「POWERS#11」振り返り記事
こんにちは。ポケモンカード自主大会「POWERS」運営です。
本記事では9月24日に開催された「POWERS#11」について、ベスト8以上の構築を掲載しつつ環境考察も交えた振り返りを行っていきます。
※以下、本記事では「単体カード名」を〈〉で、「構築群」を【】で括ります。
例えば〈ギラティナVSTAR〉であれば「ギラティナVSTAR」単体を示し、【ギラティナVSTAR】であれば「構築としてのギラティナVSTAR」を示します。
また、本題に入る前にまずは「POWERS」のポイント制度について更新します。
1位:ねりあめさん95.6pt
2位:楓さん58.8pt
3位:すもぐりさん55.15pt
4位:野村さん52.7pt
5位:レーシャンさん43.8pt
6位:クサエネさん39.0pt
7位:イガ汰つなさん37.8pt
8位:せとさん37.5pt
9位:ふりーじあさん25.8pt
10位:こひ♪さん25.6pt
11位:レンさん24.2pt
12位:イノさん19.8pt
12位:なべさん19.8pt
14位:かがやくタルモゴイフさん19.65pt
14位:えふさん19.65pt
16位:あやとさん19.5pt
17位:SKさん19.2pt
18位:マグロさん18.75pt
19位:さやぴよさん13.2pt
19位:ヤッフーさん13.2pt
19位:れんパパさん13.2pt
22位:てんさん13.1pt
22位:にわとりさん13.1pt
24位:はやしさん13pt
24位:りんたろーさん13pt
24位:オイカワさん13pt
27位:おきさん12.8pt
27位:しゅんさん12.8pt
29位:マリオさん12.5pt
29位:かりめろさん12.5pt
29位:ミラクルローグさん12.5pt
(当日の参加人数に応じて傾斜を掛けているので、大会別で比べたときに同じ順位でも異なるポイントになる場合があります)
今回高い成績を残した野村さん、すもぐりさん、レーシャンさんの3名が並んで上位にランクインしてきました。
1回の優勝が大体37pt~39ptくらいなので、40pt(5位)以上の方は最低でも2回以上は決勝トーナメントに進出していることになります。
「POWERSシーズン2」も残すところあと1回。果たしてどのような結果となるのか、そして、ねりあめさんの1位を妨げるプレイヤーは登場するのか。
(とはいえポイント的に2~4位のプレイヤーが優勝してようやく追い付けるか、といったところではありますが……)
「Hi-POWERS#2」の招待枠に関する設定(人数等)についても現在運営陣で協議中ではありますが、プレイヤーの方々には最後まで諦めずにポイントを積み重ねていってもらえたらと思います。
では、以下にて環境考察を記していきたいと思います。
・理論値と実践値
※本大会はレイジングサーフ後、古代の咆哮/未来の一閃前の環境で開催されました。
人の考えの多様性というのは本当に面白いもので、あれだけ「サナギラ!サナギラ!」と言われていたCL横浜も蓋を開けてみれば決勝は【ミライドンex】vs【ルギアVSTAR】となり、【サーナイトex】も【ギラティナVSTAR】も決勝の舞台には残れなかったわけです。
どれだけ環境トップが強くとも(寧ろトップが強ければ強いほど)メタデッキを握るプレイヤーはいるわけで、今回はこの辺りの環境変遷を軸に考察を始めていきたいと思います。
まず前提として、【サーナイトex】や【ギラティナVSTAR】の強さの本質は、その理論値の高さにあります。
それも当然で、
「常に自分は盤面でドローを進めつつ、何故か330以上のダメージが出る非ルールが複数体立つ」
「後攻1ターン目から積極的にダメージを出せる可能性があり、強制気絶ワザと12ダメカンばら撒きワザで高HPにも非ルールにも両対応」
なんて構築に、理論値同士の勝負を持ち込んでも厳しい戦いを強いられるのは当たり前です。
しかし、お互いの理論値同士で殴り合ったときに【サーナイトex】や【ギラティナVSTAR】に不利を取る、なんてことはメタデッキを握る側も全員わかりきっているわけです。
つまり、メタデッキ側の主張点は理論値勝負ではなく、「そもそも殴り合いの土俵に立たせなければいいよね?」という部分にあります。
直近だと【ミライドンex】の〈頂への雪道〉+〈ジャッジマン〉はその最たる例でしょう。
殴り出しの要求が低い〈ライコウV〉を軸に、序盤から〈頂への雪道〉+〈ジャッジマン〉で盤面と手札を削っていき、例えば対【サーナイトex】でミラージュステップを使用した〈キルリア〉まで倒せれば一方的にサイドが2枚進んだ状態で勝負ができるわけです。
ここで「理論値」の話ならば〈リバーサルエネルギー〉絡みの210ダメージで〈ライコウV〉がきぜつしてしまい一気に【ミライドンex】側が厳しくなってしまいますが、「実践値」で見たときに〈頂への雪道〉+〈ジャッジマン〉をされている状態で【サーナイトex】側がどこまで分の良い勝負をすることができるでしょうか?
