「POWERS#13」振り返り記事

こんにちは。ポケモンカード自主大会「POWERS」運営です。

本記事では11月19日に開催された「POWERS#13」について、ベスト8以上の構築を掲載しつつ環境考察も交えた振り返りを行っていきます。


※以下、本記事では「単体カード名」を〈〉で、「構築群」を【】で括ります。

例えば〈ギラティナVSTAR〉であれば「ギラティナVSTAR」単体を示し、【ギラティナVSTAR】であれば「構築としてのギラティナVSTAR」を示します。


また、本題に入る前にまずは「POWERS」のポイント制度について更新します。


1位:ふぁるこんさん:39.6pt
2位:あゆむさん:26.4pt
3位:ふりーじあさん:19.8pt
3位:イカタコさん:19.8pt
5位:とむさん:18.2pt
6位:アンさん:13.2pt
6位:マリオさん:13.2pt
6位:takeoさん:13.2pt

(当日の参加人数に応じて傾斜を掛けているので、大会別で比べたときに同じ順位でも異なるポイントになる場合があります)


今回決勝を戦ったふぁるこんさんとあゆむさんですが、なんとどちらも「POWERS」初参戦。
(初参戦同士での決勝は初回を除けば確か今までで無かったはずです。素晴らしいことです)

両名とも自身の握るデッキの強みをきっちりと把握し、先を見据えたプレイングをしており成る程これならば決勝まで駒を進められるのも納得だという印象でした。

「札幌競技ポケカに新しい風を。」という触れ込みで開催している本大会ですが、こうして大会そのものにも新しい風が流れ込んできてもらえるのはなんともありがたい限りです。

では、以下にて環境考察を記していきたいと思います。


・流れ込む刺客達

※本大会は「古代の咆哮/未来の一閃」後、「シャイニートレジャーex」前の環境で開催されました。

さて、遂に来ました古代未来環境。

発売初期から現在に至るまでに色々な変化があったわけですが、順に追っていこうと思います。

まず発売直前~発売直後で世間の話題をさらっていったのは間違いなくこのカードでしょう。

声に出して読みたい技名ランキング1位

まあオルタージェネシスGXと比べたらこちらの方が幾らかマシで、どちらかと言えばデカい〈ムーランドV〉なんですが、それはともかく

「なぜ打点がそんなに高い?」
「なぜたねポケモン限定などではなくサイドを追加で取れるようにした?」
「なぜ雷シンボル1つで技が撃てる?」

と、色々疑問が尽きないカードであることも確かです。

「使う側になるか対策する側になるか」という観点でデッキ選択および構築に対して強烈に制限を掛けるカードで、いわゆる「プールに存在していること自体が悪い」と言われるタイプのカードではあります。

特に「雷シンボル1つでいい」というのが悪いポイントで、環境のあらゆるエネ加速デッキに「+1枚〈テツノカイナex〉と〈基本雷エネルギー〉を入れます」が成り立ってしまいました。

環境初期ではシンプルに【ミライドンex】に入るのは当然として、【パオジアンex】、【ルギアVSTAR】、【ネイティオ軸】など様々なごっつあんプリファイが雨後の筍の如く乱立していたように思えます。

また、グッズで注目を集めていたカードもありました。

再録前よりも多くのデッキで使われている気がします

元々〈ポケモンキャッチャー〉入りの【カビゴンLO】がシティリーグを優勝して話題になっていたわけで、そこにこんなトンデモカードが出てきたらそれは注目されるのも当然です。

これもなかなかどうして〈テツノカイナex〉同様デッキ選択や構築段階で既に縛りを課してくるカードであり、「ごっつあんプリファイに屈しない」「LOに即負けしない」の2点はプレイヤーがデッキを組む際には非常に重い枷となっていたのではないでしょうか。

そんな中で盤面に置けるアタッカーが多く(縛られにくい)、かつ早期にごっつあんプリファイをされても〈テツノカイナex〉に対してカウンターを決めやすい【パオジアンex】と【リザードンex】が環境の2トップとなっていたのが四天王決定戦辺りまでの環境だったように思えます。
(特に【パオジアンex】については自分が〈テツノカイナex〉を使う側にもなれたため、非常に人気だったように記憶しています)

そして、そこからこのポケモンによって環境がまた動いていくことになります。

ワァッ!!!(マント付き360ダメージ)

