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【パワポ研オリジナルテンプレート解説①】資金調達ピッチ資料

みなさんこんにちは。
資料デザインのリサーチや分析に取り組むパワーポイントのスペシャリスト、パワポ研です。日々noteやTwitterでパワポに関する情報発信をしています。

今回は、7月末に発売を開始したテンプレートの中から「資金調達ピッチ資料」の内容、特にストーリーの流れのポイントについて解説していきたいと思います。では早速見ていきましょう!

テンプレートの概要はこちら↓

資金調達ピッチ資料とは?

会社が経営を続けるために行う資金調達には様々な方法があります。自社の売上だけで資金を獲得する方法、銀行からの借入、VCなどの機関投資家や個人のエンジェル投資家から出資を受ける方法、クラウドファンディングなどです。

資金調達ピッチ資料は、主にはVCや個人投資家から出資を受ける際に使われる資料です。言い換えれば、自社の事業がどのようなものかを理解してもらい、投資家目線で「儲かる」ということを認識させ、出資してもらえるように説得するための資料です。

では、具体的にどのような「説得」が行われるのでしょうか。
一般的には、オンライン(あるいは対面)で1時間程度の初回面談があります、その最初の20分程度で、ピッチ資料を元にビジネスモデルの説明を行います。その後、説明からはわかりづらかった点や、より深く理解したいポイントについて、Q&Aが行われます。

当然ですが、プレゼンを行う経営者にとってのゴールは「資金を獲得すること」です。そのために以下のポイントを説明しきることが必要です。

・事業として何をやっているのか(やろうとしているのか)?
・狙っている市場はどの程度大きいのか?
・顧客の抱える課題はどの程度深いのか?(顧客はお金を払ってくれるのか?)
・顧客は、現在どのように課題を解決しているのか?(現状の把握)
・どのような競合が存在しているのか?
・ビジネスモデルとして儲かる構造になっているのか?

パワポ研の資金調達ピッチ資料のテンプレートは、上記のポイントを盛り込んだ上で、一連のストーリーが作られているため、ここからスライド毎に解説していきます。

スライド解説

◆表紙

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シンプルにどんな事業を行っている(行おうとしている)のかを企業名とともに盛り込んで、記載していれば問題ありません。欲を言うならば、シンプルでありながら、デザインとして「イケてる」という印象を持たせることが大切です。

◆業界(顧客)の課題

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事業のターゲットとなる顧客が、どのような課題を抱えているのかを説明するスライドです。最も重要な前提と言えるので、初めにこのスライドを持ってきています。ここでは、アンケート情報(定量的情報)を元に、スポーツジム利用者の課題を記載しており、「指導不足」と「料金面」の課題を抱えている人が多いことがわかります。重要なポイントは、なぜそのような状況が起こっているかの持論を持つことです。テンプレートの例の場合、指導不足が、トレーナーと利用者のコミュニケーションの問題なのか、単純にジムに属するトレーナーの人数が限定的なのか、または別の理由によるのかで、ソリューションも変わってくるはずです。

◆自社の考えるソリューション

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前のスライドで掲げた課題をどのように解決するのかを示すスライドです。細かな機能の説明は、できるだけ省略し、提供しているサービスで何を提供しているのかを端的に示すことが重要です。投資家側は、様々なピッチを聞いているので、なぜその事業を行っているのかに対して、論理的にズレがないか、他のソリューションは無いのかを考えています。

◆競合優位性

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自社の強みを示すスライドです。チームメンバーの過去の経験やそれに起因して獲得できたスキルが書いている場合もありますし、これまでの事業の歩みから、浮かび上がる競合との差異が強みとして残っている場合には、実績として、その内容を示すこともあります。テンプレートの例では、後者を採用しています。

◆競合分析

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現状で把握している競合と自社の違いをまとめたスライドです。重要度の高いスライドです。ポイントはできるだけ客観的な見方を示すことができるかどうかです。例えば、全項目において、自社だけが優れているというスライドを見かけることがありますが、実際には、分析が甘いことが大半です。自社だけが優れいているのであれば、すでに業界の圧倒的なNo.1になっていると考えるのが通常です。

◆市場規模

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市場全体の規模を示すスライドです。WEBから抜いてきた資料だけでなく、その根拠となる元データがあると信憑性が増します。後から出てくる今後の展望を示すために、TAM、SAM、SOMの図解を使って説明する場合もあります。そうすることで、現在狙っている市場と横展開した場合に狙える市場が把握できるので「事業の広がり」を説明することが可能となります。

◆ビジネスモデル

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ビジネスモデル(全体のモノ・サービスとカネの流れ)を説明するスライドです。投資家側は、これまでの説明である程度のイメージが湧いていると思いますが、改めて図にして説明することで、双方の理解にズレがないようにすることができます。記号や矢印は意外と探すのが手間なので、自分のテンプレートを持っていると便利です。

◆ロードマップ

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今後の売上と営業利益の計画を示すスライドです。投資家側は、5年~10年以内にどの程度まで売上を伸ばすことができて、その説明に違和感がないのかを見ています。テンプレート例では、後述の事業計画でも詳細はありますが、1店舗あたりの売上を示したうえで、1000店舗まで獲得が進むとどの程度の売上になるのかを分かりやすく説明することが必要です。

