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【パワポ研の決算資料探訪15】AI CROSS社の決算説明資料は余白とイラストで魅せる

企業の決算説明会資料について解説するこのシリーズ。前回大変好評をいただけましたので、おかげざまでこの度シリーズ15回目を迎えることができました(好評だった初回Goodpatch様の記事は以下)。

今回も見どころある企業の決算説明資料について紹介させていただきます。
対象とするのは、「株式会社AI CROSS」。B2Bの領域においてAIを活用したサービスを展開している企業です。

2022年12月期 第1四半期 決算説明資料
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それでは早速見ていきましょう。

表紙

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グラデーションのカラーリングを使うのは存外難しいものですが、青系で上手くまとめています。このあたりはおそらくデザイナーが担当したのかな、という様子で素人がマネするのは少し難しいかもしれません。

代表者メッセージ

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メッセージは、ともすると余白が少なくギチギチになってしまいます。代表者というのはほぼ例外なく喋り好き(AI CROSSの方がどうかは分かりかねますが……)なので、油断すると文字でびっしりなスライドになってしまいます。しかし本スライドでは、常識的な範囲内のコメントに収まっており、視認性が良いですね。

一つ付け加えるならば、代表者様の写真がいわゆるジャギジャギ(画素が低い)になってしまっているようにも見受けられます。少しもったいないような気もしますね。

サマリ

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難しい! これは真似をするのは一苦労でしょう。特に難しいのは「背景」ですね。単純に技術をマネするのは簡単かもしれない青系統のグラデーションですが、正直右側は文字と明度が近づいてきてしまい、なかなか見づらくなってしまっています。このスライドではギリギリ見えますが、なかなかキワどいところを攻めるなぁ、という印象です。

そして難しいのは、思い切った余白ですね。先ほどのメッセージと同じく、ともするとパツパツに文字が詰まってしまうのがサマリのスライドです。ここの文字を最小限に収めるというのも、なかなか難しい部分です。

ディバイダー

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もしかしたらあまりよくない例かもしれませんが、サマリのページで危惧した状態になってしまっています。右側(特に右下)の文字が背景に溶けてしまっているので、視認性がよくありません。こういう状態になってしまうのなら、生半可な工夫は避けるべきだったかもしれませんね。

事業説明

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とは言いつつも、グラデーションを上手く使うのは魅力的に映ります。タイトルの部分、あまり他社には見られないようなグラデーションの使い方でやはり目を引くのは間違いありません。

また、引き続き余白を上手く使うことは維持しています。極めてシンプルなスライドになっていますね。

市場について

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このスライドはむしろ、ちょっと余白が多すぎるかもしれない、と思うかもしれませんが、案外このくらいでちょうどよいものです。海外のスライドを見ると、かなりスカスカなものがよく見られます。それと較べるとよほど情報量があるかもしれません。

なお、余白はオブジェクト間の距離を離すというのは当然ですが、行間を変えるという手法もかなり有効で、そしてあまりその技法を使っている人はいません。

例えば、以下のスライド。行間は倍数「1」の設定と標準的なものですが、

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行間を変えてやると……


結構すっきりします。行間1.3で大分開いたな、と思う数値の感覚です。

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(※上記3枚はAI CROSS社には関係がないスライドです)

業績ハイライト

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このページは余白が極まっていますね。文字情報の補足により売上が過去最高なことは分かりますが、では利益はどうなのか、と問われるとこのスライドだけではわかりません。

しかし、これでよいのです。1スライド1メッセージという原理原則で言えば、営業利益の高低については別のスライドで示せばよいのです。

前年比

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実際、次のページではこのように示しています(果たして、営業利益は減額していましたね)。このように、各ページで伝えたいことがシンプルなら、そのボディ(オブジェクトなどメッセージ・タイトル以外)はシンプルでも問題はないのです。

事業提携

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最近、色々なスライドでフリー素材のアイコンや画像が使われているのはよく見ますが、しっかりとしたイラスト(イラストレーターにそのために依頼したもの)はあまりみられません。上記のようにシンプルでトゲのないイラストであれば、資料全体の雰囲気を壊すことはないので、費用対効果に見合うなら活用してもよいかもしれません(資料のために依頼するのはもったいないので、別の場所からの流用が主な獲得経路になるでしょう)。

なお、上記のような(主張の少ない)イラストはテクニカルイラストレーターという職業の方に依頼すれば、イメージ通りのものを得られるでしょう。あまり主張が激しかったり、クセが強かったり、一目見て誰が書いたかわかってしまうようなイラストは、あまり決算説明資料にはなじみません。

トライアル募集

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上記もイラストを上手く使っている一例ですね。前のスライドとは微妙にテイストが違いますが、個性を消したあたりさわりのないものになっています。また、右側の画像もフリー素材の組み合わせのようなデザインで、とげとげしさは感じません。どちらも決算説明資料ならではかつ、必要十分な機能をもっています。

数値目標

AICROSS_ページ_28

潔いスライドですね。いわゆる、「メッセージのみ」のスライドです。ソフトバンクなどが好みとする形式でしょうか。こういうスライドにしたいと思っている人は多いと思いますが、なかなか実行するのは勇気がいることでしょう。いわんや決算説明資料をや、です。

まとめ

余白をうまく使うというのは、誰しもが望むところですがなかなかそうはならないのが難しいところ。見た目的にもテクニック的にもAI CROSS社の決算説明資料は非常に参考になるところと思います。また、イラストについては余白が多いスライドだからこそ映えるという側面もあります(そして、シンプルなイラストだからこそ余白の多い紙面に映えます)。資料全体を通してみるとまた学びもあると思いますので、ぜひともご鑑賞ください。

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