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その猫はまっ白で。

どうにもかなしいお知らせになってしまいますが、猫くんが旅立ちました。

「亡くなった」というより「生き抜いた」という言葉がしっくりくる、それはそれは立派なさいごの日々でありました。

お医者さんの見立てでは数日と言われたところを一か月。

飲まず食わずでもしっかりと前を見すえ、ツンデレを貫き。

終わりの時は眠るように私の腕の中で
…と言いたいところですが
股の間で命を終えました。すまない、変なポジションになってしまって。


昨年末ごろ、治療のお薬が効かなくなってきて、いよいよできることもなくなりお家で過ごすことになりました。


私が今まで見送ってきた犬たちはみな、
ある日ふと食べることをやめ、その翌日に旅立っていたものですから
動物の去り際というものは潔いというか、あきらめに似た穏やかさがあるようなものかと思っておりました。

しかし猫氏はちがいました。

不安と悲しみにおびえあがっている私とは反対に、彼は生きることしか考えていませんでした。
しばしの飲まず食わずののち、突然体を起こして怒るようにカリカリを食べることもありました。
来客があればよろめきつつも、全力でかっこつけながら挨拶にあらわれました。
その姿は毅然として死に対して挑むようで、むしろ私のほうが勇気づけられるそんな日々だったのです。


そしてこの冷静さ。

小さい子猫だったのに、ヘタレのねえちゃんはいつのまにか追い越されてしまっていたねぇ。

さいごの日は、彼の目つきが妙にしゃっきりとしていたのを覚えています。
今まで明るい場所を嫌っていたのに西日を浴びて目を細めていました。
毛並みが光をはね返して真っ白にまぶしく、麦畑のようだなぁと、おかしなことを思いました。

その姿はふかく考えているようにも、西日の先に何かを見ているようにもみえましたが、動物のことですからきっと何も考えておらんでしょう。

夜になり、彼はごそごそと私の布団へ入ってきて、足首の上にあごを乗っけてきました。
どこにそんな力が残っていたのかと驚かされます。
そして明け方になって、もうちょっとよじよじとはい上がって
いつもみたいに足の間でふうと落ち着き、そのまま。


翌朝はとても気持ちの良い天気で、お見送りにはぴったりの空でした。
彼は犬くんとね、同じところに入りましたよ。

ほんとうに強くてやさしい子でした。ありがとね。


みなさまからはたくさんの応援や励ましの言葉をありがとうございました。
また、同じくして闘病中の猫ちゃんたちの存在もとても支えになりました。

犬くんの時のようにお心遣いをさしのべてくれようとする方がいるかもしれませんが、どうぞお気づかいなく。
ただできれば漫画を読んで、猫くんのこと犬くんのこと思い出してもらえれば。そしてできれば笑っていただければ、この上なくうれしいです。

あ、ラインスタンプも買っていただければ。
Kindleで無料の漫画も出てますのでDLしていただければ!
既存の漫画も電子で買えるよ!!

いかんいかん、ついいつもの宣伝癖がでてしまいました。
リンクまではる周到さで。

さてさて。
ペットがいなくなってもしばらく気配を感じる、みたいなことが全くないことでおなじみの私ですが
彼が去ってから10日目くらいにおもしろい夢をみましたよ。
あの鼻息、なつかしかったな。


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