選挙に行って歴史に名を残そう!

 共同体の意思決定にあたって、多数決という方法に様々な不具合があることは、実はフランス革命の時代にコンドルセやボルダが指摘していました。

 実際、8月の横浜市長選においても、与党から2人、野党の統一候補が1人、さらに著名人や泡沫候補など計8名が立候補しましたが、選挙戦の途中には、票が分散して僅差になったらどうするのか、決選投票の規定がないから、選挙民の真意を測るすべがない、自民党の差し金かもしれない、と選挙制度そのものの不備を懸念する声もありました。

 また、自民党政権が半世紀以上続いた結果、一票の重みの違いや選挙区の区割り・サイズを巡る議論も、政権与党に有利に制度設計されてしまっているので、選挙による多数決が正しく民意を反映しないことも少なくありません。

 しかし、それでも選挙に行くべきです。

 なぜなら、横浜市長選が示したように、人々の判断が実に健全であることを強く示すチャンス、それが選挙だからです。

 先日、ある本*を読んでいたら、1932年から34年にかけて、政権与党となっていたナチス党の激しい選挙干渉にも関わらず、共産党がその行く手を阻んだ結果、ナチスの得票率が44%に留まったという記事がありました。

 結果としては、ドイツはヒットラーとナチスに引きずられて痛恨の歴史を残すことになりましたが、それでもドイツ国民は選挙に行くことで、歴史にその良心を刻むことができたのです。

 選挙は、歴史に私たちの名前を刻む大事なチャンスなのです。
 
*ヴィクトル・ファリアス「ハイデガーとナチズム」名古屋大学出版会。図書館から借りて読んだので、該当箇所のページ数はご勘弁を。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?