「POWERS#10」振り返り記事

こんにちは。ポケモンカード自主大会「POWERS」運営です。

本記事では8月13日に開催された「POWERS#10」について、ベスト8以上の構築を掲載しつつ環境考察も交えた振り返りを行っていきます。


※以下、本記事では「単体カード名」を〈〉で、「構築群」を【】で括ります。

例えば〈ギラティナVSTAR〉であれば「ギラティナVSTAR」単体を示し、【ギラティナVSTAR】であれば「構築としてのギラティナVSTAR」を示します。


また、本題に入る前にまずは「POWERS」のポイント制度について更新します。

1位:ねりあめさん95.6pt
2位:楓さん58.8pt
3位:クサエネさん39.0pt
4位:イガ汰つなさん37.8pt
5位:せとさん37.5pt
6位:レーシャンさん30.6pt
7位:ふりーじあさん25.8pt
8位:こひ♪さん25.6pt
9位:レンさん24.2pt
10位:すもぐりさん23.75pt
11位:かがやくタルモゴイフさん19.65pt
11位:えふさん19.65pt
13位:あやとさん19.5pt
14位:SKさん19.2pt
15位:マグロさん18.75pt
16位:野村さん13.1pt
16位:てんさん13.1pt
16位:にわとりさん13.1pt
19位:はやしさん13pt
19位:りんたろーさん13pt
19位:オイカワさん13pt
22位:おきさん12.8pt
22位:しゅんさん12.8pt
24位:マリオさん12.5pt
24位:かりめろさん12.5pt
24位:ミラクルローグさん12.5pt

(当日の参加人数に応じて傾斜を掛けているので、大会別で比べたときに同じ順位でも異なるポイントになる場合があります)

「POWERS」シーズン2突入以降、3回出場して準優勝(#8)→準優勝(#9)→優勝(今回)と圧倒的な成績を叩き出しているねりあめさんが堂々のポイントレース1位に。

【ロスト軸】を好んで使用するプレイヤーであり、決勝トーナメントでの【ギラティナVSTAR】ミラー連戦は練度差が大きな追い風となったことかと思います。

「各シーズン6大会中成績上位3大会分をポイントレースに反映させる」という仕様上、今後ねりあめさんが自身のポイントを上乗せするにはシーズン2の残り2大会で「優勝する」か「より人数の多い大会で準優勝する」の2パターンしかなくなったわけですが、果たして100ptの大台に乗ることができるのかという点についても注目していきたいところです。

では、以下にて環境考察を記していきたいと思います。


・支配者到来

※本大会は「黒炎の支配者」後の環境で開催されました。

最近は初期のexパックと異なり「スノーハザード/クレイバースト」を筆頭として「環境入りするようなカード」が多く含まれる傾向にありますが、今弾もしっかりと環境を動かしてくれました。

渦中にいるのは勿論

シンプルにわかりやすいパワーカード

そう、〈リザードンex〉です。

元々手札の要求が高くなりがちな2進化というテーマですが、実質「0エネで技を撃てます」と書いているに等しいこのカードは技を撃つまでのハードルが他の2進化と比べてかなり軽減されています。

何故か自身の技に必要なエネルギーより1枚多く貼れるのでスタートしたポケモンを逃がす用途にも使えたり、色々と細かい部分での恩恵が大きい特性と言えるでしょう。

また、2進化に相応しい「打点と耐久の両立」もその長所として挙げられます。

バーニングダークがサイド残り3枚の時点で270ダメージ、火力UPアイテムを持たせれば280ダメージ以上を見込める火力を持ちながらもHPは驚異の330、そして弱点も環境にあまり存在しない草タイプ。

こちらは相手を一撃できぜつさせつつも相手からの攻撃はきっちりと耐える姿はデッキの大黒柱としての安心感を窺わせます。

また、〈ピジョットex〉の加入も〈リザードンex〉を始めとした各種2進化軸には大きな追い風なのではないでしょうか。

実はワザも強い

〈ふしぎなあめ〉を共有しつつ、〈ピジョットex〉の成立に〈ふしぎなあめ〉を使用してもその〈ピジョットex〉が〈ふしぎなあめ〉をサーチしてくれるのでメインアタッカーの成立が遅れるわけではなく、かつそれ以降は常にスターアルケミー状態と考えるとかなり使い勝手は良さそうです。

