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かんざしとカラオケ

二〇一六年十一月十九日土曜日

雨のち曇り

大学の先輩、たまきさんの結婚式。
新郎によるはじまりの挨拶。顔はたしかにたまきさんで、はてこんな声をしていたかしらと思う。物理的に距離が離れると疎遠になってしまうわたし。
日々のんさんと帽さんと笑うそれとはまた違う種類の、笑うをたくさんした。頬っぺたがいつもはゆかぬような高いところへハイペースに持ち上げられる。高速エレベーター。ゆみさん、おおしまさん、としひこさん、背中を追いつづけた、そこにそのひとたちがいるだけでもお。さいこーなのだ。ゆるゆるしゅるるとわたしもあにーもあいこちゃんも、きっとけいこちゃんひろこちゃんすすむくんも先輩といるときのあのときにいたわたしたちの顔になっていただろう。掬って掬って、零したものもひろうくらいにいる時間を満喫しようとそわそわしつづけた。落ちつきなく右を向いてひだりを向いた。こんな日に夜遊びできないなんて。

会のおしまい、マイク越しにもおおきく発声する真面目さとすこし舌ったらずな話し方を聞きながらああそうだそうだたまきさんだと思う。わたしの時間の中に、とまっていた彼というものが鮮やかに色づいて血が通い再生されたようだった。

あいこちゃんと帰宅。いつもとは違う格好をして、いつもの駅に降りる。タクシーを降りて、公園の匂いを嗅ぐ。土と草と木と、鼻がすこしツンとする。ああ、とわたしは帰って来た。帽さんとのんさんがそこにいて、ほのあかるいわが家。

夜ごはんは、お鍋のつづき (白菜の甘みがおいしくておいしくてサイコー)、青菜炒め、おかか和え、納豆、ごはん。

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