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【パワポ研の決算資料探訪17】SHIFT社の決算説明資料は”画面の圧が強い”ので頭に情報が入りやすい

企業の決算説明会資料について解説するこのシリーズ。前回大変好評をいただけましたので、おかげざまでこの度シリーズ17回目を迎えることができました(好評だった初回Goodpatch様の記事は以下)。

今回も見どころある企業の決算説明資料について紹介させていただきます。
対象とするのは、「株式会社SHIFT」。ソフトウェアの品質管理やテストを行うベンチャー企業です。

2022年8月期 第3四半期決算説明会資料
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それでは早速見ていきましょう。

表紙

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赤いですね。コーポレートカラーは赤色ですが、それにしても圧が強いです。ロゴもなく、シンプル極まれりといった表紙。

ちなみに、小さな工夫としては(画面ではかなり分かりにくいですが)中心から同心円状に、微妙に外側が濃くなるように色々な赤色が配されています。特にデザインとしての意味はないはずですが、何かの拘りを感じます。

アジェンダ

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これもシンプルで力強いというか、圧がありますね。余計な装飾がほぼありません。ちなみに、このページが事実上の1ページ目(この前は表紙)ですが、表記は2ページ目となっています。珍しい表記ですね。是非はさておき、PDFで閲覧した際のページ数と、右下のページ数が同じになるので、意外にこちらの方がユーザビリティが良いのかもしれません。

ビジネスパーソンなら誰しも、「では32ページ目をご覧ください……」などと言ったときに、PDF表示の32ページか、資料上での32ページかで指示が混乱した記憶があるはずです。でも、SHIFT社の資料ではそういった混乱がなくなります。やはり便利な工夫と言えるでしょう。

エグゼクティブサマリ

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すごいです。情報が全部入っています。画面全体ぱっつんぱっつんですね。エグゼクティブサマリと言いつつ、その実態はサマリになっていない資料が多い中で、このSHIFT社の一枚は完全にサマリになっています。お作法としてはもう少し文字が大きい方が無難なのですが、そんなことはおかまいなく、全部詰め込んでやろうという精神が見えます。これはこれで「アリ」ですね。

また、引き続き赤基調なので、そこも圧を与える一因になっています。

エンジニア単価推移

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グラフでも引き続き情報が多いです。四半期毎にここまで細かく数値を載せていることは珍しいですが、サービスとばかりに情報を掲載しています。

しかし、ポイントは外さないのがSHIHT社のスライドのよいところです。メッセージ(上部のワード)があることで、閲覧者にどこを見ればよいのかが分かるような体裁になっています。この場合は(当然ですが)右側773という数値の近辺及び、グラフ全体の角度(この場合、右肩上がり)を見ればよいことがわかります。

四半期連結利益率推移

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このグラフもそうですね。情報が多いにも関わらず、どこを見ればよいのか一目でわかります。この赤色の網掛けハイライトは、もっと多くの人が活用するべき小技でしょう。

単体KPIの推移

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折れ線グラフだけでなく、棒グラフでも手法は変わりません。情報を大量に提出こそすれども、見させるべきポイントはハイライトとメッセージで押さえる

特にこのグラフスライドでは、吹き出しのようなテキストボックスで、要因まで記載しています。工夫すればもっと見やすい形にはなるかもしれません(例えば、テイクアウェイというスライド下部に出す手法)が、労力を少なく”コスパ”のよい方法は、やはり吹き出しでしょう。

売上総利益行使別の変化状況

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あまり見慣れない格子柄のスライドですが、ここでも考え方は変わりません。コーポレートカラーである赤色を目立つ形で活用し、そして見させたい数値は大きく目立たせる。この場合では、売上総利益率が33.3%であり、それは前年比で向上していることがわかれば十分なので、この見せ方は妥当です。

従業員が集まる理由

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エグゼクティブサマリと同じく、これも見た目の圧力が強いスライドですね。情報を詰め込めるだけ詰め込んで、これ一枚で全てを説明しようとしています。良いか悪いかはさておき、インパクトは大きいです。

実際のところ、ワンスライドワンメッセージ的なスライドを作るより、官公庁めいたこういった圧の強い、情報量の多いスライドを作る方がよほど手間がかかります。もし紙面が許すのであれば、例えばこのスライドなら「サマリ」「やりがい」「給与」「働く仲間」と4枚に分割してもよかったかもしれません。

しかし、あくまでこれは決算説明資料。長々と人事関連で紙面を割く余裕はありません。そうした背景があり、本来的には4枚に分割すべきスライドをなんとかして1枚に圧縮した……のかもしれません(実際のところは分かりませんが)。

日本中のエンジニアを採用

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ここまで赤色にこだわる必要があるのか……と思うほど赤いです。ですが、この決算説明会資料もここで34ページ目ということもあり、聴衆も慣れた頃合いでしょう。赤色でも何でも、徹底すればそれが企業のスタイルなのだと納得がいくものです。

デザインの観点から見ると、ここまで徹底して赤色に染めあげる必要はあまりないかもしれません。このスライド1枚をとっても、日本地図が赤色である意味はあまりありません(特に理由がなければ白地図、あるいは目に優しい薄い青や緑色などが無難でしょう)。ですが、この並々ならぬこだわりは、ベンチャー企業をここまで大きな企業に成長させた源泉と言えるかもしれません。

いずれにせよ、決算説明会資料としてはかなり見やすい部類であることは間違いないので、色の統一・徹底というのはもう少し重要視されてもよいですね。

まとめ

あまりにカラーリングが気になったので、少し調べてみると同社のHPに以下の記載がありました。

コーポレートカラーの赤は、国内外問わずソフトウェアの
テスト・品質保証業界におけるリーディングカンパニーとなるべく、
邁進する日々の情熱と、かつてものづくりにおいて世界を圧倒させた
「Made in Japan」品質をソフトウェアを通して、
もう一度世界へ発信するという確固たる誓いを表現しています。

(SHIFT社HPより)

……なるほど納得ですね。これを決算説明会資料まで全面に押し出せるのは、エクセレントカンパニーとみて間違いないでしょう。

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