる火力というのは限られています。

そうなると評価されるデッキが一定数あり、具体的には【ギラティナVSTAR】と【アルセウスVSTAR】の2つが段々と数を増やす形になりました。

事実、スノーハザード/クレイバースト発売前に一番多かった【ロスト軸】は〈空の封印石〉+〈ライコウV〉を採用したタイプのものでしたが今では半数以上が【ギラティナVSTAR】となっています。

また、その【ギラティナVSTAR】に〈頂への雪道〉の採用がメジャーとなってきたのも明確な変化点と言えるでしょう。

今までは【ロスト軸】のスタジアム枠と言えば〈ギラティナVSTAR〉の有無に関わらず大体が〈ボウルタウン〉、〈ビーチコート〉、〈ポケストップ〉辺りからの選択でしたが、【サーナイトex】を意識してか最近はかなりの確率で〈頂への雪道〉が2枚以上採用されるようになってきました。

〈頂への雪道〉+アビスシークでお茶を濁す展開も多少見据えつつ、「ゲームが低速化する」=「サイドの進みが遅くなる」ということなのである程度ロストが溜まった状態で〈ツツジ〉のターンに突入することができ、その際に〈頂への雪道〉を重ねられるとより強力、という意図もありそうです。

【サーナイトex】側がバディキャッチの〈エルレイド〉+〈さぎょういん〉と構えてでもいない限りは〈頂への雪道〉+〈ツツジ〉は相当クリティカルで、この辺も相俟って【ギラティナVSTAR】の使用率が伸びているようにも見受けられます。

また、【アルセウスVSTAR】に関しては環境の火力が下がると周期的に上がってくるデッキタイプであり、「進化さえできればゲームになる」ことから(1ターン目のエネルギー手貼りの要求こそありますが)序盤の必要パーツを少なくしながら立ち回ることが可能な点もコアなファンが多い理由でしょうか。

また、〈ジャッジマン〉を能動的に使える数少ないデッキでもあり、お互い理論値同士の勝負にさえ持ち込ませなければ個々の要求値の軽さと〈チェレンのきくばり〉による回復からある程度ロングなゲームプランを見据えていけます。

しかし、基本的にサイドが2のポケモンでしか殴ることができず、序盤に高火力を見込めるわけでもないので例えば【サーナイトex】側の盤面が早期に完成して一撃で〈アルセウスVSTAR〉がきぜつする展開になってしまうと少々厳しいゲームになってしまいます。

そういったゲームを解決するために、最近の【アルセウスVSTAR】には〈災いの箱〉を採用することで相手の〈サーナイト〉と相討ちに持ち込んだり、〈おはらいグローブ〉込み〈ギラティナVSTAR〉による310ダメージでの〈サーナイトex〉のきぜつを狙ったり、何らかのカウンターが仕込まれている印象です。

結論として

【サーナイトex】
【ギラティナVSTAR】

の2トップ、少し下がって

【ロストバレット】
【アルセウスVSTAR】
【パオジアンex】
【ミュウVMAX】
【ルギアVSTAR】

といったイメージでしょうか。

ここにきて【ギラティナVSTAR】と【アルセウスVSTAR】が増加している辺りが【ルギアVSTAR】登場前の環境を見ているようで少しばかり懐かしさを感じます。


・当日の環境について

さて、「POWERS#8」当日の環境は以下のようになりました。

【デッキ分布】:合計数62

【ギラティナVSTAR】:12
【ロストバレット】:6
【ヌメルゴンVSTAR】:4

【パオジアンex】:10

【サーナイトex】:8

【アルセウスVSTAR+ギラティナVSTAR】:5
【アルセウスVSTAR+ジュラルドンVMAX】:3
【アルセウスVSTAR+カプ・コケコVMAX】:1
【アルセウスVSTAR+リーフィアVMAX】:1

【ルギアVSTAR(白)】:3
【ルギアVSTAR(一撃)】:2

【ミュウVMAX】:2

【リーフィアVSTAR+ジャローダVSTAR】:1

【連撃ウーラオスVMAX+インテレオンVMAX】:1

【マスカーニャex】:1

【ダイオウドウex】:1

【プクリンカビゴン】:1


やはり【ギラティナVSTAR】をトップとした【ロスト軸】が22/62と圧倒的なシェア率を誇りました。

こと【ギラティナVSTAR】に関しては「不利/無理対面が非常に少ない」という点も大会向けの性能ということで、その点を評価されて使用者が伸びたという要因もありそうです。

逆に対【ロスト軸】を嫌ってか、【サーナイトex】は8名とデッキパワーに対しては少なめな印象でした。

こちらは逆に難易度が比較的高く、大会に持ち込みにくいという要因が影響した可能性があります。

意外だったのが【パオジアンex】で、今大会では【サーナイトex】を抜いての第2位。

直近の海外大会でも結果を残していたようで、想像以上にポテンシャルは高いのかもしれません。

さて、そんな中で上位入賞したデッキが以下の8デッキとなります。


・上位構築雑感

【アルセウスVSTAR+ギラティナVSTAR】:2

【ヌメルゴンVSTAR】:1

【パオジアンex】:1

【ロストカイオーガ】:1

【ギラティナVSTAR】

【ミュウVMAX】

【インテレオンVMAX+連撃ウーラオスVMAX】:1


全体の分布に比べて決勝トーナメントは7種のデッキが勝ち上がるかなり多様な環境となっていました。

決勝トーナメントの動画はこちら↓にあるので良ければご覧ください。

https://youtube.com/@POWERS-nk7je

どれもレベルの高い試合が揃っており、決勝トーナメントまで上がってくるプレイヤーのレベルの高さを体現しているなと思います。


・終わりに

今回は久々に環境がガラリと変わる弾でした。

強いポケモンで環境をガラリと変えてくるのも良いですが、〈ナンジャモ〉、〈すごいつりざお〉、〈リバーサルエネルギー〉のような優秀な周辺パーツの登場によって初めて成立するような構築もまた味わい深くて(カードプールに対する考察の深さを感じられて)良いですね。

次弾も環境を変える要素となり得るカードがいくつか収録されていそうな空気感を醸し出しており、各プレイヤーの考察に我々運営陣も期待が高まります。

それでは次回、「POWERS#9」の振り返り記事にてまたお会いしましょう。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?