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ひと差し指と小指のオメカシ

二〇一六年十一月十八日金曜日

晴れ

きょうの二度寝は深く長く、目を覚ましたらのんさんのさかさ顏が真上にあった。 (おーい、朝だよ。おーい。おーい。)そんな表情で布団に潜るわたしの顔を覗く。目が合うと、ふわあとにんまりがおになり目に口に手をのばす。口の中だっておかまいなし。のんさんに線引きはなく、衝動と好奇心と確かめたいというきもち。

きのう、電車の中で近くに立っていた二十代半ばの男性二人組の方を、ひきつり笑いをしてひょっこり覗いていた。のんさんもようすをうかがうのだなあ。
にっこりして、にっこりが返ってきたら手をのばす。のんさんのひとへの線引きは、いまこのくらいのよう。

きょうも、日が差しこんできたのであかるいうちにとおむすび握って公園へ行く。手があたたかい。眠たいようできのうほどは駆け回らずに帰って来る。サカサカ足元が鳴る。のんさんの視界に映る色彩が鮮やかで、道に向かって身体を乗り出し、手をのばす。眠気のことをようやく思い出して二十分後くらいしてようやく眠る。

近づいて見上げたり、すこし離れて眺めたり。だいすきなラクウショウさんは、おとといまで緑の葉でいたのに、すっかり茶の葉で全身を覆っていた。
緑をベースにぽつりぽつりと橙、黄、茶が混じり、ぼわんとしたふっくらシルエットの木々。洋服をつくるなら、まずはこんなワンピースがいい。道端をデザイナーにして、洋服をつくったらたのしそうだ。
四本ほどの木は束になって、おおきなおおきな焼きおにぎりの木にみえる。こんなことをのんさんとお喋りしたら、会話がえほんになりそうだ。


夜ごはんは、青菜炒め、おかか和え、豆乳ミルク鍋(椎茸、えのき茸、青梗菜、白菜、大根、玉ねぎ、ごぼう)、ごはん。

夕方からはつねつのんさん。すこしでも深く長く眠れますようにと祈る祈る。

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