【パワポ研の決算資料探訪10】株式会社東名の決算説明資料は”さりげない”スライドの集まり
企業の決算説明会資料について解説するこのシリーズ。前回大変好評をいただけましたので、おかげざまでこの度シリーズ10回目を迎えることができました(好評だった初回Goodpatch様の記事は以下)。
今回も見どころある企業の決算説明資料について紹介させていただきます。
対象とするのは、「株式会社東名」。インターネットソリューション関連の有力企業です。
引用元:2021年8月期 第3四半期決算説明会資料
それでは早速見ていきましょう。
表紙
赤系のカラーが印象的です。表紙に必要なロゴや企業名などの要素は勿論網羅していますが、中心のさりげないイラストに目が行きます。
実はこの「さりげなさ」というものが、今後どのスライドにも見え隠れし、それこそがこの東名社の資料の良さを引き出してします。
沿革
沿革が決算説明資料の最初の方に出てくるのは珍しく、通常は資料の最後の方に出てきます。一方で、資料の後ろの方に出てくる沿革は、そのほとんどが年表の羅列になっており味気ないものです。
しかしこの資料では、フロー図(矢羽)の形で視覚に優しく沿革が記載されており、読み手に負担を与えません。もしも沿革を序盤に記載したい人がいるなら、このフォーマットを参照すべきでしょう。
事業概要
事業概要の説明スライドです。
売上構成比がドーナツ型グラフで分かりやすく表現されています。ドーナツ型グラフは円グラフの亜種で、一般にスライドでは好まれないことが多いですが、このように短期的な「割合」だけをお知らせしたい場合には都合の良いグラフでしょう。この資料では、「オフィス光119事業」が柱で、残りの2つは割合が小さい、ということが自然と伝わります。
さて、この企業は大きく3つの事業で構成されております。そして実はこの資料では、このスライドを筆頭に各事業に「青系」「赤系」「緑系」のカラーを与えており、資料全体を通してその色使いで表現しています。
ビジネスモデル(オフィス光119事業)
例えば、このスライドは「オフィス光119事業」のビジネスモデルについて解説するスライドですが、外枠を青色で囲っています。前のスライドで決めた色を踏襲しているのです。
なおこのスライドもそうですが、この資料全体でイラストを上手く使っています。例えば、中央下部の「オプションサービス」のところは、本質的にはイラストは不要です。しかし、イラストがあったほうがイメージがし易い。つまり、文章が「主」であり、イラストが「従」の関係にあり、その場合はイラストの持つ視覚的な威力が最大限に発揮できるのです。
逆に言えば、あまり良くないスライドはイラストが「主」で、文章が「補足」になってしまっています。その場合は、イラストでその事業(あるいは商品)を理解してもらう必要があり、ともすると説明チックになってしまい、魅力的なものではなくなってしまうのです。あくまで「主」は文章、イラストは「従」ということをお忘れなく。
ビジネスモデル(FP事業)
このスライドも、前頁で指定した「緑系」の色を中心に使っています。ハイライトの文字色も緑色です。
欲を言えばこのスライド、もう少し左右のアイコン(保険会社と個人)が大きくてもよかったですね。流石に、少しスペースが空きすぎて寂しい様子です。ここはちょっと「さりげなさ」が過ぎましたね。
KPI
このスライドは、3事業すべてに共通するスライドのため、黒(灰色)ベースの資料構成になっています。そしてその中で色の濃淡をつけ、例えば「KPI」と「アクション」のアイコンを囲む色を変更したりしています。こうすることで、読み手に優しくKPIの方が重要である、ということをさりげなく伝えています。
顧客分布
パワーポイント資料作成でご法度な技が2つあります。
一つは「アニメーション」。これは後で読む人のことを考えていないですとか、情報を小出しにする意味がないとか諸々の理由で嫌われています。そしてもう一つは「3Dグラフ」。これはそもそも傾ける意味が全くない、むしろ見づらくなるなどの理由で敬遠されています。
しかし果たして、このスライドでは3Dのグラフを日本地図に重ねる形で使っています。日本地図が傾いている関係で3Dの棒グラフを採用したように見えますが、かなりお洒落に見えます。必要性があるかどうかについては議論の余地はありますが、大変珍しい3D図の成功例と言えるでしょう。
なお、このスライドは「オフィス光119」関連のスライドですので、青系を中心とした色使いで構成されています。
契約保有件数推移とスキーム
事業毎に異なる色を採用する、という手法は格好良いのですが、汎用性はややもすると低いかもしれません。上記のスライドは赤系の色を中心としたスライドですが、赤である必要性が低い部分も、赤系でまとめなくてはならないという苦労が偲ばれます(例えば、図の吹き出しの部分など)。かんり難度の高い技法であることは間違いないので、参照する際にはその点に留意して試行錯誤いただきたいと思います。
まとめ
以上が株式会社東名の決算説明会資料の詳細になります。全編にわたって、さりげなく良いイラストが採用されていたり、また事業毎に色を変えるなどささやかな工夫が見どころの決算説明会資料でした。
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