また、進化前の〈ポッポ〉がなかまをよぶを持っている点も非常に優秀で、これがあるため〈ポッポ〉を3枚ほど採用している【リザードンex】もあるほどです。

その他【パオジアンex】などに〈ピジョットex〉が採用されているケースも見受けられ、確かに「〈スーパーエネルギー回収〉さえ引ければ……!」というシーンが多いことを考えるとピンポイントなサーチが可能な分〈ビーダル〉より理にかなっている採用と言えるかもしれません。

そして、これらパワーの高い〈リザードンex〉および〈ピジョットex〉を最大限活かそうと考えて組まれたのが【アルセリザピジョット】です。

相方がふしぎなしっぽの〈ミュウ〉や〈ビーダル〉ではなく〈アルセウスVSTAR〉である最大の理由は「先攻2ターン目の殴り出しに〈リザードンex〉が必須とならないから」ではないかと思います。

ノヴァのタイミングにようやくヒトカゲ着地でも全く問題ナシ

スターバースで盤面を作りつつ、自身がアタッカーとして機能するため序盤の〈リザードンex〉が必須ではありません。

これが、相方が〈ミュウ〉や〈ビーダル〉だと彼らはアタッカーになることができないため序盤に〈リザードンex〉を立てる必要があります。

そうなるとやはり手札次第では〈ピジョットex〉の成立を諦めて進まなければならないシーンというのがどうしても増えてしまいます。

しかし、ここで大切なのが「〈ピジョットex〉は早期に立てば立つほど強い」「ゲームが後半になるにつれ、〈ピジョットex〉成立に対する要求値は上がっていく」という2点です。

1ターンに1回しか使えない特性で、しかも発動に条件や効果的なタイミングのようなものがマッハサーチには存在しないため「早く立てば立つほどシンプルに特性を使う回数が増えて強い」というのは当然として、やはりゲームが中盤以降に突入すると後続のアタッカーの成立にリソースを割かねばならず、そうこうしている内に終盤手札干渉などを受けてしまうと一気に〈ピジョットex〉の成立が厳しくなります。

こうなってしまうとそのままズルズルと負けてしまいかねません。

しかし、ここで相方が〈アルセウスVSTAR〉だと話が大きく変わります。

序盤の殴り手が〈アルセウスVSTAR〉でいい以上〈リザードンex〉が必須ではない、つまり、2進化を立てるリソースを全て〈ピジョットex〉に注ぎ込めるのです。

こうなると次のターン以降はマッハサーチで〈リザードンex〉を立てればいいだけなので(あとは随時手札干渉をするだけ)、プレイ難度としても各ターンの要求値としても非常に易しいものとなります。

この「2進化軸でありながら序盤を〈ピジョットex〉の成立に寄せてもいい」という点こそ【アルセリザピジョット】がこの組み合わせである理由なのかなと思います。

さて、発売直後のジムバトルなどでは(新しいカードを使ってみたいという好奇心も後押しして)【アルセリザピジョット】の全勝報告をよく目にする形となったわけですが、一週間もするとプレイヤー達も満足するわけで、そうなると〈リザードンex〉に対する評価基準も変容していきます。


「〈リザードンex〉は強いのか?」

から

「〈リザードンex〉は環境トップのデッキ群に対して勝てるのか?」

と。


結論から言うと、何か革新的な構築が登場しない限り、少なくとも今のベースのままでは【サーナイトex】にも【ギラティナVSTAR】にも勝ち切ることは難しいでしょう。

ギラティナ検定、難しすぎると話題に

まだ【サーナイトex】相手では先攻を取りながら順当に攻撃を始められれば高い要求値を手札干渉を絡めつつ継続的に要求できますが、問題は【ギラティナVSTAR】です。

〈頂への雪道〉が厳しいのは勿論のこと、序盤のアビスシークを咎める手段がほとんどありません。

(〈こだわりベルト〉絡みや〈かがやくリザードン〉+〈ダブルターボエネルギー〉+〈リザードンex〉で5エネ成立などありますが、どちらにせよ難しい形となります)

そうなるとロスト枚数が早々に10枚となり、自慢の耐久もスターレクイエムで貫通され、〈ピジョットex〉をロストインパクトで取られてゲームエンドです。

このマッチアップの改善を見込めない限りはどうしてもトーナメントシーンでの活躍が難しく、元々のパワーが高いだけに非常に勿体無い現状ではあるので将来に期待の枠と言えます。
(そういう意味では〈ミライドンex〉と似ているかもしれません。Eレギュレーションが落ちれば相対的にパワーが上がる軸ではあるので、時間が解決してくれるのを待つのも一つの手段ではあります)

