「POWERS#2」振り返り記事

こんにちは。ポケモンカード自主大会「POWERS」運営です。

本記事では10月29日に開催された「POWERS#2」について、ベスト8以上の構築を掲載しつつ環境考察も交えた振り返りを行っていきます。

また、本題に入る前にまずは「POWERS」のポイント制度について更新します。


1位:りんたろーさん:34.5pt

2位:イノショ。さん:30pt

3位:マリオさん:26.5pt

4位:なべさん:23pt

5位:ねりあめさん:20pt

6位タイ:ツラさん:17.25pt

6位タイ:しまもんろーる(31♂)さん:17.25pt

8位:しーさぎさん:15pt

9位タイ:ともぽんさん:11.5pt

9位タイ:楓さん:11.5pt

9位タイ:ハセガワさん:11.5pt

12位タイ:ごぼさん:10pt

12位タイ:たぴおかさん:10pt

12位タイ:ふりーじあさん:10pt

12位タイ:ひじりさわさん:10pt

(当日の参加人数に応じて傾斜を掛けているので、大会別で比べたときに同じ順位でも異なるポイントになる場合があります)


マリオさんが唯一2連続の予選抜けで安定感を見せています。

次回以降、予選抜けプレイヤーの名前が大体固まってくるのか、はたまた新たなプレイヤーが多数結果を残してくるのか楽しみです。

では、環境考察に移っていこうと思います。


・時代の転換点

パラダイムシフト。常識とされていた考え方の枠組みが劇的に変化すること。

さて、そんな単語を冠する10月21日に発売されたパラダイムトリガーですが、その名の通りパラダイムシフトの起爆剤と果たして成り得たのか。

答えは聞くまでもないでしょう。

パッケージポケモンである〈ルギアVSTAR〉は登場直後から各地の自主大会およびシティリーグを制圧し始めました。

シティリーグのTOP8入賞率も異様に高く(約3割5分前後)、まさに「環境を定義するデッキ」と評して差し支えないかと思います。

では、その強さの根源とはなんなのか?

数多ある強さ中でも特に大きなポイントだと言える強さは「序盤の要求値の低さに対して先攻制圧力が高いこと」と「非ルールを含めたサブアタッカーのカスタマイズ性が高いこと」の2点だと思います。

先攻2ターン目に飛んでくるデメリット無しの220ダメージ、もしこれでサイドが2枚進むものならゲームそのものが決まりかねないアドバンテージです。

ポケモンカードにおいて「先攻2ターン目」というのはとても大事で、唯一「相手のポケモンVが進化する前に攻撃できることが確約されているターン」です。
(ぐんぐんシェイク等の例外を除く)

ここでのみ220ダメージ=サイド2枚となり、逆に相手は既に進化しているVSTARを相手にするなら280ダメージを与えないとサイド2枚となりません。

この「先攻2ターン目に220ダメージが出るか否か」は「構築として先攻を取ったときにイージーゲームを取れる可能性があるか否か」に直結しています。
(例えば非ルールのポケモンをメインに据えた構築などは先攻2ターン目にここまでのダメージが出ないことも多く、結果として先攻を取れてもイージーゲームを取れる展開自体は少ないことが多いです)

この条件を満たしながらデッキパワーの高さも兼ね備えた構築というのは意外に少なく、逆にそれを満たしているからこそ【ミュウVMAX】と【パルキアVSTAR】は長く環境に居座り続けていました。

そして、【ルギアVSTAR】というデッキはこの先攻2ターン目の動きを達成するために必要な1ターン目の要求値が極論「〈ルギアV〉1枚のみ」なのです。
(勿論後攻1ターン目のメロディアスエコー等を考えると心許ない部分はありますが)

【ミュウVMAX】も【パルキアVSTAR】も共に「1ターン目にどれだけのポケモンが並ぶか」は重要なポイントであり、逆にそこで躓いてしまうと以降の〈バトルVIPパス〉や進化ポケモンを引く度にどんどん手札で腐っていってしまう悪循環があったのですが、【ルギアVSTAR】ならばそのような心配はありません。

構築にエネルギーが多いので「全然良い初手じゃないなぁ」と見えることも多いのですが、アッセンブルスターまで繋がればなんだかんだでゲームになるのが【ルギアVSTAR】なのです。

そして、この構築は中盤以降「超ハイスペックな非ルール軸」へと姿を変えます。

アメイジングポケモンだろうとかがやくポケモンだろうと容赦なく即時起動してくるので「後続のポケモンVを置く」という行為を必要とせず、加えて環境に応じたカスタマイズも自由自在です。

逆に言うとどのポケモンをどのバランスで投入するのか、プレイヤーの構築力が問われるデッキとも言えます。

そう考えると【ロスト軸】における〈ミラージュゲート〉の自由度に通じる部分もあり、その辺りを使用していたプレイヤーが【ルギアVSTAR】に移行した可能性もあるかもしれません。

