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笑顔それは作るものでなくこぼれるもの

しばらくあいて実家に帰ったら、猫の足音がすごい。
チャッチャカチャッチャカいう。
前足の爪は爪とぎでバリバリするので自然とすり減ってくれるが、うしろ足はそうはいかない。けっこうな勢いで伸びてしまってた。

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ひさしぶりにいぬくんの足音が脳裏によみがえってうれしかったなぁ。
あのルンルンとステップをきかせた足取りがかわいかったんだよ。

猫の爪を伸ばすと、犬の存在感もあじわえるライフハック!
……というわけにはいかないので翌日パチリパチリ切りましたよ。
猫の爪切りって独特の手ごたえがあって気持ちがいいよね。
彼もうしろ足がこころもち軽やかになったのか、非常に安らかに寝ておられます。

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やすらか


生来の動物好きなもので、家の中であろうと外であろうと、とにかく犬の足音に反応してしまう。
公園で後ろから近づいてくるチャカチャカ音。
元気につま先でアスファルトを弾く、お散歩がうれしくて喜びにはちきれんばかりの足取り。

「どんな犬かな、音の大きさからして小型犬かしら?」
なんて、満面の笑みで振り返ってしまう。
前を歩いている大人が100%の笑顔で向き直る。飼い主さんにとってはこれ以上の恐怖もないでしょう。
チャカチャカならもう何でも反応してしまうので、たまたま居合わせた小豆あらいなんかでも相好を崩して振り返ってしまうと思う。気をつけねば。


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猫も危うい。
街中でカサカサ動くコンビニ袋の擬態に何度だまされたことか。
もう「あ!ねこ!」の時点で100点満点の笑顔になっちゃってるわけで。
笑顔の矛先をどうしたらいいのかわからないんだよ。返してくれよ。
私のスマイルは0円ではないんだよ。

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ところで仕事柄、たまに写真を撮っていただくことがあるのだが、いつも「もうちょっと笑顔作れませんかね」と言われてしまう。

緊張しいなもので、言われるほどに顔はこわばり、笑顔からは程遠くなってゆく。
コンビニ袋にあれだけ大安売りしていた笑顔ががぜん出てこない。
必死になって口角を上げてみるものの、目は完全に臨戦態勢のそれで、笑顔は笑顔でもあれ、ばくだんいわの笑顔。ニカッ!
カメラマンさんも困って、あれやこれや面白いことを言ってくれるのだけど、ぜんぜん笑えない。こんなところで土俵際の強さを発揮してどうする。

もう私の中のばくだんいわがメガンテの「メガ…」くらいまで唱えてたであろうそのとき、編集者さんがナイスアシストをいれてくれました

犬と猫のこと思い出して!

肩の力がふっとぬけました。

チェック用に送られてきた写真を見ておどろいた。
すごく自然な笑顔。自分でもこんないい笑顔で笑えるのか、と思った。
本当に好きなものがあるって、いいもんですね。

まあ、写真は目じりのしわとほうれい線を修正してもらいましたけど。



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