【上級者向け】もはやパワポが芸術的な領域に達している3社
みなさんこんにちは。
資料デザインのリサーチや分析に取り組むパワーポイントのスペシャリスト、パワポ研です。
今回は、パワポのテクニックがもはや「芸術の域」に達している3社を取り上げ、それぞれのスライドをチェックしていきます。なお、パワポ研では、費用対効果の観点から70点レベルのスライド(ビジネスにおいて)を目指すことを推奨していますが、今回ご紹介するスライドはそのレベルを遥かに超えたものとなります。
「ある程度中級レベルの技術は身につけたので、さらなる高みを目指したい」「どうしてもこだわりたいプレゼンがあって、時間はいくらかけても良いから最高のものを作りたい」という方は是非参考にしてください!
なお、今回ご紹介する会社は昨年末に公開した「PowerPoint Reference Book 2021」の中で難易度が「星3」レベルに位置付けられているものとなります。
それでは早速見ていきましょう。
GA technologies
一社目は不動産テックの領域で近年最も勢いのある株式会社GA technologiesです。21年10月期の売上高は854億円となり、2年前の19年10月期の2倍以上というハイペースで成長を続けています。積極的にM&Aを仕掛けることでも有名であり、2018年の上場以来8つのM&Aを実行しています。
異なったカラーの会社を自社に統合するプロセスにおいては、人材面や技術面は当然のこと、デザイン面においてもできる限り各社の齟齬をなくしていくことが重要で、そのために優秀なデザイナーを多数抱えていると推測されます。サービスサイトやアプリはもちろんのこと、そのデザインの技術は決算説明資料にも反映されており、そのクオリティは専業のデザイン会社にも引けを取らないレベルに達していると感じました。
今回は21年10月期の決算説明会資料を紹介いたします。
第一部:https://ssl4.eir-parts.net/doc/3491/ir_material_for_fiscal_ym/110949/00.pdf
第二部:https://ssl4.eir-parts.net/doc/3491/ir_material_for_fiscal_ym/110951/00.pdf
メインメッセージ
表紙スライドの後に、この2枚が挿入されています。通常は目次やら注意書きやらが来るのですが、思い切ってメッセージを絞り込むという姿勢は何とも潔いですね。もちろん写真の明るさや、フォントの大きさ、色なども参考になりそうです。
業績ハイライト
これもなかなかお目にかかれないデザインですね。一瞬左右に分かれていて見づらいかとも思いましたが、「まず右を見て、興味があれば左も見てね」という意思表示にも取れ、ここにも当社の潔さを見て取れます。決算報告で最重要となる3つの数字に比べれば、メッセージはこのくらいの大きさでも問題ないということかもしれません。
グラフ
GA technologies社のスライドで特に素晴らしいのは、このグラフです。青系の一色しか使用していないにも関わらず、グラフの全体像や細かな数字、注釈などが非常にリッチに表現されています。一言で言えば「グラデーション」の使い方が上手いということになるのかもしれませんが、この技術はすぐにマネできるような代物ではありません。他のタイプのグラフも見ながら、研究してみましょう。
時価総額
これも真似できそうで、できない非常にハイレベルな描画です。丸の中のグラデーションやそれぞれの図形の配置、フォントの大きさ、背景の地図の透過度など様々な要因が相まって「ちょうど良い」バランスに収まっています。
プラットフォーム
「〇〇のできるプラットフォーム構築」のといった企画を図で説明する際に役立ちそうです。機能一覧に関する説明は箇条書きにしたり表でまとめたりしがちですが(もちろんそれで十分な場合がほとんどです)、このようにアイコンと文字で分かりやすく説明すると、大きな差別化になりそうですね。
グッドパッチ
パワポ研でも度々紹介している、株式会社グッドパッチです。2020年にデザイン会社として初めて東京証券取引所に株式上場を果たし、そのクオリティもさることながら、規模においても業界トップクラスの会社です。本業はwebデザインですが、当然ながら決算スライドも極めて高いクオリティで製作されています。
表紙
「良い子は真似してはいけません」と言いたくなるほど手間のかかった表紙です。右側の「島」をモチーフにした描画も見事ですし、スライド全体の「ザラザラ感」もどのように演出しているのかが気になります。また、四隅に配置されたロゴやコピーライトも絶妙な大きさにコントロールされていて、芸が細かいですね。
会社概要
グッドパッチのスライドの特徴は、「薄いグレーの背景+白のテキストエリア」です。これはおそらくwebデザインの「class分けをする」という発想を取り入れたものだと思われますが、スライドを「1枚の画面」として見た時に最適な見え方は何かということを探求した結果、このようなデザインに辿り着いたのでしょう。この考え方は幅広く応用可能なので、是非この点に注意して他のスライドもご覧ください。
事業領域
このスライドも非常にオリジナリティが高いですね。文字ではなく、イメージで説明することを追求した軌跡が見て取れます。スライドの情報量はかなり少ないにも関わらず、このスライド1枚でグッドパッチが何をやっているのかが手にとるように分かるのはすごいですね。
パートナー
各領域のパートナー構成を表現するこの図は「灰色>白>青>白」という4つの枠組みで構成されています。これも会社概要のところで説明したwebデザインの技術を応用したものだと考えられます。
グラフ
GA technologiesのグラフと同様、上手く青一色でメインパーツを表現しています。アクセントカラーとして使っている赤色も、原色ではない優しい色使いで、こだわりを感じますね。数字に関しては少し盛り込みすぎな感じもありますが、決算スライドとしての情報量を担保するという方向性を取ったのだと考えられます。
注意書き
最後に申し訳程度に書かれることの多い「免責事項」にもさりげないこだわりがあるように思えてなりません。
DRAFT
最後に紹介するのは、株式会社ドラフトです。こちらもデザインを本業としている会社ですが、グッドパッチがwebを主戦場にしているのに対し、ドラフトは空間デザインを本業としています。そこで培われた独特の感性も相まってか、他には類を見ないスライドが多数登場します。
目次
写真の配列が素晴らしいですね。このように右と左の画像サイズを変えて、それぞれに最適な写真を持ってきて並べるのは、実は結構難しいです。自社で保有している素材が豊富なドラフト社ならではの一枚だと言えます。
表
グッドパッチと同じく「グレーの背景+白のテキストエリア」で構成されています。数字のフォントが独特ですが、これはできるだけ狭いスペースに数字を並べ、余白を十分に保つ工夫であると言えるでしょう。
グラフ
これは斬新ですね。あまり見慣れないので、数字がパッと頭に入ってこない可能性はありますが、「一枚の作品」としてのこだわりを感じます。内容的にもコロナから急速な復活を遂げているのが見て取れ、安心しました(笑)
面積図
この図はなかなか決算説明資料に登場することはないですが、各事業の成長速度を一枚の図で比較する際に役立ちます。このように右肩あがりに成長している会社であれば、左上のスペースにメッセージを入れることで過不足のない一枚になりそうです。
パワポ研オリジナルテンプレート
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