また、アタッカーに繋がるボールが1枚さえあればゲームを組み立てられるので結果として終盤の手札干渉に思ったより耐性があることも【ルギアVSTAR】がここまで勝てている理由でしょう。

さて、ここまで圧倒的な強さを見せている【ルギアVSTAR】ですが、この環境で負けず劣らず戦っているデッキがまだ残っています。

そう、皆さんご存知【ミュウVMAX】です。

フュージョンと名の付くカードは出ずとも毎弾何かしらの小さい強化を受け続けているこのデッキですが、今回は〈森の封印石〉という「小さい強化」では済まない大幅な強化を得て依然環境トップクラスの座を譲らない状態です。

【ミュウVMAX】唯一の勿体無い点であった「VSTARパワーを使えない」問題をここまで噛み合う形で解決させてくるかと正直驚きもあります。

本当にいつ引いても強いカードで、初動の〈バトルVIPパス〉や〈フュージョンエネルギー〉にも、中盤の〈パワータブレット〉にも、終盤の〈頂への雪道〉対策はたまた〈やまびこホーン〉のようなキラーカードにも、全ての選択肢になれる虹色のカードです。

当然弱いわけがなく、環境は一瞬でこの2デッキに支配されました。
(勿論他のデッキも環境にいますがそれらは『パワーが高い』のではなく『環境的に立ち位置が良い』というニュアンスの方が正しいでしょう)


・当日の環境について

さて、「POWERS#2」当日の環境は以下のようになりました。

【デッキ分布】:合計数47

ルギアVSTAR:14

ミュウVMAX:5

ロストバレット:4

ロストギラティナVSTAR:3

パルキアVSTAR+キュレムVMAX:3

白馬バドレックスVMAX+キュレムVMAX:1

レジエレキVMAX+クワガノンV:3

パルキアVSTAR+クワガノンV:1

レジギガス:2

アルセウスVSTAR:3

ムゲンダイナVMAX:2

ヒスイゾロアークVSTAR:1

ロトムVSTAR:1

イオルブVMAX+サンダースVMAX:1

インテレオンVMAX+インテレオン:1

ゾロアークバレット:1

ゼラオラVSTAR+モココ:1


【ルギアVSTAR】が14/47、約29%とやはり多い結果となりましたが、圧巻なのはその予選抜け率です。

今回は予選5回戦で行い5-0が1名、4-1が9名だったのですが、その計10人の中で5-0を含めた7名が【ルギアVSTAR】という圧倒的なアベレージを誇りました。

もはや【ルギアVSTAR】は「他のデッキをどうするか」という次元にはなく、「ミラーの後攻をどうするか」という視点でゲームをしていると言えます。

逆に奮わなかったのが【ロスト軸】で、7名の母数に対して予選抜けは0名でした。

思えば前回の「POWERS#1」でも【ロスト軸】は7人中1人しか予選を抜けておらず、「人気だが扱いが難しい」というポジションなのかもしれません。

そんな中で上位入賞したデッキが以下の8デッキとなります。


【ルギアVSTAR】:5

【パルキアVSTAR+キュレムVMAX】:1

【ミュウVMAX】:1

【レジギガス】:1


・上位構築雑感

まず【ルギアVSTAR】の構築ですが、〈かがやくリザードン〉がどの構築を見ても最有力候補でした。

単純に〈こだわりベルト〉込みの280ダメージを早期に狙っていける点が強いのは当然として、終盤に1枚のエネルギーで技を撃つことができるのも高評価です。

【ルギアVSTAR】のデッキはどのアタッカーも3~4枚のエネルギーが必要で、ゲームが伸びてしまうと(或いは序盤の〈博士の研究〉で巻き込んでしまうと)終盤山札に残っているエネルギーが1~2枚程度しかない状態が発生してしまいます。

この負け筋を解消できるのが〈かがやくリザードン〉であり、勿論〈かがやくサーナイト〉を採用して耐久に寄せた型も強力ですが「自分がサイドを6枚取りきるためには」という視点で考えたときにやはり〈かがやくリザードン〉に軍配が上がるのでしょう。

また、全体の半数の【ルギアVSTAR】がサブアタッカーとして〈アメイジングライコウ〉と〈アメイジングイベルタル〉を採用しており、特にこれらを両採用していたプレイヤーが高いアベレージを出している環境でした。