とはいえ逆に【リザードンex】は【ギラティナVSTAR】および【サーナイトex】以外の相手には圧倒的な強さを誇る以上、結論として今環境は

S:【ギラティナVSTAR】【サーナイトex】
A:【リザードンex】【ロストバレット】
B:【パオジアンex】【ルギアVSTAR】

といった構図になるのではないかなと考えています。


・当日の環境について

さて、「POWERS#10」当日の環境は以下のようになりました。

【デッキ分布】:合計数60

3トップで8割

【ギラティナVSTAR】:11
【ロストバレット(水雷)】:5
【ロストバレット(炎)】:2
【ロストリザードンex】:1
【ロストキラフロルex】:1

【アルセリザピジョット】:11
【アルセギラティナロコン】:1
【アルセアーマーガア】1

【サーナイトex】:9
【パオジアンex】:5
【ルギアVSTAR(白)】:2
【ミライドンex】:2
【インテレオンVMAX+ウーラオスVMAX】:2
【ミュウVMAX】:1
【パルキアVSTAR】:1
【フーディンex】:1
【ヒスイゾロアークVSTAR】:1
【デカヌチャンex】:1
【ゾロアークバレット】:1
【ハッサム】:1

やはり【ギラティナVSTAR】、【サーナイトex】、【アルセリザピジョット】の3トップを軸に、【パオジアンex】が後を追う構図となっています。

前環境で数を伸ばしつつあった【ロストバレット(水雷)】は流石に【リザードンex】のHPの高さに押され気味か減少傾向にありました。

〈リザードンex〉の隠されし(?)能力テラスタルにより〈カイオーガ〉のアクアストームが通らないのも【ロストバレット】視点の厳しいポイントとして挙がりそうです。

そんな中で上位入賞したデッキが以下の8デッキとなります。


・上位構築雑感

【ギラティナVSATR】:3

メタモンとポケギアによる全体的な安定感の底上げが◎
ナンジャモ2-ツツジ2がミラーに対する意識の高さを感じます
珍しいスイッチャー型。ネジキもあり意識外からの一撃を重視


【ロストバレット(水雷)】:2

カイリュー軸だと一番シンプルで参考になる60枚です
お守り+リベンジパンチでミラー意識の高さを感じます


【ロストバレット(炎)】:1

ポケギア4+ジャンケン後攻選択から圧倒的な速度で勝負


【ロストリザードンex】:1

ロスト軸がリザードンexの正解となるか(雪道には強そうです)


【インテレオンVMAX+ウーラオスVMAX 】:1

完璧な環境読み。対サーナイトexもやれます


【ロストリザードンex】を除いたとしても実に6/8が【ロスト軸】という圧倒的なアベレージを叩き出しました。

【アルセリザピジョット】どころか【サーナイトex】ですらトーナメントに残っていなかったのは少々驚きです。

構図としては【サーナイトex】が【アルセリザピジョット】に勝利し、上位卓で【ロスト軸】vs【サーナイトex】を制した【ロスト軸】側がトーナメントに多数残った形でしょうか。

事実、2敗ラインに【サーナイトex】は多く存在していました。

また、この【ロスト軸】対【サーナイトex】のマッチアップについてはどちらが有利か非常に意見が分かれるところですが、「意見が分かれる」時点で練度がよく出る良いマッチアップなのだなと思います。

環境によっては実力に関わらずにどちらかが一方的な有利を得るマッチアップもありますが(というか弱点のシステムがある以上はこのパターンの方が当然多いです)、だからこそこのような実力主義のマッチアップがある時代はこの難しさを自ら楽しんでいけるような心掛けも大切と言えるでしょう。

・終わりに

今回はWCS(day3)と同時開催の日程でした。

「WCSを観てモチベーションが上がる」というのはポケモンカードに限らず様々なゲームでの“あるある”でしょうか。

この上がったモチベーションを2週間後のCLにぶつけられる幸運な方々は是非とも全力を出し尽くして、悔いのない戦いをしてきてもらえたらと思います。

運営陣は全員落選してしまったので北海道で留守番をしながら次回のCLには当選できるよう徳を積みつつ、今回は応援およびサポートに徹します。

CL横浜では何が勝つのか、そして、「POWERS#11」を含めたその後の環境にどのような影響を及ぼすのか。

それでは次回、「POWERS#11」の振り返り記事にてまたお会いしましょう。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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