〈リバーサルエネルギー〉がヒットしなかったら?
そもそも〈頂への雪道〉を割れなかったり〈サーナイトex〉にヒットしなかったり、サイコエンブレイスができないパターンを引いてしまったら?
〈ライコウV〉に勇気のお守りが付いていたら?
実践値では色々な変数が存在し、理論値通りに事が運ぶことはそうそうありません。
そこの乖離を突いていくのが現在のメタデッキとしての“在り方”の大きな部分を占めていると思われます。
他にも【ルギアVSTAR】もその枠で、【ギラティナVSTAR】に対して〈カビゴン〉部分で有利を付けつつ【サーナイトex】相手はサイド先行さえできれば最後に〈ドラピオンV〉で2枚取りをして逃げ切りの展開を作ることができる可能性も残ります。
勿論【ミライドンex】も【ルギアVSTAR】も上記の通り「理論値と実践値の乖離」を突いていく構築なので、相手が理論値の動きを取れてしまうと結局厳しくなってしまいます。
しかし、様々な変数から、例えば理論値に近い動きができる確率が50%に満たないと判断できるなら、それは「こちら側に分の良い賭け」なので勝負する理由付けがあります。
実践値で勝負するタイプのメタデッキを使用するプレイヤーは、この辺りの確率に対する肌感覚を研ぎ澄ませる必要がありそうですね。
そして、実践値ではなく理論値で彼等2デッキを超えていこうというある種無謀とも言える挑戦を試み、そこに適合した稀有なデッキも存在しました。
そう、【パオジアンex】です。
「先2キャンコロスイッチャー手裏剣」という呪文だけ一人歩きしている現状は「先1やぶれかぶれ無人カキ」の呪文だけ一人歩きしているのと似たイメージがありますが(その呪文だけ一人歩きする現象がそのデッキの本質に迫っているとは些か言い難い)、それはさておき「先攻の【パオジアンex】」というのはなかなかどうして嫌な圧力があるものです。
この構築も理論値が高い部類(というかむしろトップクラス)ですが、理論値に対する実現可能性の面で見るとトップ2デッキと比べてそこまで安定するわけではありません。
これはつまり「変数に対して大きな影響を受けてしまう」ということになり、「理論値では間に合っているが1パーツ間に合わず実践値では負け」といった状態が相手の介在によって起こされやすいということです。
しかし、回ってしまえばその理論値の高さを最大限活かして「どんなデッキにも勝ち得る」を可能にできるデッキだとも思いますし、最近は〈ビーダル〉の採用から相手の介在を可能な限り受けないようにする構築も増えてきました。
ブレが大きい代わりに理論値が高い構築というのは人によって好き嫌いが分かれる部分ではありますが、一旦自分のイメージを取り払って「まず使ってみる」というのも大事かもしれません。
さて、この状態を前提としてレイジングサーフが発売されたわけですが、環境に影響を与えるカードとして
ジラーチが登場しました。
環境に蔓延るベンチ狙撃までケアしようとすると〈マナフィ〉と〈ジラーチ〉の両着地が必要となり、それはそれで「ベンチスペースが無いよ!」という話になってしまうのであまり評価は(少なくとも個人的には)高くはなかった、というのが正直なところです。
しかし、これも理論値と実践値の話で、「相手の全て(=理論値)に対応しようとすると〈ジラーチ〉だけでは足りない部分があるものの、実践値において〈ジラーチ〉の着地がクリティカルに刺さる部分というのはそれなりにある」ということで、実際に使ってみてからそれ以降は少しばかり評価を上方修正しました。
勿論〈マナフィ〉を置く必要のない対面(というよりかはほぼ【サーナイトex】ミラー)での〈ジラーチ〉は当然効果的で、かつベンチスペースのことも考えなくてよく、他にも【ロスト軸】対面で「この瞬間ロストマインさえ防げればいい状態」というのは多々あります。