〈テツノカイナex〉により環境から姿を消していた【サーナイトex】ですが、「やっぱり強い」ということで新規のアタッカーを引っ提げて環境トップに舞い戻ってきました。

今期の【サーナイトex】は〈セイボリー〉が多投されており、〈サケブシッポ〉メタの〈マナフィ〉を置いている相手に対して非常に苦しいベンチワークを強制させます。

また、〈カウンターキャッチャー〉があるので

「〈セイボリー〉で〈マナフィ〉を残してくるなら細くなった相手のベンチの大事なポケモンを〈カウンターキャッチャー〉で狩る」

「〈セイボリー〉で〈マナフィ〉を残してこないのであれば、〈サケブシッポ〉による狙撃で大事なところを狩る」

といった地獄の後出しジャンケンが非常に強力で、特に流行っていた【パオジアンex】のような「盤面に置いておきたいシステムポケモンが多いデッキ」に対しては圧倒的なプレッシャーを掛けていました。

元々「【パオジアンex】が厳しい」という理由も込みで【サーナイトex】の数が減っていた部分もありましたが、「おや……?これはむしろ【サーナイトex】側が有利なのでは……?」という流れになってからの環境トップを得るまでの速度は一瞬でした。

元々【リザードンex】に対しては十分に戦えるデッキタイプで、かつ【カビゴンLO】に対しても「盤面のポケモンをアタッカーとテレポートブレイクの〈ラルトス〉だけで埋める」という(ある程度の)対抗策があるので、環境的に数が増えるのは当然だったかもしれません。


・当日の環境について

さて、「POWERS#13」当日の環境は以下のようになりました。

【デッキ分布】:合計数64

【サーナイトex】:15
【リザードンex】:9
【ギラティナVSTAR】:7
【ロストバレット】:5
【トドロクツキex】:6
【ミュウVMAX】:5
【パオジアンex】:3
【ミライドンex】:3
【カビゴンLO】:2
【テツノブジンex+ウーラオスVMAX】:1
【テツノブジンex+サンダースVMAX】:1
【テツノブジン+パルキアVSTAR】:1
【ルギアVSTAR(いちげき)】:1
【サーフゴーex】:1
【アルセウスVSTAR+グレンアルマex】:1
【ロトムVSTAR】:1
【ディアルガVSTAR】:1
【ゾロアークバレット】:1


環境通り【サーナイトex】がトップ、【リザードンex】がその後を追う形となりました。

【サーナイトex】のミラーは〈セイボリー〉が絡むと「何を切り落とすか」で思考のタイミングが増えてしまうので、使用する際は特に時間切れには注意してプレイした方が望ましいでしょう。
(実際今回はいつもと比べて両負けがちらほら見受けられました)

しかし、「時間切れに気を付けよう」、「プレイをテンポ良く」とは言いつつも、実際にそれを行うのは難しいものです。

そんなとき、「対戦相手のターン中に自分の動きを考えておこう」とはよく言われるフレーズかと思います。

確かにこれは大事な考え方で、どうせ時間を使って悩むのなら相手のターン中に悩んでおく方が当然効率が良いです。

ですが、「だって相手が何してくるかなんてめちゃくちゃ分岐あるんだから、それに対して自分がどう動くかなんて実際相手のターンが終わってからじゃないとわからないよ!」

という意見もごもっともだと思います。

なので、もし「対戦相手のターン中に自分の動きを考えること」が苦手な場合、もう少し頭の中の分岐を減らす方向性で考えてみましょう。

「相手が何をしてくるか」
ではなく、
「自分が何をされたら嫌なのか」

を軸に据えるイメージです。

そうすれば、あくまでも一例ではありますが、ミラーに限らず

「このターン〈ボスの指令〉で裏を取られたら嫌だな……」
「このターン〈セイボリー〉撃たれたら嫌だな……」
「このターン〈ナンジャモ〉か〈ツツジ〉で手札干渉されたら嫌だな……」
「このターン〈頂への雪道〉を置かれたら嫌だな……」

くらいに絞られるはずです。
(当然何が一番『嫌なこと』なのかは対面やターンの経過によって変わりますが)

で、嫌なこと以外のパターンは考えなくても良いのです。
(なぜなら単に『お!嫌なことされなくてラッキー!』で終わるだけなので)