この時点では入賞した【ルギアVSTAR】の中では〈マナフィ〉の採用が優勝者のみでしたが、最近のシティリーグなどでは多くのの【ルギアVSTAR】で〈マナフィ〉の採用が見受けられるので今後は〈アメイジングライコウ〉だけではミラーの後攻を捲れない環境になってくるでしょう。
(その点だと最近は〈マナフィ〉だけでは機能停止しない、〈ツールジャマー〉で相手の〈ルギアVSTAR〉を乗り越えられる〈サンダー〉のスナイプサンダーが評価されている印象です。雷タイプの対策として〈ノコッチ〉の採用はまだ標準的ではありませんが、いつか〈マナフィ〉同様に標準搭載される未来が訪れるのかもしれません)

また、〈シンオウ神殿〉や〈頂への雪道〉のような弱点以外の対策も有効で、今回【ルギアVSTAR】以外で入賞した3名は全員これらのスタジアムを採用していました。

【ルギアVSTAR】側の〈バケッチャ〉がそこまでメジャーというわけではなく、かつスタジアムもそこまで入るようなデッキではないことを考えるとかなり期待値は高いと言えます。
(大体の【ルギアVSTAR】がスタジアムの現物、〈バケッチャ〉、〈ロストスイーパー〉から計2枠くらいの採用なので、1枚目を処理した後に出てくる2枚目の〈シンオウ神殿〉の対処に苦労しそうなイメージがあります)

また、【ルギアVSTAR】から視点を外すと、今回【ミュウVMAX】は〈フュージョンエネルギー〉抜き、〈マリィ〉+〈シンオウ神殿〉というかなりメタ寄りの構築が入賞しました。

ある程度パワーを落としてでも「それで【ルギアVSTAR】に勝てるのならば問題はない」といった考えか、事実予選では多くの【ルギアVSTAR】を乗り越えて決勝トーナメント行きを勝ち取っています。

〈英雄のメダル〉も相手が使う〈ドラピオンV〉のバリューを下げることに有効で(〈ドラピオンV〉でサイドを2枚しか取れない場合、その〈ドラピオンV〉が倒されてサイドを2枚取られてしまってはやっていることが単なる2-2交換なので)、その〈ドラピオンV〉をきぜつさせながら次の〈ミュウVMAX〉を押し付けるとサイドの進行が2→3でゲームを1ターン伸ばすことが可能になります。

また、もう1つの入賞デッキである【レジギガス】は立ち位置が非常に良く、ちゃんと回れば【ルギアVSTAR】と【ミュウVMAX】にある程度有利が付くのでデッキ選択の勝利だったと言えるでしょう。

ただし、この「ちゃんと回れば」という部分が非常に曲者なことに加えて【ルギアVSTAR】側がメジャーに採用しているスタジアムが〈崩れたスタジアム〉なのが向かい風で、いくら〈レジエレキ〉で弱点を突けても〈崩れたスタジアム〉+〈ツールジャマー〉+〈マリィ〉のような展開になってしまうと復帰が遅れて後手後手になってしまうことも十分考えられます。

最後の入賞デッキである【パルキアVSTAR+キュレムVMAX】ですが、そもそもとして今回【パルキアVSTAR+インテレオン】が0人だったことにまず驚きました。

あれだけ隆盛を誇っていた【パルキアVSTAR+インテレオン】を大会で見なくなる日が来るとは、パラダイムシフトに取り残されたデッキの末路なのでしょうか。

代わって〈キュレムVMAX〉が相方に立候補したわけですが、確かに相性は悪くないと言えそうです。

〈Vガードエネルギー〉があろうと〈ルギアVSTAR〉を一撃できぜつさせられる火力があり、〈ウォッシュ水エネルギー〉で〈アメイジングイベルタル〉のアメイジングデスを受けません。

〈キュレムVMAX〉でサイドを4枚取れればしめたもので、あとはもう1体の〈キュレムVMAX〉を自身の特性と〈メロン〉で育て上げれば最後まで走りきれます。

そしてこの構築にも〈シンオウ神殿〉が入っています。

一見〈ウォッシュ水エネルギー〉と相性が悪そうに見えますが、そもそも【ルギアVSTAR】側が〈シンオウ神殿〉を剥がさないとまともに技を撃てないわけで、その上で仮に〈シンオウ神殿〉を剥がされたとしてもまだ〈ウォッシュ水エネルギー〉があるという二段構えになっているわけです。


・終わりに

【ルギアVSTAR】、強い強いとは言われており実際強いことには何の疑問も抱きませんでしたが、それでもここまで環境を支配するとは思っていませんでした。

とはいえまだまだ環境は発展途上、更なるメタデッキが登場し、【ルギアVSTAR】側はそれを乗り越えるために試行錯誤する、典型的なメタゲームが展開されることでしょう。

また、【ルギアVSTAR】自身も課題であるミラー後攻の解決策を含め、まだまだ現状が完成形であるようには見えません。

今月20日には「POWERS#3」があり、来月にはCL京都もありますが、果たしてどのようなデッキが活躍するのか、今後も楽しみです。

次回、「POWERS#3」の振り返り記事にてまたお会いしましょう。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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