環境に依存するカードではあるので手放しに「強い!」という評価はできませんが、【サーナイトex】や【ロスト軸】を使っているプレイヤーは少なくとも警戒を怠るべきではないカードだと言えるでしょう。
・当日の環境について
さて、「POWERS#11」当日の環境は以下のようになりました。
【デッキ分布】:合計数64
【サーナイトex】:11
【ロストギラティナ】:7
【ロストバレット】:3
【パオジアンex】:7
【リザードンex】:6
【ミュウVMAX】:5
【ルギアVSTAR(一撃)】:3
【ルギアVSTAR(白)】:2
【ミライドンex】:3
【インテレオンVMAX+ウーラオスVMAX】:3
【サーフゴーex】:2
【アルセウスVSTAR+ギラティナVSTAR】:1
【アルセウスVSTAR+白馬バドレックスVMAX】:1
【ラウドボーンex】:1
【ガブリアスex】:1
【キラフロルex】:1
【ヒスイゾロアークVSTAR】:1
【マスカーニャex】:1
【ロトムVSTAR】:1
【ムウマージ】:1
【ロストネイティオ】:1
【ネイティオカビゴン】:1
【ゾロアークバレット】:1
レイジングサーフ以降で環境入りするような新しい軸が登場したわけではないので分布自体は大きな変化はありません。
正確な数字ではありませんが、【サーナイトex】に関する〈ジラーチ〉採用率は現状3割程度でした。
まだまだスタンダードと言える採用率ではありませんが、【サーナイトex】における〈ミュウex〉くらいの温度感で場に出てくるイメージでしょうか。
ベンチスペースが厳しいとはいえ、いざ〈マナフィ〉+〈ジラーチ〉が並んでしまうと【ロスト軸】側のやることがほとんどなくなってしまうのも事実で、〈ジラーチ〉入りで決勝トーナメント出場を果たした【サーナイトex】はきっちりと【ギラティナVSTAR】を下しての予選抜けでした。
そんな中で上位入賞したデッキが以下の8デッキとなります。
・上位構築雑感
【サーナイトex】:3
【パオジアンex】:2
【ミュウVMAX】:1
【ギラティナVSTAR】:1
【ルギアVSTAR(一撃)】:1
【サーナイトex】
【ギラティナVSTAR】
【パオジアンex】
に加えて
【ミュウVMAX】
【ルギアVSTAR】
と、ほぼ環境通りの予選抜け構図となったのではないでしょうか。
また、決勝戦、流行りに乗って着実に数を増やした【パオジアンex】と〈頂への雪道〉+〈ジャッジマン〉を軸に据えた【ミュウVMAX】の対戦はまさに「理論値vs実践値」の極致と言えるでしょう。
〈パルキアVSTAR〉を軸に先攻2ターン目からサイド2枚を取り始め、順調に1本目を取りきったチャンピオン・ノムラ。
2本目では後攻2ターン目、後攻3ターン目にそれぞれヘイルブレード360ダメージを叩き出し〈ミュウVMAX〉を2回倒して勝つという、理論値そのものの動きを見せつけてくれました。
・終わりに
シティリーグの結果報告がポツポツと見受けられる時期になりました。
サナギラを軸とした環境の末期ではありますが、ここに来て非ルールなどのデッキも増えつつあるのでまだまだ何が勝つかはわかりません。
そして、次はまたガラッと、それこそスノーハザード/クレイバースト以上に環境が大きく動きそうなパックが発売されるということで、「POWERS#12」ではどのような構築が勝ち上がるのか今から楽しみです。
それでは次回、「POWERS#12」の振り返り記事にてまたお会いしましょう。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?