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【パワポ研のパワポ資料探訪30】みずほ銀行の「みずほ産業調査」は、左右2パネル構成

様々なパワーポイント資料について解説するこのシリーズ。
毎回大変好評をいただけておりまして、おかげざまで引き続きシリーズを重ねられております(好評だった初回Goodpatch様の記事は以下)。

今回も見どころあるパワーポイント資料について紹介させていただきます。
対象とするのは、みずほ銀行のみずほ産業調査、「日本・日本産業の勝ち筋 ~「失われたx年」に終止符を打つために~」です。決算説明資料などとは異なり、プレゼン用というよりは、保存用の重厚長大な資料です。

(日本・日本産業の勝ち筋 ~「失われたx年」に終止符を打つために~、URL

それでは早速見ていきましょう。

表紙

表紙は特段良い/悪いもないです。昨今はQRコードを表紙につけるパターンもあります。PCで読んでいる方向けに、スマホで読み取ってもらおうという意図ですね。デザインとしてはそれほど邪魔しないので、有効な手立てかと思います。

サマリー

重厚長大な資料では、こういうまとめ紙があったほうがよいでしょう。作成の際は、文字ばかりのスライド……と恐れる必要はありません。こういうスライドが資料の大半では困りますが、あくまでごく一部です。
スライドというのは、基本はこういう文字の箇条書きで十分で、理解を促すためにあの手この手で工夫をするものです。

ハイライト

サマリを実際にスライドに起こすとこういうことになる、というものです。文字が多いのは変わらずですが、段組みがなされていて、各章の関係性がわかりやすくなっています。

目次

各章の関係性は重要なようで、目次でもフロー(矢羽根)を用いて段階を踏んでいることが視覚的に分かるようになっています。

経常収支の振り返り

この資料全体の基本となるスライドの形式です。グラフや図、表などがこの資料にはたくさん出てきますが、ほとんどの資料が同じ枠組みを利用しています。逆に言えば、この枠組みさえ使っておけば、そうそう分かりにくいスライドになることはない、ということです。

その枠組みは、以下の要素で構成されます。
「スライド上部のタイトル」:ここでは「経常収支の……」の部分
「スライド上部のメッセージ」:ここでは「かつての稼ぎ頭……」の部分。スライドによっては複数のメッセージが記載されます
「左右に分割されたパネル」:ここでは、左側の「経常収支の推移」と右側の「国際収支の発展段階説」になります。左と右のパネルがスライド紙面の多くを占めます。

他のスライドも見ていきましょう。

貿易収支の振り返り

このスライドも(前のページのように蓋みたいな部分こそありませんが)左と右に分かれています。左が棒グラフ、右がその解説ですね。棒グラフを全面にして、その隙間に解説を掲載することもできますが、左右分割の表現の方が見易いと判断してこの形式になっているのでしょう。

日本の製造業と牽引してきた自動車産業

グラフがあるスライド以外でも、左右2パネル方式を採用しています。このスライドではメッセージの位置が他のスライドと異なりタイトルに紛れ込んでいますが、左と右におおきくボディが分割されていることが分かります。

予算の傾斜配分

このような左・中・右の三分割パターンもあります。2パネルに限らず、いくつかに分割していると書きやすいし、見やすいということです。

経済安全保障

さりとて、パネルに分割せず一枚絵でお知らせしたほうが情報が伝わるという場面があります。例えば、このスライドはメルカトル図法の世界地図をバックに各種解説を行っているものですが、これが左や右半分に押し込まれると相当伝えるのが難しくなるでしょう。いつもパネルで割ればよいというわけでもありません。

労働生産性、人手不足……

このようなコンセプチュアルなイメージを伝えるスライドも、左右に分割する必要はあまりありません。紙面を広く使って、またアイコンもふんだんに使ってイラストチックに表現すればよいでしょう。
もっとも、このスライドも下半分は(結果的に)左右二つに分かれています。こういう形式が作りやすいですし、また読み手としても読みやすいので、隙あらばという感じで使っていくと良いかと思います。

CPSによりもたらされる効果

こういった各ボックスの関係性を示すようなスライドも、左右二分割には不向きと言えます。相関図やビジネスモデルを説明するスライドなども、紙面を広く使ったほうが分かりやすくなる事例です。

CPSの実装が進むことで……

関係性を示すスライドの最たるものがこのスライドですね。左から右がフローになっており、(上のボックスは矢羽根の方が、フローということが分かりやすいかもしれませんね)それがどういった流れで進んでいくのかを解説するスライドです。

モノづくりで勝負する領域

左右2パネルの説明に戻ります。左右に分割するときは、厳密に1:1の大きさで配分する必要はありません。例えば、このスライドでは左側のピラミッドを引き延ばした場合、ちょっと間延びした印象を与えるでしょう。それよりは、このスライドのように右側のスペースを大きく割いて、説明を詳細に行ったほうがよいでしょう。

高齢者の就業状況

このようにグラフを複数並べる場合も、左右にパキっと分割して上下組で示したほうがわかりやすいはずです。というより、グラフを複数並べる場合はこれ以外の選択肢があまりないはずです。

日本の科学技術力低下への危機感

スライドにグラフが3つある例でも、左・中・右の三分割ではなく、あえて左右二分割とすることもできます。もちろん、もっともメッセージに直結しやすいものに対して、紙面を大きく割くとよいでしょう。このスライドでは研究開発費が重要になるため、それに関する折れ線グラフを大きく採用しています。

まとめ

この資料は120枚以上のスライドで構成されているので到底すべてを紹介することはできませんが、主だったスライドのざっくり7割以上は左右2パネルで構成されていると言ってもいいんじゃないでしょうか。それほど汎用性があり、使いやすく、また読み手にも優しい表現技法ということです。それはプレゼン用途でも、この資料のように保存用でも、いずれにしても変わらないはずです。困ったらまずは左右を分割してみる、というのも一つの手段と言っていいでしょう。メッセージを支えるには1つの内容では厳しいかもしれませんが、2つのコンテンツがあれば十分に支えることができる場合が多いです。

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