これを深掘りしていけば、

〈頂への雪道〉を置かれたらどうするか

とりあえずスタジアムを引かないと、「次のターンにサイコエンブレイスが止まってて技出ませんでした」は話にならない

そうなるとスタジアムの確保が最優先。さっき〈ナンジャモ〉でスタジアムが1枚山の下に埋まってるから一旦ふしぎなしっぽで山を混ぜて、そこからアルカナシャイン1回とリファイン2回でスタジアム現物か最悪ドロー系のサポートを引ければ何とかなりそうか

最悪の最悪スタジアムに触らなかったときは正直ほぼ負け濃厚だけど、〈カウンターキャッチャー〉を引き込めれば相手の0エネのポケモンを縛ったらワンチャン殴られずにターン返ってくるかも……?


辺りまでなら考えておけるわけです。

そうすれば、いざ〈頂への雪道〉をプレイされてもふしぎなしっぽとアルカナシャインのどちらが先なのか後なのか迷うこともなく、スタジアムを引けないときの動きで困ることもありません。

そして、もし〈頂への雪道〉をプレイされなければ「おっ、ラッキー!」となるだけで終わりなわけです。

……話が逸れましたが、とにもかくにも【サーナイトex】が環境に多いなら、使う側としても使われる側としてもより一層プレイ速度は意識したいところというわけですね。

さて、【サーナイトex】の影に隠れながら着実に数を取り戻しつつあるのが【ロスト軸】です。

【サーナイトex】におけるスタジアムや〈さぎょういん〉の減少も含め、環境に対して〈頂への雪道〉の刺さりがとにかく良く、〈ジラーチ〉もついでに減っているのでかなり立ち位置は良いと言えるでしょう。

【ギラティナVSTAR】は毎回アビスシークが許される環境になると浮上してきて面白いですね。

また、【ロスト軸】で言うと〈トドロクツキex〉を入れたタイプも少なからず見受けられました。

確かに〈ウッウ〉や〈ヤミラミ〉のような(優秀ではあるものの)純粋な打点不足に陥りがちな構築に対して強制きぜつの一手は非常に魅力的と言えるでしょう。

加えて〈カウンターキャッチャー〉が中終盤に撃ちたい〈キバナ〉や〈アクロマの実験〉と両立するため【ロスト軸】の弱点だった「殴るための要求値達成と裏呼びが両立しない点」も解消されており、想像以上にパワーがある構築かもしれません。

そんな中で上位入賞したデッキが以下の8デッキとなります。


・上位構築雑感

【サーナイトex】:2

ネオラント森封は海外構築に対するアンテナの高さを感じます
スタジアム4枚は偉いポイントです。ザシアンVも結局強い


【リザードンex】:2

シンプルに纏め上げられています。エネ転も良いですね
フトゥーは負け筋消しや縛り解除として撃てると非常に強そう


【ギラティナVSTAR】:1

キャッチャー2ナンジャモ2でロストミラーに対する捲り意識◎


【ディアルガVSTAR】:1

環境を鋭く読んだデッキ選択。ロストのセイボリーも強そう


【ロストトドロクツキex】:1

やはりデカブツを軽くワンパンする手段のあるロストは強い


【カビゴンLO】:1

崩スタが盤面埋めに対して非常に強力。やはりLOは強いデッキ


上位の分布としては予選のものとそこまで変わらず、極端な勝ちデッキや負けデッキなどは無かったように見えます。

トーナメントの中では【ロスト軸】の勝率が良く、やはり【サーナイトex】も【リザードンex】もお互いがお互いを、そしてミラーマッチを気にした構築にしなければならない関係上少しばかり対【ロスト軸】へのガードを下げざるを得ない状態で、そこを含めてもやはり【ロスト軸】の立ち位置の良さを感じますね。


・終わりに

今弾は激変弾ということで、単純な新規カードは勿論、既存の軸も絡んだ環境変化を強く感じられて非常に面白い1ヶ月でした。

今なお環境の変化は進んでおり、海外大会の結果も踏まえて【ミライドンex】が新たな姿で第一線に舞い戻ってくるなどまだまだ楽しめる要素は多くありそうです。

さて、気付けばもう来週には「POWERS#14」、年明けには「Hi-POWERS#2」と、運営としては非常に忙しくもあり、皆さんの戦いをすぐ見られるのが楽しみでもあり、激動の年末年始となりそうです。

それでは次回、「POWERS#14」の振り返り記事にてまたお会いしましょう。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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