食べたいものを食べられる幸せ
うちの特別養護老人ホームに入所中のFさんは、90代の女性です。
ふだんは昼ご飯を食べたあとは、ロビーで車イスに座ったままウツラウツラするか、部屋に戻って休まれるか。
ところが、今日は車イスに座ったまま何かチラシをじーっと食い入るように見つめていました🧐
すでに30分は経過している。
何をそんなに見ているのだろう?
近づいて見てみると…
Fさんが食い入るように見つめていたのは、朝刊のチラシと一緒に入っていたマクドナルドのクーポン券😲
私「どれか食べたいものはありますか?」
Fさん「これがええかねぇ」
と、笑いながら指差したのは、本日から発売の「月見バーガーセット」🍔
さらに、
Fさん「これはどんなじゃろうか?」
と指差したのは「月見パイ」という、あんこと餅が入ったパイ✨
そばにいた介護職員さんたちも
「Fさん若いですねー!」
「夕飯をキャンセルして、マックにしたらどうですか?」
という声が😆
Fさん「こんなに食べられるじゃろうか?」
と心配しながらも、
「飲み物は何がええかね?」
と、ドリンク選びに移ります😊
今まで買い物外出に誘っても
「しんどいけぇ、行かんわ」
と言われて断られてばかりだったFさん。
この日は、職員と一緒にドライブスルーで「月見バーガーセット」と「月見パイ」を購入されて帰ってきました👍
帰ってきて、すぐに食事開始🍴
他の入所者さんの配膳を終える頃には、ほぼ食べ終わっていたと思います😲
勢いよく月見バーガーセットを食べたFさん。
約1年前に、同居する息子さんからの身体的虐待により、行政による措置で入所となった方です。
担当ケアマネさんの話によると、自宅にいる頃は常に身体のどこかにアザがある状態だったとのこと。
本人は「息子にやられた」と言ったり、「転んだ」と言ったり。
息子は「転んだ」と言い張り、虐待については認めず。
そんな平行線が約1年続き、さすがにこれは転んでできたアザばかりではないだろうと。
息子の同意を得ないままの措置入所に踏み切りました。
Fさんは自宅にいた頃の話になると、途中で「ここは良いところです。皆さんありがとうございます」と言い、話を終わろうとされます。
入所されてから、認知症も少し進行されています。
そのため、アザの原因は今となってはわかりません。
1つ言えるのは、入所後は尻もちを1回ついたくらいで大きなケガなく過ごしています。
複数のアザを作ることもありません。
もしかしたら今まで、他の人に話せないようなつらい経験をされてきたかもしれないFさん。
食べたいものを選べる幸せ。
好きなものを食べられる幸せ。
決して特別なことではないですが、
Fさんの日常が少しでもゆたかになるように。
これからも関わっていきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。