◆今後の動き(次回ラウンドまでのKPI)

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前述のロードマップを補足すスライドです。具体的にどのような出店計画を行って、店舗を拡大するのかを示しています。このスライドは必要に応じてといったところでしょうか。投資家が知りたい情報としては、次回の資金調達活動(ラウンド)までにどんなことを達成して、会社がどのような状態になっているのかです。テンプレート例では、店舗数の具体的な数値を記載しています。

◆成長戦略

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成長戦略、つまり今後どのようにビジネスを進めていくのかを示すスライドです。ポイントは、これまで培ってきた経験や資産を今後どのように生かして、収益を上げていくのかを端的に示すことです。テンプレートの事例では、事務の利用者に直接行ってきたプログラムで、一定の成果が出ているので、フランチャイズ戦略のように、そのプログラムを他のジム運営者に供与するモデルを考えています。

◆ファイナンス概要

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ファイナンスの概要を示すスライドです。資金調達活動を進める中で、変化の多い内容なので、このスライドを挟んでいない場合も多いですが、スライドとして記載があると、投資家に対しては非常に親切です。次回の資金調達までにどんなことを達成するのかを把握する上で「資金使途」については具体的に記載することが求められます

◆事業計画

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具体的な事業計画のスライドです。別途エクセルやスプレッドシートで作成していることが多いと思いますので、その資料を別添することも可能です。初回の面談では、1時間ほどしか時間がないので、ロードマップで売上目標を説明できているのであれば、参考情報として記載し、後から確認してもらう形が良いです。

◆資本政策

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資本政策(株式の保有割合を示す表)のスライドです。事業計画と同様、別添で対応することが多いですが、既存の投資家で、誰がシェアを持っているのかは端的に伝える必要があります。また、ファイナンス概要(今回のラウンドでいくら調達して、どの程度のシェアを放出するのか)についても、このスライドで伝えることができます。投資家側は見慣れている資料ではあるので「あると嬉しい」資料になります。

◆ビジョン・ミッション

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重要ではないようで、重要なスライドです。一通りの説明が完了した段階で、改めて「なぜこの事業を行っているのか」を示します。未来のことが不確実なことは、皆が理解しているので、事業を進める上で、ブラしてはいけない部分がどこなのかを示すために、このスライドが存在します。加えて、最も熱意をもってアピールできるスライドなので、文言選びには注力したいところです。

◆経営チーム

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経営チームを表すスライドです。誰がやっているのか、は投資判断において重要な要素ですので、経歴に強みのあるチームは、素直に記載し、強みの無いチームでも、経歴を記載した上で、事業と関連のある情報を盛り込むようにしましょう。趣味の情報などは不要です。

◆会社概要

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会社の概要を示すスライドです。そこまで注力せずに、必要な情報を簡潔に記載し、プレゼンにおいても流す程度で問題ないと思います。一つ付け加えるならば、本店情報や支店情報は意外と見ている場合が多く、関係者の間で共通の出身地などがあれば、コミュニケーションが円滑になる可能性があるので、記載しておいて問題ないでしょう。

◆Appendix

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ここからは参考情報です。上述のスライドは必ず必要なものばかりですが、以下は補足情報として、説明しきれない点を追記していきます。プレゼンの場合においては「後は見ておいてください」で問題ないと思います。

◆現状のトラクション

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現状の実績をアピールする資料になります。メイン資料として活用しても問題ありませんが、テンプレート例では、あくまで店舗の状況なので、Appendixに記載しました。

◆想定される事業上のリスク

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有価証券報告書では、必ず記載のある情報です。大抵の場合、Q&Aの時間で、事業のリスクが論点になることが多いので、その回答例としてスライドを作成しておくと、無駄な時間を省くことができます。

◆関連会社説明 or パートナーシップ提携先説明

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関連会社があれば、その情報を記載するスライドです。シード・アーリー期など企業状態として初期の段階では、関連会社がないことも多いと思いますので、パートナーシップ(事業提携)を締結している企業があれば、アピールの一つとなるでしょう。

◆自社事業の具体的説明

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画像を活用することで、自社のコンテンツがどのようなものかのイメージを共有することができます。参考情報として記載する程度で問題ないでしょう。

◆顧客の声

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顧客の声は、課題の深さを説明するのに、一つの足掛かりとなる資料です。実際のエビデンスとして、顧客が何を良いと思っているのかを示すことは重要です。一方で、定性的な情報となるので、参考情報としての活用が望ましいです。

◆メディア実績

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メディア実績も、一つのアピールポイントです。メディア露出が多いということは、勢いのある企業という形で捉えられるからです。また、ピッチイベントでの優勝経験なども記載されていることも多いです。一方で、大半のスタートアップが記載しているので、こちらも参考情報としてで問題ないと思います。

◆クロージング

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最後は簡潔に。

まとめ

ピッチ資料のテンプレートについて、解説してきました。顧客の抱える課題から始まり、その課題をどのように解決し、なぜ競合にはそれができないのかを説明し、今後の戦略においても実現可能性が高いので、資金が必要であるという、ストーリーで作成しております。テンプレートの詳細な情報は下記に記載がありますので、是非ご覧になってみて下さい。

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